【ツアー報告】春の渡り鳥を求めて 新潟県・粟島 2019年5月2日~4日

この時期、多くのバードウォッチャーたちが渡り鳥との出会いを求めて、日本海側にある離島を目指します。離島に行くためにはほとんどの場合、船に乗らなくてはいけないため少々面倒ですが、やはり普段なかなか出会うことができない鳥たちに出会える可能性が高いという点では魅力的です。今回訪れる粟島は探鳥地のほとんどが小さな畑であり、歩く道も極めて細いことから、周辺住民の方々への配慮を含めて我々は6名様限定という超小型ツアーで企画し、全員で出現した鳥たちを観察できるようさまざまな配慮をしています。
2日、今回の天候は申し分ないものの、強風の予報が出ていたので、無事に船が出航してくれるか気を揉みながら東京駅を発ちましたが、その不安が的中してしまい、新潟駅に向かっている途中で、乗船を予定していた船が欠航する連絡を受け取りました。しかし、代わりに夕方に臨時便としてフェリーが出航するというので、本日中には粟島へ渡れそうです。本土側で生じた時間を使って大池公園で探鳥することにしました。時期的に池のカモ類の姿は数少なくなっていましたが、コガモ、ハシビロガモを中心にオオハクチョウ、コハクチョウの2種のハクチョウ類や見事な夏羽のシマアジなども観察することができました。16時に岩船港を出港し、臨時便のフェリーで粟島に向かうと、港の外に出てから大きな縦揺れが続きました。しかもアクシデントは続き、船内で急病人が生じてしまったため、1時間ほど走ったところでUターンをして岩船港に引き返すことになってしまいました。岩船港で急病人の方と船揺れで体調を崩された方々を降ろし、再び岩船港を出航し、粟島港に着くとすでに19時になっており、あたりは真っ暗でした。
翌3日、探鳥を開始すると、農地にはアオジの姿が特に多く、夏羽に変わったカシラダカも多く見られました。そこでムクドリ4羽と共に行動するギンムクドリの雄を見つけたほか、藪から出てきて囀るノゴマも観察することができました。午後は島の北側を歩き、もう一週間も見られているというマミジロタヒバリを観察しましたが、潅木の上にもよく現れてくれたおかげで、長い爪もしっかりと観察することができました。
最終日4日も、夜間に崩れた天気の影響で新たな鳥たちを期待しながら、早朝の探鳥に出かけたのですが、サンショウクイが時おり上空を通過していく以外は、特にこれといった新しい種との出会いも無く、観察を終えました。
今回はいきなり船の欠航、引き返しというアクシデントに逢う文字通り波乱のスタートとなってしまいましたが、苦労してたどり着いた島内でも、観られた鳥の姿が少なく、少し淋しい結果となってしまいました。しかし、毎回違った表情を見せてくれるのが、離島での探鳥の醍醐味なので、来春はどのような出会いが待っているのか、今から楽しみです。ご参加いただいた皆様、ありがとうございました。

田仲 謙介

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