【ツアー報告】珍鳥が渡る!春の与那国島 2019年3月27日~30日
(写真:オオチドリ 撮影:八神健一様)
いよいよ春の渡りシーズンを迎え、早くも南西諸島では渡り鳥の姿を見る機会が増えてきました。それに合わせるように毎春恒例になっているのがこの与那国島へのツアーです。春の与那国島の特長といえば大きなハズレがないことでしょう。毎回なにかしらの珍鳥に出会うことができ、言うまでもなく意外な出会いにも期待できます。また行程の関係から2日目の午前中までは石垣島に滞在することから石垣島での探鳥も行います。今年は大きな天気の変化がなく例年に比べると涼しい4日間になるとの予報でした。
27日、この日は東京からのお客様と現地集合のお客様、そしてこのツアーの前に催行された石垣島と西表島から連続でご参加のお客様と石垣空港で合流してから探鳥に出かけました。石垣島では八重山3点セットと呼ばれる、カンムリワシ、ムラサキサギ、ズグロミゾゴイ、そしてカタグロトビの4種を見ることに重点を置いていることから、まずはサトウキビ畑でよく見られているカタグロトビを探しに向かいました。到着するとたまたま草刈りをしていたことからムラサキサギが2羽、せっせと餌を探していて成鳥と幼鳥を同時に見ることができました。またしばらくするとカタグロトビがスイスイと飛び、枯れ木にじっと止まってくれたためあっさりとその姿を見ることができました。そのため早めに次のポイントに移動しました。水田では電柱に止まるカンムリワシの成鳥に出会うことができ、それほど警戒していないため少しずつ近づいて撮影することができました。その後はトイレ休憩をとりましたが、意外なことにここでズグロミゾゴイに出会うことができ、あっさりと八重山3点セット+カタグロトビの4点セットを観察することができました。やや時間があったことから溜池にいるシマアジを見に行きました。ここではシマアジのほか、南西諸島では珍しいホシハジロの姿があり、アオアシシギ、ツルシギ、オオハシシギといったシギ類の姿もありました。そして最後は夕方になると行動を始めることが多いズグロミゾゴイを見るために移動しました。まずは周辺を歩き、畑地を走るシロハラクイナが見られたほか、狙いのズグロミゾゴイの姿もありました。その後は間近にズグロミゾゴイの姿を見ることができ、また海岸では岩礁に群れるムナグロやキョウジョシギ、そして南西諸島らしく白いクロサギが複数見られ、初日の探鳥は心地よい風を受けながら、意外にも順調過ぎるくらい順調に終えることができました。
28日、この日は曇り空の中、早朝探鳥を行いました。公園ではハクセキレイ、亜種タイワンハクセキレイ、キセキレイ、ツメナガセキレイ、シマアカモズ、イソヒヨドリ、荒れ地には数多くのコチドリとシロチドリが見られました。朝食後の出発時には青空が広がる中、この日は八重山3点セットはすでに見られていることからヤツガシラを探して情報のあったポイントをめぐりました。ただ残念ながらすでにその姿はなく、カンムリワシの幼鳥やイシガキシジュウカラを見てから石垣空港に向かいました。その後、与那国島空港到着後は一旦ホテルに入っていただき、昼食後に探鳥に出かけました。まずは水田で、これぞ春の与那国島と言っても過言ではない夏羽のオオチドリに出会うことができ、ほかにもセイタカシギ、タカブシギ、タシギ、コチドリなども観察することができました。その後はタヒバリ、与那国島では珍しいシメ、シロハラ、その後は南牧場回りで西崎に向かい、ジョウビタキのメス、最後はカラムクドリ、ギンムクドリを観察してこの日の探鳥を終えました。
29日、この日は日の出よりもやや早い06:30に外に出て見ました。早朝らしくさまざまな小鳥たちのさえずりが聞え、クワの実にはアカハラ、シロハラが来ていました。朝食後は新たに加わったオジロトウネンやトウネン、移動したと思われるオオチドリを海岸で観察し、水田ではちょっと意外なナベヅルと夏羽のアマサギを見ることができました。池でスズガモ、ハシビロガモ、その後は水田で美しい夏羽のアカガシラサギに出会うことができました。その後は一旦昼食とし、午後は水田に向かい、セイタカシギの群れ、ホウロクシギ、タシギ、そしてムネアカタヒバリやホオジロハクセキレイも見ることができ、どうしたことか乾いた荒れ地をノコノコ歩く夏羽のアカガシラサギを見ることもできました。その後はこれといった情報がないことから、与那国島の観光ポイントである立神岩を見て、途中の林では繁殖地に向かい途中の数羽のサシバが飛び交い、電柱に止まったり木に止まったりして羽を休めていました。そしてこの日も水田にまたまたやってきました。この日は朝に見られたオジロトウネンやトウネン、タカブシギ、そして良く見ると縁を歩くヒクイナの姿もありました。またどこからやってきたのか10羽ほどのツバメチドリが乱舞し、水田に降りたり飛翔したりして楽しませてくれました。そして最後は再び電線に止まっているカラムクドリを間近に観察してこの日の探鳥を終了しました。
30日、この日は深夜に雨が降ったようで水たまりがある中、06:30に外に出てみました。すでに雨は上がり、次第に空が明るくなる中、小鳥たちの声は前日よりも多くなったように感じがしました。朝食後はとにかくできる限り多くのポイントを回ろうということで、まずは西崎からめぐり、その後は牛舎付近でコホオアカ、シマアカモズを見ることができました。また水田まで移動するとシマアジを捕らえたオオタカが地面に佇んでいて、渡り途中の野鳥たちの厳しい一面を垣間見ることができました。またシマアジのオス、そしてこの日は新たにアカアシシギが加わり、30羽ほどの群れで飛ぶタカブシギ、数羽で餌を探すホオジロハクセキレイの小群の姿もありました。その後は海岸で間近にオオチドリが見られ、ツメナガセキレイ、ツバメチドリ、セイタカシギなどを観察してからホテルに戻り、荷物整理をしてから帰路につきました。
今年の石垣島与那国島ツアーは4日間を通して大きな天気の変化がなく、例年に比べてかなり涼しい印象でした。いくつかの種とはタイミングが合いませんでしたが、石垣島ではカンムリワシ、ムラサキサギ、ズグロミゾゴイ、カタグロトビを観察することができ、与那国島では美しいオオチドリ、アカガシラサギの夏羽を見ることができました。またツバメチドリ、ツメナガセキレイ、ムネアカタヒバリ、ギンムクドリ、カラムクドリ、シマアジ、コホオアカ、タイワンハクセキレイ、ホオジロハクセキレイ、そして意外にもナベヅルに出会うこともでき、春の渡り鳥たちを数多く観察することができました。渡り鳥の観察は毎年毎年出会いが変化するため飽きないものです。また石垣島与那国島は秋も企画しております。またの機会、南西諸島の渡りを観察しにお出かけください。この度はご参加いただきましてありがとうございました。
石田光史