【ツアー報告】フォトツアー 早春の三宅島でカンムリウミスズメを撮る! 2019年4月26日~28日
(写真:カンムリウミスズメ 撮影:福田信一様)
この時期、三宅島近海にある大野原島、通称、三本岳に繁殖のためにやってくる国の天然記念物、カンムリウミスズメを撮影することを目的としたツアー。ここ数年は三宅島観光協会のご協力をいただいて催行させていただいています。ただ、この時期はあまり海況が良くないことからなかなか船を出すことができていないとのことで、なんと今期はまだ一度も船が出せていないとのことでした。我々のツアーではそういったことも考慮して2日間で2度、船をチャーターしてなんとか海に出ようと考えていますが今回はどうでしょうか。
26日、ゴールデンウィーク突入のタイミングに合ってしまったことから、かなり混雑している竹芝桟橋にご集合いただき、その後は資料配布、翌日の案内などをしてから乗船しました。そして22:30に橘丸は三宅島に向けて出港したのでした。
27日、早朝04:30に船内アナウンスが入り04:45に橘丸は三宅島伊ヶ谷港に着岸しました。到着時は曇り空で雨は落ちていませんでしたが、宿に向かう途中からは激しい雨になり、まずは宿にて各自朝食をとっていただきました。06:30には観光船の担当者から電話があり、現状海況が悪いことから午後に変更したいとのことで、ひとまず徒歩探鳥を行うことにしました。まずは宿前でオーストンヤマガラ、ホオジロ、シジュウカラなどを観察し、カラスバトの声を聞きながら歩き始めました。小道ではさかんにさえずるイイジマムシクイが各所で見られたほか、モスケミソサザイ、タネコマドリが歌い、渡り途中のキビタキの姿がありました。また池にはダイサギ、コサギ、オオバンの姿がありました。一旦宿に戻って昼食の時間とした後は担当者からの説明の後乗船し、三本岳クルーズ出港となりました。時折大きなうねりがありましたがものすごい数のオオミスナギドリが乱舞し、巨大なクロアシアホウドリが悠々と待っている姿は圧巻でした。なんとか三本岳まではたどり着きましたが、ここでうねりがかなり大きくなってしまったことから危険判断ということで残念ながら探鳥は断念して港に戻ることにしました。一旦宿に戻った後は海水を浴びてしまった機材のケアをしてから徒歩にて探鳥に出かけました。雨が降ったり止んだりという不安定な状況でしたが、ここでようやく三宅島のシンボルバードのアカコッコが間近にひょこっと現れて、じっくり撮影させてくれました。
28日、待ちに待った快晴の中、ひとまず歩いて早朝探鳥に出かけました。早朝はアカコッコが2羽、地面でせっせと餌を探す姿をじっくりと観察し、朝食をいただいた後、漁港に向いました。バスから見た海は明らかに昨日よりも凪いでいて、快晴だったことから御蔵島や式根島、大島、そして富士山まではっきりと見ることができました。到着後は07:30に出港して三本岳を目指しました。三本岳が近ずいてくると次第にオオミズナギドリが増え、この日はアホウドリの亜成鳥が巨大な姿を見せてくれました。ただ肝心のカンムリウミスズメの数が少ないようで、なかなか出会うことができませんでした。結局、数回その姿を見ることはできましたが、じっくりと撮影するようなシーンはなく、残念な結果になってしまいました。毎回、少なくとも20個体ほどを見ていたこと、また海況が良かったことから安心していましたが、今年は個体数が少ないようでした。漁港に戻った後は一旦宿に戻り、その後は再びアカコッコ館に向いました。僅かな時間でしたが、この日もイイジマムシクイ、モスケミソサザイ、シチトウメジロ、そして最後はまたまた愛想の良いアカコッコがやってきて最後に良いポーズをとってくれました。11:30から昼食をとっていただいた後は荷物整理をしていただき、12:15に出発して錆が浜港に向いましたが、この日は橘丸が20分ほど遅れているとのことで、急遽、ドライバーさんのサービスで島内のさまざまなポイントをめぐる「島内一周」をしながら港に向かうことにしました。三宅島の噴火の歴史を物語る三七山の噴火口や溶岩に飲み込まれた椎取神社、そして溶岩をせき止めた形になった阿古小学校跡などを見学して錆が浜港に到着しました。結局、橘丸は13:50に三宅島に到着し、50分ほど遅れて14:20に出港しました。ただここからの時間もわずかながら海鳥観察ができることからデッキに来ていただき海鳥観察を行いました。しばらく静かな状況が続きましたが、アホウドリ亜成鳥が見られ、続いて2羽のアホウドリが着水していました。たまたまこの時間は風が弱く、風速は1mだったことから着水してしまっていたようでした。またカンムリウミスズメが飛び、やや遠くを飛翔していたアホウドリの成鳥がグイグイ近づき、我々の前を飛翔してくれました。またクロアシアホウドリの姿を見ることもできました。
さて、今回は幸にも2度クルーズを行うことができましたが、初日は海況悪化で断念する形となってしまい、翌日は海況は良かったもののカンムリウミスズメの個体数が少ないのか、なかなか出会うことができず、思ったような撮影ができず残念な結果となってしまいました。特に2回目は海の状況も天候も良かったので残念でした。ただ、三宅島内では僅かな時間ながらも探鳥を行うことができ、シンボルバードのアカコッコやさえずるイイジマムシクイの撮影をすることができました。また帰りの航路上ではアホウドリの成鳥が良いところを飛翔してくれたため撮影することができました。時期的にはなかなか難しい時期ではありますが、間近にカンムリウミスズメを撮影できる場所がなかなかないため、今後も企画していきたいと思います。この度はご参加いただきましてありがとうございました。
石田光史