【ツアー報告】冬の北陸 河北潟と加賀鴨池・七尾湾 2018年12月21日~23日
(写真:コチョウゲンボウ 撮影:高木信様)
昨年からはじまったこの冬の北陸。長らく企画したいとは思っていましたが、現地の状況を直前まで調べていただける方に出会うことができずにいました。ただようやく現地の野鳥に精通した案内人に出会うことができツアーを実現することができました。また今季はおかげさまで追加設定になったことからまず18日出発で催行し、再び21日に出発することになりました。冬の北陸は独特の気候のため、1日のうちに天気がめまぐるしく変わり、予報が難しいのか、なかなか当たらない印象があります。ただこの3日間は比較的穏やかになるとの予報で少々安心する中、出発することができました。
21日、穏やかな快晴の東京駅を予定通りに出発してひとまず新幹線で金沢駅を目差しました。この日は金沢も天気予報は良く、到着時は予想以上の見事な快晴でした。到着後は現地ガイドさんと合流してからバスに移動し、観察機材準備をしてから出発しました。この日も小松インターを目指して移動し、まずは干拓地に向かいました。到着後はまず河口に向かい、快晴の中、穏やかな海面に浮かぶカンムリカイツブリ、繰り返し獲物を狙い飛び回るミサゴの姿を見てから移動しました。珍しく快晴無風の中、干拓地に群れるコハクチョウの群れと雪を被った山々のコラボレーションを楽しみ、次に訪れた場所ではチョウゲンボウ、ノスリ、モズなどのほか、コハクチョウの群れに混じる亜種アメリカコハクチョウの姿がありました。また湖面が一望できる場所では湖面に群れる無数のマガモに混じる、ヒドリガモ、コガモ、ホオジロガモ、カンムリカイツブリなどが見られました。トイレ休憩の後は加賀市鴨池観察館に向かい、途中の片野海岸ではセグロセキレイの姿がありました。観察館では現地レンジャーさんのお話しを伺いながら観察し、この日はかなりの数のマガンの群れやヒシクイ、またトモエガモ、ヨシガモ、ミコアイサ、オカヨシガモといったカモ類を観察して陽が傾いた16:45頃にこの日の探鳥を終了しました。
22日、この日は朝食を07:00からいただき08:00に出発しました。前日の天気予報は曇りとなっていましたが晴れ間も見え、冬の北陸らしく空が晴れと曇りの2色に分かれているという不思議な光景が見られました。雨上がりなのか移動中は水たまりが見られたものの天候は良く、干拓地では地上に群れるタゲリが見られ、ホシムクドリの群れが地上採食していました。また陽気が良いせいかヒバリが飛び、枯れ木にはノスリ、そして電線に止まるチョウゲンボウの姿がありました。公園では無数のコガモが群れ、マガモ、カルガモ、ヒドリガモ、そして1羽のカワアイサの姿が見られました。トイレ休憩の後はさらに北上して海岸に向かいました。幸い穏やかな天候に恵まれ海上もベタ凪となる中、点々と浮いているクロガモの小群が見られ、この日は意外にもかなりの数のアビの姿がありました。しばらく見ているとクロガモもアビも比較的良い距離感になったため望遠鏡を使えばかなりリアルに見ることができ、澄み切った青空も印象的な北陸の海での探鳥でした。その後はさらに北上して七尾湾まで行き、観察舎から観察を行いました。海面を眺めるとヒドリガモやホシハジロ、オナガガモが群れ、付近には緑色の頭が特徴的なヨシガモも群れていました。またやや距離があったもののカワアイサ、ホオジロガモも見られ、付近の林ではモズやカワセミの姿もあり、最後は2羽で争うジョウビタキのオスの姿も見られました。その後は一旦、道の駅で昼食の時間をとり、昼食後は七尾湾をさらに北上して海面を眺めてみました。残念ながらカモ類の数は少なかったですが、ふいにハシブトガラスに追われてオオタカが飛び出し、海面にはウミアイサのメス、杭にはユリカモメの姿があり、畑地にはミヤマガラスが群れていました。そしてこの日の最後は白鳥の里に向かいました。快晴無風の中だったことから厳しい寒さを感じることはなく、干拓地に群れるコハクチョウの群れのほか、高圧鉄塔に止まるハヤブサ、そして地上にはチュウヒの姿があり、間近にハジロカイツブリの姿もありました。この日は珍しく夕陽が美しかったことから群れ飛ぶカモ類と夕陽のコラボレーションを見ながら探鳥を終了しました。
23日、この日は次第に天候が悪化するとの予報通り、朝からどんよりとした曇り空でした。この日は朝食後の08:00に出発して干拓地に向かい、まずは観察舎に向かいました。観察舎からは枯れ木に止まるハイタカ、チュウヒ、ノスリの姿があり、湖面を眺めると相変わらず無数のカモ類の姿がありました。コガモやヒドリガモが多いですが、よく見るとヨシガモ、トモエガモの姿もあり、観察舎付近を歩くとホオジロ、アオジ、モズ、ツグミの姿が見られました。その後は公園を歩き、その後は干拓地をめぐってみました。とある水田にはかなりの数のタゲリが群れ、見事な飛翔を見せてくれました。また電線に並んだホシムクドリの姿も見られ光線状態が良かったことから繊細な模様まで見ることができました。そして最後は枯れ木に止まっているコチョウゲンボウのオスに出会うことができ、まずはバス車内から、そしてその後はやや離れた場所でバスを降りて望遠鏡を使って細部まで観察することができました。その後は一旦道の駅にて昼食の時間とし、昼食後はこのツアーの最後の探鳥地である公園に向かいました。到着と同時に残念ながら雨が降りだしてきてしまいましたが、ひとまず園内を歩きました。池ではカルガモとコガモの姿がありましたがやはり冬の小鳥類の姿はほとんどなく、ようやくオナガの群れに出会うことができ、アカゲラの姿も見ることができました。またやや時間が余ってしまったことから港にも立ち寄り、ウミネコ、カモメ、セグロカモメ、ホシハジロ、ミサゴなどを雨の中で観察してツアーを終了しました。
今回は最後の最後で雨に降られてしまいましたが、なんとか予定通り探鳥を行うことができました。期待された珍鳥の飛来が無かったことから目玉がなかったのは残念でしたが、トモエガモが各所で見られ、ヒシクイ、マガン、ヨシガモ、ホオジロガモ、カワアイサ、ウミアイサといったカモ類の豊富さは印象的で、タゲリの群翔やホシムクドリの群れも楽しめました。そしてノスリ、チュウヒ、ミサゴ、オオタカ、ハイタカ、チョウゲンボウといった猛禽類も豊富で、最後はコチョウゲンボウのオスも見ることができました。そして各所で現地ガイドさんから現地の特色や歴史、さらにはさまざまな講座を車内で行っていただき盛り上げていただきました。今後も野鳥だけでなく地域の情報に精通した現地案内人のご協力をいただきながらツアーを継続していく予定です。ご参加いただきました皆様、ありがとうございました。
石田光史