【ツアー報告】紅葉の戸隠高原でムギマキに会いたい! 2018年10月23日~24日
(写真:マミチャジナイ 撮影:柳由紀子様)
私にとって最も長く担当しているのがこの紅葉の戸隠高原ツアーで早くも16年になります。当初は11月に企画されていて、戸隠高原内にある遊歩道という遊歩道を全て歩いて主に留鳥たち、そして渡ってきたばかりの冬鳥を観察していました。ただ、それから長い時間をかけて少しずつツアー内容を変え、この時期に戸隠高原の林に羽を休めにやってくる旅鳥のムギマキとマミチャジナイが見られる時期に変更し、また歩く距離に関しても大幅に減らしました。今回は当初、24日に雨マークが出ていましたが出発直前には曇りに変わり、ひとまずほっとしましたが変わりやすい天候の2日間になるとのことでした。
23日、東京の天気予報は曇りのち雨とのことで、早朝はどんよりとした空模様で一部で小雨が落ちていました。ただ予定通り新幹線で出発して長野駅に向かう途中からは天候は良くなり、到着した長野駅は秋晴れでした。長野駅到着後は一旦ホテルに向かい、到着後はお部屋にて各自昼食、その後は準備を整えていただいてから探鳥にでかけました。周囲は見事な紅葉でこの日は晴天のため戸隠山もきれいに見えていました。歩いていると、途中では渡ってきたばかりのアトリの群れが飛んでいました。まずは過去にムギマキの姿をよく見ている場所を巡り、彼らが好むツルマサキやミズキの実を見て回りました。ただこの日は森の中は静かで鳥の気配はありませんでした。ただ昨年、ムギマキを見たツルマサキとミズキのある場所では幸いにも鳥の動きがあり、見ているとマミチャジナイとシロハラの姿がありました。そのため予定よりもやや長く見ていましたが、小鳥類の動きはなくトイレ休憩の後、移動しました。ここでも過去に、また昨年、ムギマキが見られた場所を巡りましたが残念ながらその姿はありませんでした。ただ途中ではカラ類の混群に出会うことができ、ヒガラ、コガラ、シジュウカラ、コゲラ、ゴジュウカラ、そして我々の存在を気にして木の幹の裏側に回り込むアオゲラの姿も見られ、よく見るとキバシリが木の幹を登っていました。また最後に訪れたツルマサキのある場所ではアカゲラの姿を見て、この日の探鳥を終了しました。気がつくと戸隠山には怪しげな雲がかかり、夕食後には激しい雨が降っていました。
24日、雨が心配されましたが幸い快晴の朝を迎え、06:30から探鳥にでかけました。早速、アトリの群れが飛び交い、林からはけたたましいカケスの声が聞こえ、カラマツにはマヒワの群れがやってきていました。歩きはじめると草原からはホオジロの声が聞こえ、針葉樹のてっぺんでさえずりのような声で歌う姿も見られました。また地上からはカシラダカの小群が飛び立ち、周囲の枯れ木に止まったため望遠鏡を使って観察しました。この場所では数十羽単位のアトリ、ツグミ類の群れが引っ切り無しに飛んでいて、木に止まった姿も見ることができました。また十羽程度の群れながらシメの姿もあり、カラマツに止まった姿を望遠鏡で見ることもできました。道沿いでは相変わらずカラ類の群れが元気で、ヒガラ、コガラ、ゴジュウカラ、シジュウカラのほか、エナガの群れが紅葉の木にやってきていました。その後は一旦朝食とし、朝食後は鏡池までのルートを歩きながらムギマキを探すことにしました。バスを降りると我々の真上をノスリが飛び、林に入るとゴジュウカラが地面に降りて間近に採食行動を繰り返していました。途中にある湿地帯では地上からおびただしい数のカシラダカが飛び立ち、周囲ではアトリの群れやツグミの姿がありました。またこの日はアオゲラの姿が目立ち各所で出会うことができました。1時間半ほどで到着した鏡池は意外にもたくさんの観光客が訪れていて賑わっていました。到着時には戸隠山には雲がかかっていましたが、次第に空は青くなり、見事な紅葉が印象的でした。また鏡池にはカルガモの群れの姿がありました。戻る道はやや範囲を広げる意味で一番外側の遊歩道を歩くことにし、可能性のある場所を全て見てみることにしました。ただ、この日も残念ながら木の実に小鳥類がやってきているような気配がなくカラ類、ケラ類を見たのみで一旦昼食の時間としました。昼食にはこのツアーですっかりおなじみになっている戸隠蕎麦をいただき、その後は再び探鳥にでかけました。この時間はやや雲が出てきていて戸隠山はかすんでいましたが、あまり時間もないことから昨日、ある程度動きのあったツルマサキ周辺を見てみることにしました。ただ、この日もそれほど鳥の動きはなく静かではありましたが、ミズキの実にやってきてなぜかじっとしているマミチャジナイのオスがいたことから望遠鏡を使って観察することができました。この時期のツグミ類は比較的警戒心が強く、木の実にやってきても長時間滞在はせず、せわしないのですが、この個体はなぜかじっと木に止まり、時々ミズキの実を食べていました。また良く見てみるともう1羽いるようでした。また遠くのミズキには小型ヒタキ類がやってきていましたが、木が高く、また距離が遠いことからはっきりしませんでした。結局、予定外のポイントもめぐってみましたが今回は期待されたムギマキに出会うことができず残念でした。
やや天気予報が芳しくない状況での出発でしたが、幸い2日間とも雨に打たれることなく過ごすことができました。結果的には期待していたムギマキに出会うことができず残念でした。全体的に鳥の姿が少なかったため、できる限りのポイントをめぐってみました。そのためたくさん歩いていただいてしまいご苦労おかけしました。ただ、マミチャジナイをじっくり見られたことは幸いで、また早朝を中心にアトリやマヒワ、シメ、カシラダカ、ツグミといった冬鳥たちの渡りの光景が見られ、この冬が楽しみになりました。次回は春に企画しております。春はクロツグミやコルリ、ノジコ、サンショウクイ、ニュウナイスズメといった夏鳥たちが大変見やすい探鳥地です。また季節を変えてお出かけいただけましたら幸いです。この度はご参加いただきましてありがとうございました。
石田光史