【ツアー報告】大洗航路の海鳥と北海道の小鳥たち 2019年3月7日~10日
(写真:ハシブトウミガラス 撮影:高木信様)
3月中旬の大洗~苫小牧航路はウミスズメ類観察のピーク期に当たるため航路探鳥のみのツアーも企画していますが、ちょうど道内では冬鳥たちの渡り期を迎えているほか、魅力的な留鳥たちも楽しめる時期であることから、苫小牧市内で1泊して苫小牧周辺での探鳥も加え、4日間としたのがこのツアーです。今回は往路がドック入りの関係から毎回乗船している深夜便さんふらわあしれとこ/だいせつではなく、昨年就航したばかりの新造船「さんふらわあ ふらの」になりました。
7日、これといったトラブルなく、集合時間の22:30には全員のご集合が完了したため、資料配布、トラベルイヤホン使用方法説明、そして翌日の連絡事項をお伝えし、最後に3月の大洗航路で見られるウミスズメ類基本3種についての識別ポイントの解説を行ってから乗船して、早めにお休みいただきました。この日はドック入りの関係から、通常は夕方便に就航している「さんふらわあ ふらの」に乗船しました。昨年春に就航したばかりの新造船のためとてもきれいな船でした。
8日、この日は金華山沖から日没まで海鳥観察を行い、アビ類、アホウドリ類、ウミスズメ類、カモメ類などを観察しました。ただこの日はかなりの強風がずっと吹き荒れていたことから苫小牧到着が遅れました。
9日、この日は穏やかな晴天の中、ホテルで朝食をいただき、まずは公園に向かいました。毎回毎回積雪のためバスを駐車場に入れるのにも苦労するのですが、今回は全体的に雪が少なく、というよりもほとんど雪がなく驚きました。渡り期を迎えているせいか園内ではツグミの姿が目立ち、地面が見えている場所で地上採食していて、同じように餌を探すシメやカワラヒワの姿もありました。また林に向かうとせっせと餌を探すシロハラゴジュウカラが楽しませてくれたほか、シジュウカラの群れやヤマガラ、ハシブトガラを見ることもできました。その後に訪れたポイントでも毎回積雪が多く、ラッセルしながら歩くのですが駐車場には全く雪はなく地面が見えていました。早速、ハシブトガラが間近にやってきてくれ、地面に降りているミヤマカケス、美しいアカゲラの姿もありました。また人気者のシマエナガまでやってきてくれる大サービスでした。園内に入るとエゾリスが現れ、付近では水を飲むミヤマカケスが5個体ほど見られました。その後は池でホオジロガモのメスが見られ、冬季にはあまり見かけないルリビタキが地上で餌を探していました。やや進むとまたまたシマエナガの群れがやってきて楽しませてくれましたが、気温が高い日が続いたことから雪が解け、そのせいか道の表面がスケートリンクのように凍っていて危険なため、ここからは凍っていない森の中の小道を歩いて戻ることにしました。ここでもまたまたフレンドリーなハシブトガラやシロハラゴジュウカラ、ヤマガラなどが間近に見られ、ミソサザイが地面を這うように採食していました。すると「コロコロコロ・・・」というクマゲラ独特の声が聞こえ、見上げると独特のフワフワした飛翔でクマゲラが我々の頭上を悠々と飛翔していきました。その後は駐車場まで戻り、オオタカやオジロワシの飛翔を見てから移動しました。到着時にはちょうどお昼になったことからまずは各自昼食をとっていただき、その後に探鳥を行いました。凍った湖面にはオオワシやオジロワシ、オオハクチョウ、マガンの姿があり、ヨシガモ、ヒドリガモ、カルガモ、オナガガモなどのカモ類の姿もありました。周辺の林は閑散としていましたが、飛翔するカササギが見られ、その後は勇払マリーナに移動しました。移動途中にもバス車内からカササギの姿が見られる中、港では間近にクロガモ、ホオジロガモの姿があり、遠くにはスズガモやコガモ、シノリガモも見られました。また電柱には美しいシロカモメの成鳥が止まり、海岸まで行くとカモメが飛びながら餌を探していました。海上のカモ類はかなり少ない印象でしたが、クロガモの小群が各所に見られたほか、たった1羽ながらハジロカイツブリの姿も見られました。その後は周辺の畑地を流してマガンの姿を探してみました。道内のマガンの春の渡りのピークは4月20日頃ですがすでに多くのマガンたちが渡ってきており、この日も2か所で100羽ほどのマガンの群れが見られました。その後訪れた漁港ではヒドリガモ、クロガモ、そして可愛らしいディスプレイを繰り返すホオジロガモを観察し、その後はズラリと並んだオオセグロカモメ、シロカモメ、ワシカモメ、海上で餌を探すアビ、そして堤防上に止まるオジロワシ、最後は周辺を歩き、ハイイロチュウヒのオスをご覧になった方がいらっしゃいました。そしてオオハクチョウが続々と塒入りし、ノスリがホバリングを繰り返す中、探鳥を終了して苫小牧フェリーターミナルに戻りました。到着後は一旦自由行動とし再集合していただいてから帰りのチケットを配布して「さんふらわあ しれとこ」に乗船しました。
10日、この日は日の出から金華山沖まで海鳥観察を行い、アビ類、アホウドリ類、ウミスズメ類、カモメ類などを観察しました。塊状に飛翔するエトロフウミスズメの群れも見られ、ようやく3月航路らしいシーンがわずかながら見られました。
昨年、残念ながら欠航中止になってしまったこのツアーですが、今年はなんとか催行でき幸いでした。ただ往路はかなり風が強く、そのため到着が40分ほど遅れてしまい夕食の時間もズレ込んでご苦労おかけしました。また往路ではほぼウミスズメ類が見られず残念でした。ただ復路は海況も良くなり、数こそ少なかったものの塊状になって飛翔するエトロフウミスズメが見られたほか、たまたま穏やかな場所では着水状態のハシブトウミガラス、ウトウ、ウミスズメ、最後はかなりの数のシロエリオオハム、そして愛嬌あるキタオットセイの姿を楽しむことができました。また道内では1日だけではありましたが周辺を巡り、北海道だからこそ見られるハシブトガラ、シロハラゴジュウカラ、シマエナガ、ミヤマカケスに出会うことができ、わずかな時間ながらクマゲラの姿を見ることもできました。また海ではクロガモやホオジロガモ、シノリガモ、シロカモメ、ワシカモメ、そしてアビにも出会うことができました。今後も定期航路を利用した海鳥観察ツアーを継続して企画してまいりますのでよろしくお願いいたします。この度はご参加いただきましてありがとうございました。
石田光史