【ツアー報告】日本最大のガンの越冬地 伊豆沼と蕪栗沼・化女沼 2018年12月7日~9日

(写真:カリガネ 撮影:日下部英昭様)

ここまで伊豆沼ツアーは小型車を利用して7名様限定で企画してきましたが、今回はバスのサイズをやや大きめのマイクロバスに変えた14名様限定にリニューアルしました。たまたま東京発の日帰りバスツアーでマイクロバスに乗る機会が増え、これまでの伊豆沼ツアーで巡ったルートと照らし合わせた結果、バスのサイズをやや大きくしても探鳥は可能であると判断した結果からのことでした。今回も引き続き、マガン、ヒシクイ、ハクガン、シジュウカラガン、カリガネのガン類5種を観察することを中心に、圧倒的なスケールを誇る早朝の塒立ちと夕方の塒入り風景を観察することを目的としています。ただ今回は天気予報が芳しくなく、暖かかった数日とは異なり積雪の予報が出るほどでした。

7日、この日は伊豆沼周辺の天気予報は晴れマークが出ていましたが、早朝の東京駅はどんよりとした曇り空でした。予定通り新幹線にて出発し、途中、車窓から外を眺めていると曇り、雨、小雪とめまぐるしく天気が変わっていましたが、直前に曇りに変わり、到着したくりこま高原駅では晴れ間が見えていました。到着後は前回同様に一旦ホテルに向かい、観察機材準備を行い、探鳥に使わない物をホテルに預けてから出発としました。この日はまず伊豆沼が一望できる場所に向かいました。やや風が出てくる中、オオハクチョウ、オナガガモ、マガモ、湖面にはヒシクイの姿があり、ヨシ原ではベニマシコが鳴いていました。その後、北側の干拓地にハクガンがいるとのことで急遽、向いましたが残念ながらその姿を見ることはできませんでした。その後は予定通り東側の干拓地をめぐりながらカリガネを探しました。この日は幸いにもあっさり出会うことができ、やや距離があったことからバスを降りて望遠鏡を使ってその特徴を観察することができました。普段はマガンの大きな群れの中にいることがほとんどですが、この日は主にカリガネだけで群れている状態で見られたことは幸いでした。その後はトイレ休憩をはさんで防寒装備を整え、堤防まで移動して次々に塒に戻ってくるガンたちを観察しました。風があるせいか寒さが厳しかったですが、なんとか西の空が赤くなってくれる中、各方向から集結してきたガンたちが湖面をグルグル回転するように飛翔する圧巻の塒入り風景を1時間弱楽しんで観察を終了しました。また付近の干拓地では地面に群れたマガンの群れの中に1羽のハクガンの姿もありました。

8日、この日はそもそも天気予報が芳しくなく心配でしたが、ひとまず曇り空の中、日の出とガン類の塒立ちを観察するため早朝に出発しました。意外なことに移動中にどんどん東の空が明るくなり期待が持てる状況の中、ひとまず現地で日の出を待つことにしました。小雪が舞ってはいましたが幸い雲が切れ、予想外の見事な日の出の中、ガンたちの飛び立ちを観察することができました。一旦朝食に戻った後は再度出発してシジュウカラガンの群れを探して移動しました。途中にある沼では湖面にはマガモ、カルガモ、コガモ、ヨシガモなどの姿があり、カラ松に群れるカワラヒワ、そして最後はヨシ原でベニマシコに出会うことができました。その後は干拓地を走りながらシジュウカラガンの群れを探しましたが、今回は幸いにも道路からかなり近い場所に数千羽と思われるシジュウカラガンの大群が地上採食していました。そのため車を降りてジワジワと近づいてみると意外なほど警戒する様子はなく、じっくりと観察することができました。その後は道の駅で昼食の時間をとり、昼食後は沼周辺を歩いてみることにしました。やや雲が多くなってはきましたが、エナガの群れやツグミ、ジョウビタキ、沼にはヒシクイが群れ、今回もヘラサギが独特の動作で採食行動をしていました。また泥地にはタゲリが群れ、1羽のオオハシシギの姿もありました。そして戻る途中では真っ赤なベニマシコをじっくりと観察する機会に恵まれました。そしてこの日もどんよりとした空模様の中、堤防上から続々と頭上を通過していくガンたちの群れの姿を堪能して観察を終了しました。ただこの頃からは小雪が舞い始め翌日が心配でした。

9日、昨夜一旦止んだ雪が深夜には再び降りだしたらしく、早朝は雪が積もっていました。この日は早朝の塒立ちを見る予定にしていたことから早朝に出発しました。向かう途中も雪は止むことはなく、到着後も小雪が舞っていました。外が次第に明るくなる中、バスを降りると当地では珍しい雪景色に驚きながらも、飛び立っていくガンの大群の声と羽音は感動的でした。この日は一気に飛び立っていくことはなかったですが、雪景色の中で塒立ちを観察するという貴重な体験をした朝でした。一旦朝食に戻った後は再度出発して、この日はどこかにいるはずの11羽のハクガンの群れとカリガネに絞ってめぐってみることにしました。幸い青空が広がってくる中、まずは観察舎に立ち寄り、湖面にいるオオハクチョウやヒシクイ、そしてヨシ原ではベニマシコの姿を見ることができました。その後は北側の干拓をめぐり、駐車場まで行くと賑やかなエナガの群れがやってきて、ほかにもシジュウカラ、カシラダカ、ユリカモメ、そしてここでも真っ赤なベニマシコに出会うことができました。その後はサンクチュアリーに立ち寄り、2羽のノスリの飛翔を見た後は一旦、南部に向かいました。ここでは幸い最初に出会ったマガンの群れの中に10羽ほどのカリガネの姿があったため、まずはバス車内から観察することにしました。距離が近かったためアイリングなどの特徴をしっかり見ることができ、その後、別の群れにいる個体も見ることができました。その後は一旦昼食とし、その後は再びハクガンの群れを探して移動しました。ここでは主に北側の干拓地をめぐりました。いくつかのマガンの群れには遭遇できましたが残念ながらハクガンの姿はなく、そのため一旦トイレ休憩のためにバスを止めると、突然、マガンの群れが湖面から飛び立ち、見てみると11羽のハクガンが混じっていました。残念ながらかなり遠くに飛んで行ってしまいましたが、ひとまず飛び去った方向の干拓地を探してみました。結局、かなり北側まで行って探してみましたがここでも残念ながら出会うことはできませんでした。ただこの群れはおそらく塒に戻ってくるだろうと推測して待っていると、やはり11羽のハクガンの群れが飛んできて見事な飛翔を見せてくれました。見る見るうちに湖面がマガンの群れに埋め尽くされて行く中、薄暗くなった沼を後にし、ツアーを終了しました。

今回は天気が心配な中での出発となりましたが、結果的には3日目の朝に積雪があったほか、これといった問題もなくツアーを進行することができました。今回も、マガン、ヒシクイ、ハクガン、シジュウカラガン、カリガネのガン類5種を見ることができ、比較的良い距離感でカリガネの姿を見ることができたほか、11羽のハクガンの群れの飛翔も楽しめました。また、ヘラサギ、タゲリ、そして真っ赤なベニマシコにも複数回出会うことができ少ないながらもガン以外の野鳥たちも楽しむことができました。今後も狭い道でも走ることができ、徹底的にガン類を探すことができるよう、小型車利用の少人数ツアーを軸に伊豆沼周辺での探鳥ツアーを企画してまいります。この度はご参加いただきましてありがとうございました。

石田光史

シジュウカラガン 撮影:日下部英昭様

 

シジュウカラガン 撮影:日下部英昭様

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