【ツアー報告】日本最大のガンの越冬地 伊豆沼と蕪栗沼・化女沼 2018年11月17日~18日

(写真:ハクガン 撮影:高木信様)

晩秋の頃に絶対外せない探鳥地、伊豆沼。この秋はおかげさまで追加設定となったため木曜日、金曜日の2日間に引き続いて、この土曜日、日曜日も伊豆沼に向かうことになりました。このツアーではマガン、ヒシクイ、ハクガン、シジュウカラガン、カリガネのガン類5種を観察することを中心に、圧倒的なスケールを誇る早朝の塒立ちと夕方の塒入り風景を観察することを目的としています。ただ、探鳥地のほとんどが干拓地、農耕地であるため細い道を走らなくてはならないこと、また通行の妨げにならないように、さらには撮影も可能なよう小型車を利用して7名様限定の少人数ツアーとしています。

17日、週はじめの天気予報では残念ながら土曜日は雨、日曜日はやや回復して曇りとの予報でしたが、直前に天気予報が良いほうに変わってくれ、土曜日、日曜日ともに晴れマークが並んでくれました。そのためこの日は早朝から快晴の中、東京駅を出発することができました。くりこま高原駅到着後は前回同様に一旦ホテルに向かい、観察機材準備を行い、探鳥に使わない物をホテルに預けてから出発としました。この日はまず伊豆沼が一望できる場所に向かいました。ただこの日はなぜか普段、日中のほとんどの時間を干拓地や農耕地で地上採食しているはずのマガンたちが、数千羽単位で湖面に集結して騒がしくしていました。やや風があったことから飛び立っていく小群もいていきなり圧巻のシーンを見ることができました。また湖面には2羽のシジュウカラガンの姿もあり、周囲ではノスリ、チュウヒといった猛禽類も見られました。その後はカリガネを探すため移動しましたが、途中の干拓地にかなりの数のマガンが降りていたことから見てみると、到着直前になんとその群れが突然飛び立ってしまいました。ただ双眼鏡で見てみるとたまたまハクガンが1羽見えましたがさすがに追うことはできないため、一旦諦めてカリガネを探すことにしました。前回を踏まえるとそこそこ時間がかかるかと思われましたが、この日は幸いにも最初に出会ったマガンの群れの中に数羽のカリガネの姿があったことから、車である程度近づいてから車を降りて観察することにしました。少人数のため徒歩にて少しずつ距離を詰めることができ、最終的には良い距離感で観察することができ、よく見ると10羽程度の小群を観察することができました。カリガネはマガンに似ていることからあらかじめマガンの特徴を押さえてはおきましたが、それでも実際には識別はなかなか難しいようでした。やや時間が押してきてしまったことからその後は寒さに備えて防寒装備を見直してから塒入りポイントに移動しました。この日は日没が16:30のため16:00頃到着しました。風がなかったことから思ったほど寒くない中、日没を迎え西の空が真っ赤になる中、この日も各方向から集結してきたガンたちが湖面をグルグル回転するように飛翔する圧巻の塒入り風景を1時間弱楽しんで真っ暗になった17:00に観察を終了しました。

18日、この日は早朝の天気が心配でしたが05:30に外に出ると東の空にはほとんど雲がかかっていませんでした。日曜日ということから混雑が気がかりだったため急いで伊豆沼に向かいました。ただ思ったほどの混雑なく観察を開始することができ、この日は珍しく東の空にほぼ雲がない状況の中、見事な朝焼けとなり、塒となっている湖面から次々に飛び立って行くガンたちの姿を堪能することができました。一旦朝食に戻った後はシジュウカラガンの群れを探して移動しましたが、まずは途中にあるダム湖に立ち寄りました。ただこの日も小鳥の気配は少なくカシラダカの小群が見られたほか、ジョウビタキ、ヤマガラ、そしてカケスが相変わらず騒いでいました。またダム湖の湖面にはマガモ、カルガモ、コガモ、ハシビロガモの姿がありました。その後は前回同様に干拓地を走りながらシジュウカラガンの群れを探しましたが、今回は幸にも道路からかなり近い場所に数千羽と思われるシジュウカラガンの大群が地上採食していました。そのため車を降りてジワジワと近づいてみると意外なほど警戒する様子はなく、じっくりと観察することができました。その後は別の干拓地に向かい、途中湿地帯になっている場所では間近にマガン、オオハクチョウを観察しました。さらに別の干拓地ではかなりの数のマガンが降りていたことから見てみると、その中にたった1羽ながらハクガンの成鳥が混じっていました。そのため車から降りてじっくりと観察することができました。この冬、何羽がやってきているかはわからないですが、こうやって出会えたことは幸運としか言いようがありません。その後は一旦昼食としてから周辺を歩くことにしました。湖面のカモ類はかなり少ないながらも20羽ほどのトモエガモ群れが見られ、ミコアイサが4羽、コハクチョウ群れが見られ、ヘラサギが嘴を振る独特の採食行動をしながら歩き回っていました。ここではかなりの数の亜種オオヒシクイが見られ、帰り際にはマガンの群れの中に混じるマガンの白化個体も見られました。少々時間があったことから再びカリガネを探しに行って見ると、この日もあっさりと見つけることができ、10羽ほどのカリガネを順光側から観察して特徴である金色のアイリングをしっかり見ることができました。そしてこの日もかなり条件の良い中で塒入りを観察することができ、続々と、そして延々と頭上を通過していくガンたちの姿を堪能して観察を終了しました。

今回は天気が心配ではありましたが、直前になって天気予報が良いほうに変わりラッキーでした。前回に引き続いて2日間を通してほぼ快晴の中で探鳥することができ、マガン、ヒシクイ、ハクガン、シジュウカラガン、カリガネのガン類5種を見ることができたほか、ヘラサギ、チュウヒ、そしてカモ類が少ないながらもトモエガモの小群にも出会うことができました。今後も通行の妨げにならないよう、そして干拓地の隅々までガン類を探せるよう、また撮影等しやすいよう小型車利用の少人数ツアーを軸に伊豆沼周辺での探鳥ツアーを企画してまいります。この度はご参加いただきましてありがとうございました。

石田光史

カリガネ 撮影:藤塚譲二様

 

シジュウカラガン 撮影:高木信様

 

オオヒシクイ 撮影:藤塚譲二様

 

ヘラサギ 撮影:高木信様

 

白化個体と思われるシジュウカラガン 撮影:藤塚譲二様

 

マガン 撮影:高木信様

 

変色個体と思われるマガン(右)撮影:藤塚譲二様

 

チュウヒ 撮影:高木信様

 

ガン類の塒入り 撮影:高木信様

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