【ツアー報告】東シナ海第二の秘島・甑島(こしきしま) 2019年4月21日~24日
(写真:クロウタドリ 撮影:高木信様)
4月21日、12:20羽田空港、伊丹空港からのお客様と合流し、専用バスで港へ向かう。照葉樹林の山々はちょうど芽吹きの時期でブロッコリーのようだ。港の周りでメジロ、エナガ、セッカなどを観察。その後「高速船 甑島」は出港。甑島商船株式会社のフェリーであり、総トン数199トン、定員200人。出港するとカツオドリが飛来しダイビングをして餌を獲る。海はベタ凪で何度も飛び出すトビウオをみなさんで見て盛り上がっていると、スマートな鳥が3羽着水している。シロハラトウゾクカモメだ!毎年、甑島航路やトカラ列島航路で見られるので、この時期にかなりの数がこの海域にいるようなのだ。さらにオオミズナギドリ、カンムリウミスズメなどを見ながら下甑島に着岸。急いでホテルに荷物を置いてホテル周辺を歩き、カラスバト、ヤマガラ、ヒヨドリ、ヤブサメなどを観察、撮影する。下甑島での宿泊先はスタッフみなさまの親切な対応と甑島近海で獲れた新鮮な魚介類をふんだんに使った料理が素晴らしい落ち着いた雰囲気のホテルなのである。
4月22日、朝、ホテルの周りで鳥を見る。カラスバトが何回か飛び、ヤブサメやヤマガラが囀る。リュウキュウキビタキやズアカアオバトといった南の島の鳥たちも囀り、渡りの島を実感する。朝食後に現地ガイドと合流。彼は毎日、仕事の合間に鳥をチェックしてくれるのでリアルタイムの情報を頂けるので非常に助かっているのだ。まず付近の木にクロウタドリがいたとの情報で行くが、現れないので、耕作地へ行き農道を歩く。ここは唯一、耕作地が広がっていて、いろんな鳥が入ってくる場所であり、中には日本で数回しか記録の無いような珍鳥も観察されている。ダイサギ、チュウサギ、アマサギの群れの中に冬羽のアカガシラサギを発見。さらにホオアカ、コホオアカ、ホシムクドリなどがいてみなさんでじっくりと観察、撮影する。前日まで、キガシラシトドがいたという場所へ行くが、残念ながら抜けてしまったようだ。昼食後に広場に行くとヤツガシラが飛び立ち、近くの桜の木にとまる。さらに飛び立ち、桜の花が残っている枝にとまる。ちょっと距離はあるが桜の花とヤツガシラという素晴らしい風景をみなさんで観察、撮影する。その後は照葉樹林内の林道を歩く。エゾムシクイが鳴き、カラスバトが飛ぶ。すると幼羽が残るキビタキ雄の第一回夏羽が愛想良く飛び回ってくれ、みんなで楽しんでいると、コルリの雄が出て来て採餌を始める。藪の中から出入りを繰り返すがみなさんでじっくりと堪能していると、頭上にオオルリの雄がとまり、こちらもみなさんで観察、撮影する。上空にはツバメ数十羽が飛び交いアマツバメも飛んでいく。夕方再びクロウタドリのポイントに行き車内で待つ。暫くするとクロウタドリの雄が歩いてきて落ちたアコウの実を食べる。警戒心が強くて、直ぐに隠れてしまうが、再び現れて餌を食べる姿をみなさんでじっくりと観察、撮影。渡りの鳥たちをたっぷりと堪能して観察終了。ホテルには2つの露天風呂があり、一つは照葉樹林の山が迫り、もう一つは東シナ海が展望できる。
4月23日、朝、ホテルの周りでカラスバト、カワラヒワ、ヤマガラ、ウグイスなどを観察。朝食後に専用車で出発し、耕作地へ行き農道を歩く。昨日、確認した種にハクセキレイの亜種ホオジロハクセキレイやムナグロなどが加わった。その後は海岸へ行きアマツバメを観察、撮影する。近くの岩場に繁殖地があるようで70~80羽のアマツバメが乱舞しているのだ。また、ここの沖合にはフランスの皇帝の横顔に似ていることから「ナポレオン岩」と呼ばれている高さ127mの奇岩があり、カツオドリの繁殖地となっているのだ。その後は毎年、繁殖しているミサゴの巣を見るが、今年は繁殖をしていないようだ。12:15に昼食。昼食後、薩摩川内市鹿島支所内にある化石の展示スペースへ行く。下甑島には約8000万年前の白亜紀後期の地層があり、国内初、アジア4例目の角竜ケトラトプス類の歯根やパラサウロロフスの大腿骨、肉食恐竜の歯と肋骨など多くの化石が発掘されているのだ。その後、風雨が激しくなり14:00に再び耕作地を廻るが新しい鳥は入っていない。15:00 郷土資料館に展示されているガイドさんの野鳥の写真展を見に行く。改めてこの島の凄さを実感する素晴らしいお写真が多数あってみなさんが釘付けとなる。その後は海岸でセグロカモメとニシセグロカモメが並んでとまっているのでみなさんでじっくりと違いを見比べる。さらに風雨が激しくなったので早めに終了してホテルに戻る。
4月24日、朝、ホテル周辺を歩くが雨が降って来たので撤収。朝食後、昨日からの風雨で何かいい鳥が入っていないかと期待して農道を歩くが、ビンズイ、ツツドリが新しく入ったくらいで鳥影が薄い。昨日、凄い珍鳥ばかりの写真展を見たのでみなさまの期待が大きい。昼食後は山道を歩く。エゾムシクイがたくさん入ったようであちこちで鳴く。カラスバトが頭上をガラガラガラ・・・・と鳴きながら飛翔する姿を観察して終了。14:35 「フェリー ニューこしき」は出港。デッキからカンムリウミスズメやカツオドリを観察して、16:15に港に着岸。専用バスで鹿児島空港へと向かったのである。みなさま、お疲れ様でした。そして、ありがとうございました。
宮島 仁