【ツアー報告】東シナ海の秘島・平島(たいらじま) 2019年4月26日~5月2日
(写真:ミヤマヒタキ 撮影:須崎明男様)
4月26日、鹿児島空港に全員集合、鹿児島港南埠頭から「フェリーとしま2」に乗船。23:00 出港。平島と悪石島に条件付き出ていたがそんなに激しい揺れは無く快適に眠る。
4月27日、朝、5:30 に甲板で鳥見を開始、オオミズナギドリがずっと流れていく。何万羽、いや何十万羽だろうか。物凄い数のオオミズナギドリにカツオドリもかなりの数が混じっている。すると海上を見たことの無い鳥の群れが飛んでいる。暫く???となったが、それはハシブトガラス11羽であった。カラスが群れで海上を渡って行くのを初めて見たのだが、さてさて、これが吉と出るか凶と出るか。フェリーとしま2は平島に到着。港から民宿へ向かう道中で島の渡り鳥の状況がわかる。本日はツバメがたくさん飛び、あちこちにキビタキがいるので鳥は入ってきているようだ。いつもお世話になっている民宿に荷物を置き、鳥見を開始。ビンズイがあちこちにいて、マミチャジナイとアカハラの群れやコムクドリの群れがガジュマルの実を食べている。キマユホオジロもたくさん入っていてあちこちで見られ、コサメビタキ、オオルリもそこそこ見られる。昼食後、タイワンハクセキレイ、ブッポウソウ、シベリアアオジを観察する。何百羽のツバメが渡ってきて、中にコシアカツバメ、イワツバメ、ショウドウツバメが混じる。遅い午後、ツツドリが鳴き、さらに何百羽というツバメが渡ってきて、コシアカツバメ、イワツバメやアマツバメが混じる。本日は温泉がオープンの日なので早めに上がって行く方が多い。さらに渡って行くツバメの群れに何か混じらないかと見ていると、突然、上空にハリオアマツバメが飛来したので盛り上がったのである。
4月28日、朝、5:30出発。カラスバトが鳴き、アカヒゲを観察する。朝食後、散歩をしていたお客様から電話があり「ミヤマヒタキがいます!」と言うではないか。慌てて、民宿内や散歩をしているお客様を探して現場へ向ってもらうが、玄関に一足の靴があり、部屋をみたりトイレを叩いたり洗面所を覗いたりするが見付からない。取り敢えず、ポイントへ走り、人数を数えると全員いる。お客様のひとりが慌てて民宿のサンダルで来たというのだ。そして、全員でじっくりとミヤマヒタキを観察、撮影したのである。その後、島内を歩く。シロハラホオジロ、コホオアカが入って来たが、鳥が減った感じがする。11:00頃から雨になり、早めに民宿へ戻る。昼食後も雨はやまず、14:30に小雨となったので島内を歩く。キマユムシクイ、エゾムシクイ、キビタキ雌がたくさん入ってきてあちこちで声がする。畑の足場のパイプにとまるヨタカを教えて頂き、みなさんで観察、撮影する。しかし、木の瘤に擬態しているので丸見えなのだ。その後はアカヒゲの雌雄をじっくりと堪能する。男女諸島から奄美諸島にいる亜種アカヒゲであるが、近々、別種になるという。奄美諸島より以北のものは夏鳥として渡来し、サイズが大きく、中でもトカラ列島のアカヒゲが最も美しいと思う。そして、奄美諸島や沖縄本島のものは物凄く恥ずかしがり屋で、しかも早朝しか鳴かないのに、平島のアカヒゲは日中でも何度もみんなの前で歌ってくれる目立ちたがり屋なのだ。アカヒゲを観察しているとカジュマル林内をミゾゴイが2羽飛ぶが直ぐに林内へ隠れてしまう。夕方、センダイムシクイが入ってきてあちこちで見られる。夕方、健康広場に行くとコルリの雄が足元から飛び出し、ピリピリッ、ピリピリッなく声の方を見ると亜種サンショウクイの50羽前後の大きな群れが入って来た。夕食は島で獲れた新鮮な魚と今が旬の筍。もちろん、ミヤマヒタキの話題で盛り上がったのである。
4月29日、朝、5:30風雨の中、アカコッコが囀っている。いつも多くても2~3個体しか囀らないが、今年は一回も囀りを聞かなかったので心配していたのだが健在であった。キマユホオジロ、シロハラホオジロ、コホオアカは残っているが、鳥が出て行った感じである。朝食後、風雨の中を歩く。いつもの貯水池にアカガシラサギの夏羽への換羽中の個体がじっとしている。チュウサギ、ダイサギがぱらぱらと島へ入って来るが大きな動きはない。その後は林で雨宿りをしながらアカヒゲを観察、撮影していると、オオルリの雌も頻繁に現れてアカヒゲをいじめる。直ぐ頭の上でサンコウチョウが鳴く。「ホイホイホイ」のテンポが速いので亜種リュウキュウサンコウチョウのようだ。平島では、亜種リュウキュウサンコウチョウは夏鳥として繁殖し、亜種サンコウチョウは旅鳥として立ち寄るという。ツバメ類が何百羽と渡って行くので何か入ってきそうな期待はできる。しかし、昼頃から暴風雨となり民宿で待機する。15:30に小降りになったので神社へいくと、カラアカハラの雄が道路で採餌をしていた。しかし、直ぐに逃げてしまい、その後あちこちを探すが見付からない。春には珍しいエゾビタキが数羽電線にとまっている。しかし、ぱっとしないまま、本日は終了。
4月30日、夜中から暴風雨。6:30に小降りになったので民宿の周辺を歩く。ほとんどの鳥は抜けてしまい、新しい鳥は入って来てない。それでも、マミチャジナイ、シロハラホオジロ、コホオアカなどを観察。これらの1種でも内地で出たら200人を集められるメインエベンターの鳥だが、ここでは何となく物足りない贅沢な雰囲気が漂う。その後、横殴りの土砂降りとなり民宿で待機する。もう何回も平島に来ているが、こんなに雨の多い年は初めてで、さらにいつもは短パンで過ごすが寒くてパーカーを羽織ったままである。9:15に小降りとなったので民宿の周りを歩く。アトリの群れが畑で採餌し、シベリアアオジも混じる。オキナワシャリンバイの花にサンショウクイがとまり、みなさんで観察、撮影する。しかし、15分程で再び土砂降りとなり民宿で待機する。12:30に小降りとなり、外に出るとコムクドリの30羽程の群れが入ってきて飛び回る。その中に2羽だけ、ちょっと違和感のある飛び方をしている個体がいる。群れはガジュマルにとまって実を食べるが見えるのはコムクドリばかりで、コムクドリだったのかな、と諦めかけた時、お客様が「顔の白いのがいる」と写真を撮られたので見るとシベリアムクドリの雄であった。その後、シベリアムクドリが入ったコムクドリの群れは飛んではガジュマルに降りるを繰り返すが、なかなかシベリアムクドリを確認できない。神社の前ではコホオアカ、キマユホオジロ、キビタキが餌を啄む。コムクドリの群れは落ち着かず、あちこちのガジュマルを転々とするので、それぞれ思い思いのポイントに散らばって観察する。すると、診療所の横にキガシラセキレイの雌が降りたので、再び皆さんを呼び集める。しかし、全員で観察とはいかなかった。16:10に雨が激しくなり16:45に終了。それにしても雨が多い年なのだ。
5月1日、5:30に強風の中を出発。広場へ行くとダイサギ、チュウサギ、コサギ、アマサギ、アオサギなどの大きな群れが入ってて、さらに次々と渡ってくる。こんな時はいいものが入っている予感がするのだが時間切れとなり6:30に朝食。雨の中を港まで歩いたお客様が、シマアカモズやインドハッカを観察する。港でフェリーを待っていると島では珍しいトビが上空を舞う。8:30 「フェリーとしま」は鹿児島に向けて南之浜港を出港。オオミズナギドリ、カツオドリなどを見ながら鹿児島港へ向かったのである。今年は、雨ばかりであったがミヤマヒタキを始めいろいろと珍鳥がたくさん見られた平島でした。みなさま、お疲れ様でした。
宮島 仁