【ツアー報告】初冬の羅臼でシマフクロウに会いたい!(追加設定) 2018年11月27日~29日

(写真:シマフクロウ 撮影:高橋成子様)

国の天然記念物に指定され、国内では主に北海道東部に生息しているシマフクロウ。夜行性のため出会うことはほとんどなく、それだけに憧れの鳥と言えるでしょう。以前は厳冬期に観察機会を設け実質数時間の観察でほぼ出会うことができていましたが、数年前に一時的になかなか出会えない状況になってしまいました。そのためせっかく北海道まで足を運んでもシマフクロウだけに出会うことができず旅を終えるということが続いてしまいました。それを踏まえ、より出会いの確率を挙げる目的で、他のツアーではありえない現地宿泊を含む観察機会を2日間確保してみることにしました。また時期に関しても繁殖期前の出現率が極めて高い時期に設定することにしました。雪景色にも大いに期待できる時期ではありますが、今年の冬は各地で記録的に初雪が遅く今回は前回よりもさらに雪景色に期待できない中での出発となりました。

27日、今回もトラブルなくほぼ予定通りに羽田空港を出発して無事到着。天気は良いものの夕方のような雰囲気の中、今回も日の入りに間に合うように宿まで行かなくてはならないことから、とりあえず荷物をバスに積んで慌ただしく出発しました。あれから雪が降っていないようで路面にも周辺にもほとんど積雪がないという状況の中、カワガラスに迎えられるように宿に到着後は一旦お部屋に入っていただき、その後は観察機材準備を進めました。見る見るうちに外は薄暗くなりいつシマフクロウがやってきてもおかしくない状況の中、ひとまず待機することにしました。ただこの日はなかなか姿を見せず、数時間後にようやく鳴き交わす声が響き始めました。するとまず1羽が姿を見せ、続けてもう1羽が姿を見せてくれました。その後1羽は川沿いの地面に降りたり、電柱に止まったりとさまざまな姿を見せてくれ、一旦去っていった後に再度やってきたもののエゾシカの登場に驚いて飛び去ってしまいました。その後、数回、シマフクロウは姿を見せてくれましたが日付が変わる頃からは突然強風が吹き始め小雨も落ちてきたことから観察を終了しました。

28日、この日も朝から快晴の中、朝食前に外に出ると枯れ木にオジロワシが止まり、相変わらず愛想の良いカワガラスが潜水して採食していました。また「キュッ」と鳴きながらヤマセミが川面を飛んで行き驚かされました。今回も朝食をいただいた後、探鳥に出発しました。途中にある漁港ではワシカモメ、シノリガモ、ホオジロガモが見られ、川では前回とは異なりかなりの数のオオワシとオジロワシがいたことから一旦バスを止めて観察することにしました。ユリカモメが飛び回る中、木々や川辺にもワシ類の姿があり、中にはほとんど逃げる様子がない個体までいたことからじっくりと観察することができました。その後は休憩してからさらに進み、河口にやってきました。この日は幸いタンチョウの親子が間近に見られましたが、カモ類は激減していてウミアイサ、カワアイサ、ホオジロガモが見られたのみでした。ただ2羽のオジロワシが木道に止まっていたことから間近に見ることができました。その後は公園に向かいました。駐車場付近の林では遠くからシロハラゴジュウカラの声が聞こえ、コゲラが間近に採食する姿があり、ハシブトガラ、ヒガラ、ヤマガラ、シジュウカラが続けて出現し、シマエナガ、キバシリをご覧になったお客様もいらっしゃいました。またツグミの小群が飛び、帰り間際にはシメ、そして飛翔する3羽のウソが見られました。その後は各自昼食を購入していただいてから道の駅で休憩をとってから宿に戻りました。この日も早めにスタンバイを完了してひたすら待機することにしました。晴天続きのため雪景色ではありませんでしたが早速鳴き交わす声が響き、シマフクロウが枯れ木に止まりました。その後、続けてもう1羽がやってきてこの日も2羽が揃ってくれました。観察しているとそれぞれ飛び立って行きましたが、遠くの電柱の上に並んで止まっている姿を望遠鏡で観察することができ、その後、飛び去って行く様子も見ることができました。ただ、その後は気配のない時間が続き、キタキツネが現れ、その後は雪が舞い始める中、結局2度目の登場がないまま観察を終了しました。

29日、この日は天気予報は良かったのですが早朝は雪が舞い地面は真っ白でした。ただ朝食の時間には雪は止み予定通り朝食をいただき、その後出発して探鳥に向かいました。前日同様、川ではワシ類が見られたためバスを降りて観察することにしました。川沿いにある木は止まり木になっているようでたくさんのワシ類が止まり、川辺ではオオワシがサケを捕食していました。その後は休憩をしてから漁港に行ってみることにしました。ここでは幸い漁港内にたった1羽ながらもコオリガモのオスがいたことから観察してみましたが、この個体は警戒心が強いらしく、なかなか近づいてくれず望遠鏡を使っての観察となりました。また河口ではホオジロガモ、アビ、カワアイサ、カモメ、シロカモメなどが見られ、その後は別の場所に向かいました。前回同様に残念ながら小鳥類の気配はありませんでしたが、間近に大きな角を持ったエゾシカの群れがいたことからバス車内から観察することができ、なかなかの迫力でした。またやや距離がありましたが湖面に数百羽のコクガンの群れが見られ、オオハクチョウの群れと共に海藻類を食べていたため望遠鏡を使って観察することもできました。その後は遠くに見事な知床連山を眺めながらバスを走らせ各自昼食をご購入いただき空港に向いました。今回はようやく最終日に雪が降りましたが例年に比べるとかなり暖かく、雪景色には程遠い積雪量の少ない3日間でした。

前回に引き続き大変に暖かく残念ながら積雪量の少ない3日間でした。ただ主な目的であったシマフクロウを両日見ることができ、2羽揃って電柱に止まるなどこの時期らしい光景を何度も楽しむことができました。そのほかでは相変わらず小鳥類が少ないながらもワシ類の数が増えていたこともあり、2日間に渡ってオオワシとオジロワシの姿を堪能でき、クロガモ、ウミアイサ、ホオジロガモ、シノリガモ、アビ、そして1羽ながらコオリガモにも出会うことができ、タンチョウの親子、コクガンの群れにも出会うことができました。これから流氷と共に混雑する知床を避け、やや早い時期にのんびりとシマフクロウの出現を待つというシマフクロウ観察に特化したツアーでした。知床はこれから厳冬期を迎えてまた素晴らしい風景を見せてくれ、春から夏にはシャチやマッコウクジラといった鯨類、そしてヒグマにも出会えます。また季節を変えて足をお運びください。この度はお疲れ様でした。

石田光史

シマフクロウ 撮影:高橋洋夫様

 

オジロワシ 撮影:高橋成子様

関連記事

ページ上部へ戻る