【ツアー報告】冬の北陸 河北潟と加賀鴨池・七尾湾(追加設定) 2018年12月18日~20日
(写真:ホシムクドリ)
昨年からはじまったこの冬の北陸。長らく企画したいとは思っていましたが、現地の状況を直前まで調べていただける方に出会うことができずにいました。ただようやく現地の野鳥に精通した案内人に出会うことができツアーを実現することができました。ただ、冬の北陸は現地ならではの気候のため、からっと晴れることはほとんどなく、コロコロ変わる天気に悩まされるのも事実です。そのため雨をしのぐことができる観察舎をいくつも調べていただき、なんとかこの独特の天候に対応したコース設定をしていただきました。この冬は週末利用プランを企画しましたが早くも満席になったため、今回は追加設定として18日の火曜日からの平日3日間の追加設定を募集し、おかげさまでこちらも満席となったことから、まずは火曜日からの3日間を運行することになりました。ただ天気予報を見る限り、やはり空模様に翻弄される3日間になりそうでした。
18日、快晴の東京駅を予定通りに出発して新幹線で金沢駅を目差しました。金沢の天気予報は芳しくありませんでしたが、途中の富山あたりまではそれほど不安になるような感じではありませんでした。ただ到着した金沢駅はちょうど雨があがって晴れ間が見える状況の中、金沢市在住で野鳥の会、石川で活躍されている現地ガイドさんと合流してからバスに移動し、観察機材準備をしてから出発しました。まずは小松インターを目指して移動し到着後はまず河口に向かいました。この頃からは残念ながら雨が降りだしてしまいましたが、堤防上にはオオセグロカモメ、イソヒヨドリの姿がありました。その後はバスにて周辺をめぐり、干拓地内各所に群れるコハクチョウの群れを観察し、湖面が一望できる場所では激しい雨の中、湖面に群れるカモ類を観察しました。ここはマガモの数は極めて多く、その中に混じるヒドリガモ、コガモ、カンムリカイツブリなどが見られました。どんよりとした空模様の中、この日の最後は加賀市鴨池観察館にやってきました。館内から見通せる湖面にはカモ類が群れ、間近にはヒシクイが群れ、数百羽のトモエガモの群れは当地の代表種と言えるでしょう。また時間をかけて観察すると、ヨシガモ、ミコアイサ、オカヨシガモ、またこの日はオシドリの姿もあり、チュウヒが舞っていました。そして16:30頃からは空がやや明るくなる中、池に戻ってくるマガンの群れを観察してこの日の探鳥を終了しました。
19日、この日は前日の天気予報は芳しくありませんでしたが早朝は晴れ間が見えていました。この日は08:00に出発して探鳥地に向かいました。到着時は残念ながら曇り空となり、風が冷たく感じられましたが、干拓地ではタゲリの群れに出会うことができ、周辺の木にはミサゴ、ノスリ、そしてツグミの姿もあり、しばらくすると干拓地にムクドリの群れが降り立ち、よく見るとホシムクドリの姿もありました。その後、一旦休憩としましたがその頃には空には真っ黒い雲が広がり心配になるほどでした。その後は北上して海岸まで行き、雨が降る中で海上を眺めてみました。視界が悪かったことからやや移動して再度観察してみると、クロガモ、スズガモの姿があり、ビロードキンクロのオスが飛翔しました。また雨が上がったことから砂浜まで行ってみると、ちょうど良いタイミングでミユビシギの群れが早足で歩いていく可愛らしい光景を見ることができました。その後はさらに北上して観察舎から観察を行いました。この頃には再び雨が降り始めましたが、湾内では多数のカモ類が見られ、ヒドリガモ、ホシハジロ、ヨシガモ、ホオジロガモ、ハジロカイツブリ、またそれらを狙ってやってきたオオタカが枯れ木に止まりました。そして淡水池にはたった1羽で採食行動するカモ類がいたことから見てみると嘴が長く突き出したように見えるオオホシハジロのメスでした。観察後は一旦、昼食の時間をとりましたが、ここでは雷鳴が轟き、激しい雨とあられが降る中となりました。昼食後はさらに北上して海面を眺めてみました。残念ながらカモ類の数は少なかったですがキンクロハジロやカンムリカイツブリの姿があり、ミサゴがホバリングしていました。その後は再びあられが降る中を移動し、白鳥の里に向かいました。幸い雨は上がっていたものの強風が吹く中、干拓地に群れるコハクチョウの群れが見られたほか、風に乗るように舞う5個体ほどのチュウヒの姿を楽しむことができました。
20日、この日はようやくの晴れ予報が出る中、朝食後の08:00に出発して探鳥地に向かいました。天候は良く穏やかで暖かい中、昨日行くことができなかった場所をめぐりました。干拓地内では電柱や枯れ木にノスリやチョウゲンボウの姿があり、この日もホシムクドリの姿があったため観察しているとたまたま電線に止まったことから接近して近い距離感で観察することができました。また周辺ではタゲリやキジの姿も見られ、トビがタカ柱を作るように飛翔していました。移動後は一気に天気が変わり激しい雨が降る中でしたが、マガモ、ヒドリガモ、コガモが数千羽単位で群れ、その中に混じるミコアイサ、カワアイサ、ヨシガモ、トモエガモなどが見られ、周辺の木にはチュウヒが止まり、杭にはミサゴの姿もありました。その後は雨が小降りになるのを待ってバスに乗り込み、一旦道の駅内灘サンセットパークにて昼食の時間としました。そして昼食後はこのツアーの最後の探鳥地である公園に向かいました。到着後は全員で園内を歩きましたがとにかくこの冬は小鳥類が少なく、わずかにシメの姿が見られたほか、池ではカルガモとコガモの姿がありコガモの声が響いていました。園内奥でも小鳥類は少なく、枯れ木に止まるノスリが見られたほか、マユミの実を食べにきているメジロとコゲラの姿があり、付近にはアオジの姿がありました。またアカゲラの姿をご覧になったお客様もいらっしゃいましたが、この冬の小鳥類の少なさを象徴するかのように園内は閑散としていて残念な幕切れとなってしまいました。
追加設定となった今回は予想通り天候の変化の大きい3日間となり、特に中日は晴れ、曇り、雨、さらにはあられや雷、強風までついてくる目まぐるしい1日でした。この冬は期待された珍鳥の飛来が無かったことから目玉がなかったのは残念でしたが、マガンやヒシクイ、そしてトモエガモの大群に代表されるようにカモ類が豊富で、オオホシハジロにも出会うことができました。またノスリ、チュウヒ、ミサゴ、チョウゲンボウといった猛禽類も楽しませてくれ、干拓地ではタゲリやホシムクドリの群れが見事でした。そして各所で現地ガイドさんから現地の特色や歴史、さらにはさまざまな講座を車内で行っていただき盛り上げていただきました。今後も野鳥だけでなく地域の情報に精通した現地案内人のご協力をいただきながらツアーを継続していく予定です。ご参加いただきました皆様、ありがとうございました。
石田光史