【ツアー報告】ベストシーズンに行く三宅島(追加設定) 2019年5月21日~23日

(写真:タネコマドリ 撮影:吉田むつみ様)

都内から僅かな時間で訪れることができる三宅島。ただここにはとても魅力的な野鳥たちが生息しています。今回は三宅島の野鳥たちを観察するのに最も良い時期を選んでツアーを企画しました。ただ、たまたま大きな低気圧の通過が前日にあり、関東地方は強風と強い雨に見舞われました。そのため伊豆諸島各島に向かう定期船が全便欠航になるという珍しい現象が前日にありました。そのため出発当日に海上悪化や天候悪化が心配されましたが幸いそれらはなく、しかも我々が三宅島に到着する日からは晴天が続き、暑くなるとの天気予報が出る中での出発となりました。

21日、今回は追加設定分のため平日出発となり、そのため集合場所の竹芝桟橋は予想以上に空いていてガラガラでした。集合時間には全員のご集合が完了したため、資料の配布、翌日の連絡などを済ませてから乗船を開始し、定期船橘丸は定刻の22:30に三宅島に向けて出港しました。

22日、心配していたような大きな揺れはなく、また意外にも予定よりも15分ほど早い04:45に三宅島伊ヶ谷港に着岸しました。外を見るとやや曇ってはいたものの、見る見るうちに青空が広がってきていました。到着後は専用バスにて探鳥に向かいました。到着後は各自観察機材準備、そして朝食をとっていただいてから探鳥を開始しました。やや風があったため肌寒い中でしたが、アマツバメが乱舞し、海上にはオオミズナギドリの大群が舞っていました。目的にウチヤマセンニュウは今年は見やすいようで、早速複数の個体がさえずっていました。中でもしっかりしたソングポストを持っている個体がいて、しかも長時間さえずっていたことからあっさりと望遠鏡を使って観察することができました。またやや遠目ながらも樹上採食しているカラスバトの姿もありました。1時間半ほど滞在した後は移動しました。早朝は薄暗い場所の地面にアカコッコがいることが多いのですが、今年はアカコッコの数が少ないようで、カラスバトやタネコマドリ、イイジマムシクイのさえずりは楽しめたものの、アカコッコの姿をじっくり見ることはできませんでした。その後は大きな荷物を一旦宿に置いてから、担当してくださるドライバーさんの名調子の案内を聞きながら恒例の島内一周を行いました。この日は時計と反対回りで巡り、学校、空港、そして珍しくトビが飛ぶ中、噴火でできた三七山を見学し、噴火口がそのまま残るひょうたん山ではバスを降りて火口を見学してついでにアオウミガメを観察。その後は溶岩に埋まってしまった椎取神社、阿古小学校跡、最後はめがね岩を見て宿に戻り、昼食後は徒歩探鳥に出かけました。暑くなってきたことからまずは水場に向かい、ここでは水浴びにやってくるシチトウメジロ、イイジマムシクイ、ヒヨドリなどを観察し、移動しました。途中では巣立ったばかりにヒナに餌を運ぶシジュウカラが見られ、大路池ではウミウ、ゴイサギ、ダイサギの姿があり、魚を狙って飛び回るミサゴの姿もありました。少々時間があったことから最後に再びアカコッコ館に向かうと、途中の道では地上で餌を探すアカコッコのつがいが見られ、その後、宿に帰る途中では枯れ木に止まるカラスバト、そして珍しく高木でさえずっているアカコッコの姿を観察してこの日の探鳥を終了しました。夜は宿付近でアオバズクが盛んに鳴いていました。

23日、やや風があるものの快晴の朝、この日は早朝に徒歩探鳥を行いました。宿の餌台にはオーストンヤマガラの若い個体が早くからやってきていて楽しませてくれ、その後は道路で餌を探すアカコッコを観察してから、森の小道で観察しました。この日は平日というともあって人の気配がないせいか、早速アカコッコのつがいがその姿を見せてくれ、人気のあるタネコマドリがさえずっていました。見ることがなかなか難しいタネコマドリですがこの日は樹上でさえずる姿をじっくり見せてくれたほか、何度も地上に降りて餌を探す様子を見せてくれました。時間があったことからその後は別の小道に移動しました。ここには比較的じっとしてさえずるイイジマムシクイがいたことから観察していると、道にできた水たまりにアカコッコがやってきて、また2羽のタネコマドリがなわばり争いをするかのように道に出てきては威嚇行為をし合う珍しいシーンを観察することもできました。その後は一旦朝食に戻り、ここから昼食までの時間は撮影されたいお客様もいらっしゃることから自由行動可として3時間ほどの探鳥を行いました。まずは先ほどの小道でイイジマムシクイをじっくりと観察し、クリアには見えませんでしたが間近を飛翔するカラスバトなども見ることができました。そして昼食とした後は錆が浜港に向かいましたが、この日は船が遅れているとのことで富賀浜にちょっと立ち寄って美しい海と泳ぎ回るアオウミガメを見てから港に向かいました。30分ほど遅れて橘丸は三宅島を出港し、ここから東京湾に入るまでの約3時間ほどはデッキから海鳥観察を行い、すでにシーズンは過ぎていますが、ほぼ途切れることなくオオミズナギドリが飛ぶ中、アナドリ、ハシボソミズナギドリ、そしてクロアシアホウドリも見られました。

長年、三宅島にはきていますが、毎年毎年野鳥の数には傾向があるようで、今年の三宅島はアカコッコの個体数がやや少ない印象がありました。ただウチヤマセンニュウが良いソングポストで歌ってくれたことから見ごたえがあり、また普段なかなか見づらいタネコマドリは、たまたま良い個体がいたことから良い条件で何度も何度も見ることができ幸いでした。そして三宅島に来ることが初めてというお客様が多くいらっしゃったことから、三宅島の噴火の歴史をたどる「島内一周」も楽しんでいただけたようで有意義でした。ぜひまたの機会、三宅島にお出かけください。この度はご参加いただきましてありがとうございました。

石田光史

アカコッコ 撮影:吉田むつみ様

 

イイジマムシクイ 撮影:吉田むつみ様

 

ウチヤマセンニュウ 撮影:吉田むつみ様

 

タネコマドリ 撮影:吉田むつみ様

 

オーストンヤマガラ 撮影:吉田むつみ様

 

シチトウメジロ 撮影:吉田むつみ様

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