【ツアー報告】九州縦断 出水と有明海(追加設定) 2019年1月22日~24日

(写真:ツクシガモ)

毎冬恒例のツアーとして長期に渡ってご好評いただいいているのが冬の九州です。ただこの長い月日を経過するにあたり、過去に目玉だった種がいくつか飛来しなくなってしまったこともあり、毎年のようにさまざま考慮して探鳥地を変更しながら継続してきました。ただ、メインとなる数万羽の越冬ツル、そして有明海の干潟に群れるシギチドリ類は健在で、他にもクロツラヘラサギやヘラサギ、ズグロカモメ、ツクシガモ、ホシムクドリ、カササギなどは当たり前のように見られ、特別な種が見られなかったとしてもその楽しみは十分です。幸い今回はずっと晴れマークが並ぶ中での出発となりました。

22日、気持ちの良い快晴の羽田空港をやや遅れて出発し、鹿児島空港に向いました。到着後は観察機材準備を行い、まずはバスにて貯水池に向かいました。桜島が一望できるこの場所では、まず群れるツクシガモの姿を間近に見ることができ、ほかにも20羽ほどのクロツラヘラサギ、そしてその中に1羽のヘラサギの姿もあり、早速冬の九州の代表種が出迎えてくれました。よく見ると干潟状になった場所ではバン、オオバン、タシギが歩き回りながら採食し、「チョーチョー」という声と共に餌を探すアオアシシギの姿やハマシギの姿もありました。30分ほど探鳥した後は万羽ツルが群れる出水に向かって移動しはじめましたが、まずは途中で休憩をとり、その後はちょうど中間点にある川内川で探鳥しました。過去に何度もヤマセミに出会っていますが、この日は残念ながらその姿はなく、カモ類の数も少ない印象でした。ただキセキレイ、ハクセキレイ、セグロセキレイが元気よく飛び回りながら餌を探し、無数のツバメが飛び、場所を変えると高木にオオタカが止まっていました。その後は一旦トイレ休憩をとり、このツアーの最初の目玉であるツルたちを見るために出水に向かいました。ここまでは春のような暖かさでしたが出水ではやや風が出てきたことから冷え込んできました。まずはバスを止めてカナダヅルを観察しました。どうやら4羽で行動しているらしく、ちょうど順光の中、時には畦に乗ったりしてくれたためじっくりと観察することができました。周囲にはマナヅル、ナベヅルの群れもいましたが、この日はそれよりもミヤマガラスの大群が飛び交う姿が見事で、最後はバス車内からコクマルガラスの成鳥個体も見ることができました。その後は場所を変えて観察し、距離はあったもののクロヅルの姿も見ることができ、越冬ツル4種を早速見ることができました。そして最後は西干拓に移動して周囲のツルを観察しましたが、驚いたことに1羽のマガンがナベヅルに混じって採食していました。この日は天気が良かったことから見事な夕陽を見てからホテルに向かいました。

23日、この日は日の出は07:15のためホテルを06:30に出て干拓に向かいました。到着して15分ほど経つと給餌のためのトラックがやってきて餌を撒く作業が始まり、それに合わせるかのようにツルたちが飛翔しはじめました。毎年この光景を見ていますがツルたちが一斉に飛翔する様子はまさに圧巻という感じで見入ってしまうほどです。ほどなくしてツルたちは我々の目の前に群れはじめ、ほかにも飛翔するオナガガモの群れやタゲリ、ツクシガモ、そして最後はハイイロチュウヒのメスの飛翔を見てから朝食のため一旦ホテルに戻りました。朝食後は再び干拓に向かいツルの観察をしましたが、たまたま間近にカナダヅルの姿があり幸運でした。また電線にミヤマガラスがズラリと並んでいたため観察しに向うと、数百羽のミヤマガラスの群れに混じる比較的多くのコクマルガラスの姿を見ることができ、その中に数羽の成鳥個体を見ることもでき、木に成鳥と幼鳥が並んで止まる様子も間近に見ることができました。そして最後は西干拓に移動してタゲリ、セイタカシギなども観察してから移動しました。到着した頃には春のような暖かさになっている中、まずは昼食の時間とし、その後、河口の潮位が下がってくるのに合わせて探鳥を開始しました。周囲ではジョウビタキの姿がり、電線にはツグミやカワラヒワ、そしてニュウナイスズメの姿も見られました。潮位が下がると干潟状の場所がいくつも現れましたが、この日は残念ながら狙った場所とは違う場所にカモメ類やシギ類が群れはじめたことからよい状況で観察することができませんでしたが、期待していたズグロカモメが干潟で採食行動し、ほかにもセグロカモメ、ユリカモメ、ウミネコ、また塊状になって飛翔するハマシギの大群は圧巻で、ダイゼン、シロチドリ、ダイシャクシギなどを見ることができました。その後は今日の宿泊地である佐賀までの移動ですが、トイレ休憩も兼ねて途中にある干拓に立ち寄りました。時間も押していたことから当地の目玉であるホシムクドリを狙ってピンポイント観察を行いましたが、この日は幸いにも狙っていた場所に複数のホシムクドリの姿があり、順光だったこともあって光沢ある姿を楽しむことができました。また周囲の畑地にはニュウナイスズメが群れていたほか、1羽のホオアカも見られ、遠くの電柱にはカササギの姿もありました。探鳥後はトイレ休憩をとりましたが、驚いたことに周囲の電線にカササギが群れ、思いも寄らない形でカササギの姿をじっくり楽しんでこの日の探鳥を終えることができました。

24日、だいたい3日もいれば1日くらいは天気が悪いことが多いのですが、この日も早朝からすっきりした青空が広がっていました。この日は07:00から朝食をいただき08:00に出発して市内のヨシ原に向かいました。この日はこのツアーの目玉でもある有明海の干潟に向かう日ですが、まだまだ潮位が低いため、まずはここで探鳥しました。川で見られるカモ類の数は少なかったですが、まずはタゲリの群れが楽しませてくれ、カルガモ、ヒドリガモ、マガモに混じる1羽のアメリカヒドリのオスの姿があったためじっくりと観察しました。また周囲のヨシ原ではホオジロが歌い、ほかにもアオジ、カシラダカ、オオジュリンの姿がありましたが、期待されたツリスガラには出会えませんでした。探鳥後は30分ほど移動して有明海の干潟に到着しました。観察機材準備をしているとハイイロチュウヒのメスが飛び、用水路にはコガモ、ハシビロガモの姿がありました。その後は公園内を歩き、ツグミ、シロハラ、モズ、ジョウビタキ、メジロなどを観察しながら干潟で観察を開始しました。当地はとにかく干潟の面積が広大なことから潮位を間違えると鳥までの距離がとてつもなく遠くなり、全く観察ができないことから注意が必要です。当然のことながら我々のツアーは必ず満潮時刻に合わせてツアー企画していますから安心です。まずは海水に追われるようにこちらに向かってくるツクシガモの群れが見事な景観を作り、杭の上にはクロツラヘラサギがズラリと並んでいました。無数のハマシギが群れている場所では、よく見るとアオアシシギ、アカアシシギ、エリマキシギの姿もあり、長い嘴が特徴のダイシャクシギも歩き回っていました。どんどん潮位が上がってくると、どこからともなくズグロカモメが群れはじめ、ユリカモメ、セグロカモメ、黄色い足が目立つニシセグロカモメの姿もありました。この日はほかにもミヤコドリやコアオアシシギ、ヘラサギ、ダイゼンなども見られ、足元まで海水満ちてきた12:00には探鳥を終え、その後は駐車場まで戻って春のような陽気の中、各自昼食としました。この先は福岡空港に向いましたが、最後に少々時間があることからここまで見ることができていないツリスガラを探して今津のヨシ原に行ってみることにしました。ヨシ原に生息する小鳥のため、強風時のようにヨシが揺れる日には見づらいのですが、この日は幸い快晴無風のため期待していました。到着後はヨシ原を丹念に見ながら歩いてみました。溜池にはマガモ、ハシビロガモ、ヒドリガモのほか、コサギ、カモメの姿があり、さらに行くとヨシ原内で採食行動するツリスガラの姿がありました。しばらく観察しているとどこからともなくツリスガラが集まり出し、最後は10~15羽で忙しそうに採食する可愛らしい姿を堪能してツアーを終了しました。また帰り間際には6羽のミサゴが我々の頭上を舞って見送ってくれているようでした。

今回の冬の九州は3日間、見事な快晴続きて幸いでした。小鳥類、カモ類が極端に少ない印象がある冬となってしまいましたが、それでも九州は安定感抜群で、マナヅル、ナベヅル、クロヅル、カナダヅルの越冬ツル4種をはじめ、ヘラサギ、クロツラヘラサギ、ズグロカモメ、ツクシガモ、ミヤマガラス、コクマルガラスといった定番種、またカササギ、ホシムクドリ、アメリカヒドリ、ハイイロチュウヒ、ニュウナイスズメの群れ、干潟ではダイシャクシギ、アカアシシギ、エリマキシギ、ダイゼン、ミヤコドリ、そして最後は九州でもなかなか出会えないツリスガラの小群が盛り上げてくれました。ご参加いただきました皆様、ありがとうございました。

石田光史

ツリスガラ

 

カササギ

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