【ツアー報告】フォトツアー 冬の道東巡り 2019年3月1日~4日

(写真:エトロフウミスズメ 撮影:中谷博之様)

毎年冬の恒例ツアーの冬の道東巡りは大好評ですが、冬の道東は撮影もお楽しみいただけることから、冬の道東巡りの撮影バージョンとして企画したのがこのフォトツアーです。流氷観光船からのオオワシ、オジロワシ撮影やシマフクロウの撮影、そして雪原に舞い踊るタンチョウの撮影はすっかりお馴染みですが、我々のツアーではこれらに加えて、人気のシマエナガを中心とした小鳥類の撮影、さらには落石クルーズでの海ガモ類、ウミスズメ類の撮影、そしてもちろん最新情報に基づいてエゾフクロウ、チシマウガラスも狙うことでツアーとしての満足度を上げています。3泊4日という設定としてはもうこれ以上、詰め込むことができない完成度であると自負しています。今回も前回に引き続いて天候も概ね良く、穏やかで暖かくなるとの予報の中での出発となりました。

1日、快晴の中、予定通りに羽田空港を出発して現地に向いました。この日は羅臼町に宿泊することから直行はせず、到着後は空港内にて観察機材準備をしてから出発しました。この日はまず港に行きましたがカモ類の数は少なく、僅かにホオジロガモ、ウミアイサなどが見られたのみで早々に出発して羅臼港に行ってみることにしました。途中、羅臼が近づいてくると海面には陸地のような真っ白い流氷があり、かなり陸地に近い場所まで覆いつくしていました。羅臼港は残念ながら氷に埋め尽くされ、僅かにカワアイサやスズガモが見られただけで撮影とは行きませんでした。今期は小鳥類の少なさが目立ちますが、カモ類も同様に少ない印象でした。到着後は周辺に止まるオオワシやオジロワシ、そしてカワガラスの撮影をしつつ一旦お部屋に入っていただき、その後は夕食をいただいてからこの日のメインであるシマフウロウ撮影に取り掛かりました。厳冬期はシマフクロウは繁殖期のためどちらかというと見づらいのですが、この日は驚いたことに早速姿を見せ、一旦姿を消したものの1時間ほどで再び餌場にやってきました。また数時間後からは不気味な鳴き交わしが始まったかと思うとまたまた餌場にやってきてくれました。その後は撮影を一旦終えましたが深夜には何度となくその姿を見ることができました。ただ日付けが変わった頃からはいきなり強風が吹き始め流氷の状態が心配になりました。

2日、この日は流氷観光船乗船のため早朝に宿を出発して港に向かいました。幸い強風は止み、波も穏やかでしたがあれだけあった流氷は去り、この日はある程度航行して流氷を探すことになりました。結局しばらく走った沖合に大きな流氷がありましたが、風が強くなり波も高くなってきてしまったため引き返し、港周辺でワシ撮影を行うことにしました。幸い漁港付近には僅かながら流氷が残り、漁港内にもあったため乱舞するオオワシとオジロワシの撮影を楽しむことができ、付近ではオオセグロカモメ、シロカモメ、ワシカモメ、漁港内ではシノリガモの姿もありました。撮影後は一旦宿に戻って朝食をいただき、その後は次ぎのポイントに向かいました。ただ今期はどこも小鳥類の情報がなく、そのため少々早めにこの日の宿泊地に向かい、シマエナガをはじめとした小鳥類の撮影に時間を使うことにしました。到着後は一旦お部屋に入っていただいてから撮影を行いました。相変わらずハシブトガラ、シロハラゴジュウカラ、アカゲラは引っ切り無しにやってきてさまざまな姿を見せてくれ、またミヤマカケス、シジュウカラ、ヒガラ、コゲラの姿も見られました。そしようやくお目当てのシマエナガのつがいと思われる2羽がやってきてくれ、この日は驚いたことにヤマゲラのメスも姿を見せ、かなり冷え込んできた17:00前まで撮影をしてこの日の撮影を終えました。

3日、この日は日の出直後から撮影を開始し、まずは鳴きながら林の上空を飛翔するオジロワシの姿が見られました。この日も厳しい寒さはなく早朝は-12℃でした。相変わらずハシブトガラ、シロハラゴジュウカラ、アカゲラは引っ切り無しにやってきてくれ、シジュウカラ、ヒガラ、コゲラも何度もやってきてくれました。シマエナガはなかなかやってきてくれませんでしたが、09:00を境に何度もやってきてくれ、盛んに樹液を飲む可愛らしい姿を撮影することができました。この時点では出発時間は決めていなかったのですが、シマエナガの撮影も順調だったことから予定よりもやや早く出発してタンチョウ撮影に向かうことにしました。途中、ちょっと寄り道してエゾフクロウを見に行きましたが残念ながら出会うことができず、ただタンチョウは雪原に舞い踊り、飛翔する姿や代表的な鳴き交わしや求愛ダンスを撮影することができました。この日はその後の行動もはっきり決めていませんでしたが、タンチョウの撮影も順調に進んだことから午後はに出発して根室方面に向かい、納沙布岬を目指しました。驚いたことにこの日の鶴居村は+2℃で春のような暖かさでした。途中、厚岸町、根室市で休憩をとり、最終的には根室半島の東端、話題の納沙布岬までやってきました。もう夕方でしたが、この時間になると集まってくるヒメウに混じるチシマウガラスに期待しましたが、この日はなぜか岩場にはヒメウの姿はなく、そのため灯台付近まで行ってみることにしました。海上を眺めるとクロガモの姿があり、テトラポット付近にはシノリガモの姿があり、岩場に止まったりしたことからじっくり撮影することができました。またスイスイと泳ぐラッコが盛り上げてくれました。そして17:00過ぎには沈んでいく夕陽を見ながらホテルに向かいました。

4日、このツアーの最後を飾るのは我々の道東ツアーではすっかり定番になった落石クルーズです。漁船クルーズのため天気やら風が気になるところですが、この日は朝から天気は良く、風もなかったため一安心でした。朝食を06:30からいただき、07:30に出発して30分ほどで落石漁港に到着しました。到着後はライフジャケットの装着などをして各自準備をしていただき、その後乗船して出港しました。出港時にはやや風がありましたが概ね穏やかな状況でした。漁港内ではクロガモ、ウミアイサ、コオリガモなどを撮影し、その後はここ数日で一気に個体数が増えたというエトロフウミスズメを求めて外洋に出ました。船長さんもその情報を共有されているようで、出港前にすでにエトロフウミスズメがたくさん見られている海域に行く話をしていました。船は通常よりも島から離れた航路をとっているようで、いつもよりもやや島から離れている印象でした。すると間もなく周辺を真っ黒い塊状に飛翔するエトロフウミスズメの群れが出現しはじめ、進むにつれて周辺はエトロフウミスズメだらけといった状況になっていました。右を見ても左を見てもあちこちにエトロフウミスズメの大群が着水し、時には数千羽単位の大群が一斉に飛び立ったり、水しぶきを上げながら着水する様子は圧巻としか言いようがなく、また過去にこれだけの大群を見たことがなかったので大変驚きました。また周辺ではコウミスズメも引っ切り無しに見られ、船に驚いて飛び立っていく姿や小群で着水している様子なども見られました。またこの日はケイマフリがやや少なく、それほどじっくりと見る機会がなかったですが、唯一、ウミバトは白っぽく見える亜種アリューシャンウミバトが見られ幸いでした。ただこの個体は警戒心が強いようで一定の距離感を保っていました。全体的にはエトロフウミスズメ撮影に時間を費やしましたが帰りはクロガモ、コオリガモ、シノリガモといったカモ類、岩場ではオオワシとオジロワシも見られ、大興奮の中、落石クルーズを終えることができました。

さて、今年のフォトツアー冬の道東巡りはめまぐるしく状況が変化する4日間でした。出だしのシマフクロウは好調でしたが、深夜の強風で流氷が離れてしまい改めて流氷のタイミングの難しさを思い知らされました。もちろんオオワシ、オジロワシの撮影はできましたが広大な流氷で撮影したかったものです。またエゾフクロウ、チシマウガラスに出会えなかったのも残念でした。ただシマエナガ撮影ではヤマゲラも撮影できる幸運があり、タンチョウの舞い、そして最終日の落石クルーズでは過去に見たことがなく、今後見られるかどうかわからないような想像を絶するようなエトロフウミスズメの大乱舞を堪能する幸運がありました。今後も道東お魅力を凝縮した形のツアー造成をして参りますのでご期待ください。ご参加いただきました皆様、お疲れ様でした。

石田光史

コウミスズメ 撮影:上田恵様

 

タンチョウ 撮影:小柳勝様

 

シマフクロウ 撮影:中谷博之様

 

ウミバト 撮影:上田恵様

 

ヤマゲラ 撮影:小柳勝様

 

オオワシ 撮影:中谷博之様

 

ミヤマカケス 撮影:上田恵様

 

エトロフウミスズメ 撮影:小柳勝様

 

シマエナガ 撮影:中谷博之様

 

シロエリオオハム 撮影:上田恵様

 

アカゲラ 撮影:中谷博之様

 

エトロフウミスズメ 撮影:上田恵様

 

コウミスズメ 撮影:中谷博之様

 

タンチョウ 撮影:中谷博之様

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