【ツアー報告】春の利尻島 最北の航路と渡りの鳥たち 2019年5月16日~19日

(写真:クマゲラ 撮影:中村由紀子様)

北海道といえば自然が最も厳しい顏を見せる厳冬期のツアーや花々が咲きそろう初夏のツアーが特に人気があり毎年大好評をいただいておりますが、それ以外にもさまざま企画しています。今回はまだまだ春とも言い切れない季節に敢えて道北を訪れます。メイン探鳥地の利尻島ではクマゲラとの出会いに期待するほか、さまざまな渡り鳥にも期待でき、また稚内から利尻島までの海上でも夏羽のシロエリオオハムやウトウといった魅力的な海鳥が見られます。また道内では残雪がある新緑の林で北海道だからこそ見られるヤマゲラを中心に色鮮やかな小鳥たちも観察します。今年はおかげさまで追加設定となり、二度目の催行となりました。

16日、前回は生憎の天候と想定外の寒さがありましたが、今回は事前の天気予報は良好で羽田空港もさわやかな快晴でした。到着時も天候は良く、とにかく暖かく気温は15℃でした。利尻島に渡るのは翌日早朝のため、この日は稚内周辺での探鳥を行い、到着時もとにかく暖かく半袖でも大丈夫なくらいでした。湿原内はまだまだ花々はないものの早速ノビタキが現れて周囲を飛び回り、遠くからはオオジシギの声が聞こえていました。そして展望台付近では幸いオオジシギが我々の頭上でディスプレイフライトをしてくれたため、じっくりと観察することができました。その後は沼でキンクロハジロ、マガモ、カワウが見られ、次のポイントに到着すると電線でアオジがさえずり、草原ではベニマシコの真っ赤なオスがやってきて楽しませてくれました。またノゴマも続けて現れて独特のさえずりを聞かせてくれました。木道を進むと幸いツメナガセキレイがさえずっていたためじっくり観察することができ、帰り間際にも木に止まっている姿を見ることができました。やはりこの暖かさのせいか小鳥たちの動きが良い印象がありました。ここからはホテルに向かって移動としましたが、途中に港があることから立ち寄りながら移動することにしました。この日は幸い利尻山を見ることができ、まずは渡り途中と思われるキアシシギとアオアシシギが堤防に群れ、繁殖に向けて夏羽に換羽したウミネコとオオセグロカモメが見られました。ただ時間が押してしまっていたことからその後はホテルに直行しました。

17日、この日も早朝から快晴の中、朝食をいただいてからフェリーターミナルに向かいました。到着後は前日に見られた鳥のチェックを行ってから乗船し、予定通り出港して利尻島鴛泊港に向かいました。この日の海上は信じられないくらい穏やかで出港直後にはテトラポットにオジロワシが止まっていました。この日はウミスズメの個体数は少なかったですが、夏羽のシロエリオオハム、ウトウは見られ、トウゾクカモメが高い位置を飛翔しました。また飛翔するハシボソミズナギドリなども見られ、船は予定通り鴛泊港に到着しました。この日は利尻島内も穏やかな天候で陽射しが暑く感じるほどでした。ひとまず現地ガイドと合流した後は早速、クマゲラ観察に向かいました。途中、ディスプレイフライトするオジロワシのペアが見られたほか、コマドリ、アカゲラの声が聞かれ、無事、クマゲラを見ることができました。観察後は昼食の時間とした後、島内を回りながら探鳥を行いました。園地では繁殖中のウミネコ、オオセグロカモメを眼下に見ることができ、海上には数頭のゴマフアザラシがプカプカと浮いていました。また岩礁付近ではシノリガモが見られ、海上を眺めると数千羽のアカエリヒレアシシギが乱舞していました。また草地ではノビタキが飛び、杭に止まったノゴマが朗々とさえずっていました。森ではコマドリ、アオジ、アカハラ、ウソなどの声を聞きながら歩き、岬では晴天に誘われたかのようにノビタキ、ノゴマが飛び回り、ノゴマは地面を歩きながらせっせと餌を探したり、岩に止まってさえずったりしてしばらくの間楽しませてくれました。またホオアカをわずかながらその姿を見せてくれました。その後は少々時間があったことから林に向かい、さえずるウグイスや地面で餌を探す複数のビンズイが見られ、最後は宿周辺を歩き池に佇む2羽のタカブシギを観察してこの日の探鳥を終了しました。

18日、この日は意外にも早朝から強風が吹く中、コマドリを狙って林に向かいました。到着すると強風にかき消されるようにアオジがさえずり、遊歩道沿いでは珍しくコルリがさえずっていました。湧水付近までくるとミソサザイが歌い、しばらく待っていると目の前の横枝にじっととまってくれました。またコマドリの声は予想外に少なく苦戦しましたが、ようやく川沿いの切り株の上でさえずってくれたため、なんとかその姿を観察することができましたが、僅かな時間でやや残念でした。朝食のために一旦宿に戻った後は昨日行くことができなかった場所に向かいました。ここでも予想外にコマドリの声は少なかったですが、湖面にはオシドリ、ヒドリガモ、カルガモの姿があり、倒木にはダイサギが止まり、ミサゴが飛翔していました。ただ木道先ではコマドリの声がしたため行って見ると、ちょうど良い場所でさえずっている個体がいたため待っていると新緑の横枝でさえずってくれたため、なんとか望遠鏡を使って観察することができました。その後は付近を散策し、キセキレイのつがいや水浴びするシジュウカラなどを観察してからやや早いお昼に名物の鰊蕎麦をいただいてからフェリーで稚内に向かいました。この日は風があったことから心配でしたが、風向きが南西風だったことから心配されたような揺れはなく、夏羽のウトウ、シロエリオオハム、ケイマフリ、そして稚内が近づいたころからは夏羽のアカエリヒレアシシギの群れがいくつも出現して盛り上がりました。稚内港に到着後はホテルに移動しました。

19日、この日も早朝から快晴で結局今回は全く寒さもなく雨もなく終えることができそうでした。ひとまず早朝にホテルを出て森に向かいました。この場所はひと昔前まではクマゲラのポイントとして知られていましたが、ここ数年は残念ながらその姿を確認はできていませんが、新緑の森で小鳥類を観察するには最適な場所で、セミがうるさくなる前のこの時期はベストポイントと言えるでしょう。現地到着後は観察機材の準備をしていただいてから歩き出しました。まずは駐車場付近でニュウナイスズメ、ホオジロがさえずり、コルリのさえずりも聞こえたことから行ってみることにしました。幸い高い木の上でさえずるコルリを観察することができ、付近ではキビタキ、アカゲラも見られ、センダイムシクイの声も聞かれました。またベニマシコのつがいがやってきて残雪がある斜面で餌を探していました。キャンプ場方面に歩くと芝生をツグミ、アカハラが歩き、よく見るとその中にマミチャジナイが2羽混じっていました。すると森の奥からヤマゲラの声が聞えたため行って見ると林間を飛ぶヤマゲラの姿があり、僅かながら木に止まる姿を見ることができたほか、クマゲラの声も響いていました。ヤマゲラが飛び去った方に行って見ると地上採食しているシロハラゴジュウカラの姿があり、さらに進むと珍しく枝先で歌うセンダイムシクイ、またさえずるサメビタキの姿もあり、針葉樹のてっぺんに佇むツツドリをじっくりと観察することもできました。その後は一旦バスに乗って毎回エゾエンゴサクの群落がある場所まで行くことにしました。湿地帯にはオオジシギの姿があり、一旦飛び去ってしまったものの白樺に止まってくれ、さらに先ではコサメビタキや餌を探すアカゲラが思いのほかじっくりとその姿を楽しませてくれました。その後はまだ時間があることから再びヤマゲラを探しに向い、残雪がある遊歩道ではアカハラやマヒワ、そしてヤマゲラに出会うことはできませんでしたが、最後は珍しく愛想の良い2羽のシマエナガがやってきてしばらくの間、その姿を楽しませてくれました。

さて、今年の春の利尻島ツアーはおかげさまで2度催行することができました。天候、気候が全く正反対になってはしまいましたが、今回は4日間を通して暖かく穏やかな日和の中、目的だったクマゲラに出会うことができ、原生花園ではオオジシギやツメナガセキレイ、ノゴマ、ノビタキ、また航路では夏羽のシロエリオオハムやウトウ、ケイマフリ、アカエリヒレアシシギ、道内の森ではヤマゲラをじっくり見ることができませんでしたが、ベニマシコ、ツツドリ、キビタキ、コルリ、シマエナガ、アカハラ、マミチャジナイなども観察でき4日間で74種の野鳥たちに出会うことができました。今後も少人数にこだわりさまざまなツアーを企画してまいりますので、また季節を変えて北海道にお出かけください。この度はご参加いただきましてありがとうございました。

石田光史

ノゴマ 撮影:須崎明男様

 

ベニマシコ 撮影:中村由紀子様

 

ツメナガセキレイ 撮影:須崎明男様

 

ツツドリ 撮影:中村由紀子様

 

シマエナガ 撮影:須崎明男様

 

アカエリヒレアシシギ 撮影:須崎明男様

 

オオジシギ 撮影:須崎明男様

 

マミチャジナイ 撮影:須崎明男様

 

シロハラゴジュウカラ 撮影:須崎明男様

 

ミソサザイ 撮影:須崎明男様

 

マヒワ 撮影:須崎明男様

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