【ツアー報告】珍鳥が渡る!秋の石垣島と与那国島 2018年10月6日~9日

(写真:ハイイロオウチュウ 撮影:森下英昭様)

春はすっかり定番化している日本最西端の島、与那国島をメインに訪れるツアーの秋バージョン。春は大きなハズレがないのが特長で、ヤツガシラ、オオチドリ、クロウタドリ、アカガシラサギ、オオノスリ、ツバメチドリ、ホシムクドリ、カラムクドリ、ツメナガセキレイ、マミジロタヒバリといった顔ぶれが常連です。一方、秋はやや顔ぶれが変わり、タカサゴモズ、ベニバト、オウチュウ、ハイイロオウチュウ、コウライウグイスといった種が主役に変わり、クロハラアジサシ、キンバト、ミフウズラによく出会い、春に比べてシギ・チドリ類も多いですが春に比べてややリスキーな印象があります。今年は直前に台風の接近があり心配でしたが、出発日にはちょうど台風が去っていった後という幸運があり、無事出発できることになりました。

6日、台風が去り、雨が上がって晴れ間が見え始めた羽田空港を予定通りに出発し、今回は直行便で石垣島に向かいました。この日はあまり時間がないことから空港ロビーで観察機材準備をしていただいてからバスにて出発しました。この日はまずこの春から話題になっているジャワアカガシラサギが見られている場所に行ってみましたが、ここ数日は見られていないとのことで周囲を探してみましたがアマサギが群れているだけでした。その後は八重山3点セットのカンムリワシ、ムラサキサギを探して水田に向かいました。到着と同時に激しい雨が降ってきたため、まずはバス車内から観察することにし、水田に群れているセイタカシギに混じるオグロシギ、アオアシシギ、アカアシシギ、タカブシギ、ヒバリシギ、さらには遠くの電柱に止まるカンムリワシの姿がありました。雨が止んだためバスを降りると2羽のクロハラアジサシがヒラヒラと舞い、シロハラクイナがノコノコ道を歩き、遠くの木にはアカガシラサギが止まっていました。やや移動してカンムリワシを間近に観察していると周囲の電線にはリュウキュウツバメが止まり羽繕いをしていました。さらに移動しようかと思った時、川の中州の葦付近に佇むムラサキサギがいたためそのまま観察することにし、観察後に移動した先でも再びムラサキサギに出会うことができました。夕方に合わせてズグロミゾゴイを探しに行かなくてはならないことから一旦、トイレに寄った後に移動しました。ただ途中、最初に立ち寄ったポイントの前を通ることから再び立ち寄ってみるとアカガシラサギの姿があり、これはと思いましたがその色彩からアカガシラサギでした。夕方、まずは付近にある牛舎に寄ってみましたがズグロミゾゴイの姿はなく、変わって石垣島では見たことがないチゴハヤブサがスイスイ飛んでいました。そして最後にはいきなりズグロミゾゴイの幼鳥がノコノコ歩いていて、短時間ながら八重山3点セットを観察することができました。ただバスに乗り込んだと同時に再び激しい雨が叩きつけるように降りだし、深夜まで激しい雨音が響いていました。

7日、朝食をとっていただいた後はホテルを出発して午前中探鳥を行いました。まずは水田に向かい、杭に止まるカンムリワシ、畔で休むムラサキサギ、そしてこの日も水田に群れるシギ類の中に1羽のアカエリヒレアシシギの姿がありました。またこの日も木に止まるアカガシラサギの姿があり、移動直前には渡ってきたばかりと思われるサシバが飛翔していました。トイレ休憩した後は、再びジャワアカガシラサギを探しに行ってみました。ポイントに到着するとかなり白っぽいアカガシラサギがひょっこり顔を出したため驚きましたが、たまたま付近にはアカガシラサギが複数一緒にいたため、その色味の違いが顕著でようやくジャワアカガシラサギと確信が持てる個体に出会うことができたのでした。そして最後は時間が押してしまいましたが、ここ数年留鳥化しているカタグロトビを探しに向かいました。最初はなかなかその姿がありませんでしたが、思ったよりも奥の草原を飛翔したり、ホバリングするカタグロトビの姿があり、高木に止まったり飛翔したりする姿をバス車内から見ることができました。さらに奥にある水たまりでは、不意にリュウキュウヨシゴイが飛び立ち、真っ赤な独特の姿を見せてくれ、最後はサトウキビ畑の中を飛翔するムラサキサギの姿を見てから空港に向かいました。空港内ロビーで一旦荷物整理をしていただいてから与那国島空港に向かう飛行機に搭乗し、約30分のフライトで与那国島に到着しました。到着後は観察機材準備と昼食を済ませてから探鳥に出かけました。校庭には数十羽のツメナガセキレイが群れ、周囲の樹木にはカラムクドリの姿がありました。水田では水たまりに鳥たちが群れ、コガモ、セイタカシギ、アオアシシギ、タシギ、ハマシギ、コチドリ、シロチドリ、そしてここでもアカガシラサギの姿がありました。その後はハイイロオウチュウの姿を求めて牛舎に向かいました。到着後に周囲を探してみたところ電線に止まっている1羽のハイイロオウチュウの姿があり、観察しているとどこからともなくもう1羽がやってきて、からみあうように飛翔する姿を見ることができました。その後はキジバトの中に混じっている2羽のベニバトを見ることができ、ちょうど光線状態が良い中でしばらくの間、地面で採食する様子を観察しました。そして最後は上空を飛翔する20羽ほどのマガンの群れを見てこの日の探鳥を終了しました。

8日、この日は残念ながら小雨模様のため、バス車内から鳥が見られるよう水田に向かいました。水たまりの顔ぶれはさほど変わっていませんでしたが、この日は2羽のエリマキシギが休んでいました。その後は見る見る晴れてくる中、別の水田に向かい餌を探す2羽のアカガシラサギをじっくりと観察した後、斜面林を飛翔するブッポウソウの姿を観察しました。木に止まると地味ですが飛翔時には翼にあるライトブルーの斑が美しく見えました。その後、池ではバン、オオバン、セイタカシギの姿があり、クロハラアジサシ、アカガシラサギが飛んでいました。そしてこの日も別の場所でハイイロオウチュウが見られているとのことで行ってみると電線でシマアカモズと睨みあうハイイロオウチュウの姿がありました。ただこの個体は警戒心が強いのか一度は見れてもなかなか二度目の出現がなく、しばらく待ってみましたが諦めることにしました。その後はトイレ休憩をとってから付近の林でキマユムシクイ、コサメビタキが見られ、水田では電線に止まるアカハラダカが見られ、林からはオジロビタキが飛び出してきました。その後は一旦昼食の時間としました。昼食後は再びハイイロオウチュウ、エゾビタキ、その後はツアー中、一度は訪れることにしている日本最西端の石碑がある西崎に向かい、岩礁にいるクロサギ、捕らえた魚を食べるミサゴなどを見てから水田を目指しました。この水田では電線に止まるクロハラアジサシを見た後、草地で餌を探す20羽ほどのクロハラアジサシの乱舞を楽しみました。また用水路ではコアオアシシギ、ヒバリシギ、クサシギ、イソシギといったシギ類が見られ、周辺にはカラムクドリの姿もありました。その後は観光地としても知られている立神岩を訪れ、最後はマダラチュウヒがいるとのことで牧草地に行ってみると幸い飛翔するマダラチュウヒの姿があり、地上に降りたり、飛翔したりする姿を見てこの日の探鳥を終了しました。

9日、昨夜は雨が降ったようでしたが早朝は青空が見え、時折ムシムシするような中、与那国島を出発するまでの3時間ほどの探鳥に出かけました。まずはここまで何度となく出会ってはいるものの、しっかり見ることができていないハイイロオウチュウに再度チャレンジすることにしました。到着と同時にこの日も電線に止まる姿が見られましたが、やはりどこかに飛び去ってしまいました。ただ時間いっぱい待ってみることにすると、この日は幸いにも飛翔しながら浮遊する昆虫を捕るフライキャッチのような行動を繰り返し行ってくれたことから、ヒラヒラと舞う美しい姿を見ることができ、枯れ木に止まった姿も見ることができました。また驚いたことにハチクマが飛翔し、サシバ、ミサゴ、そして群れで旋回飛翔するアオサギの群れも見られました。その後は再びベニバトの姿や付近の畑地にいるツメナガセキレイ、そして最後は水田の池でコガモの群れに混じるシマアジ、周辺の草原ではコホオアカ、セッカ、そしてすっかり定着しているセイタカシギやアオアシシギ、タシギ、ハマシギなどのシギ類を観察してツアーを終了しました。

今回は良いタイミングで台風が去ってくれたことから無事にツアーを終えることができました。春に比べると珍鳥度は高いもののややリスキーな印象がある秋の南西諸島ですが、今回も現地でお世話になった方々のおかげで効率よい探鳥ができました。石垣島ではカンムリワシ、ムラサキサギ、ズグロミゾゴイの八重山3点セットのほか、カタグロトビ、今年話題のジャワアカガシラサギ、そしてオグロシギ、アカアシシギ、アカエリヒレアシシギ、ヒバリシギなどのシギ類、与那国島ではハイイロオウチュウ、マダラチュウヒ、ベニバト、カラムクドリ、アカガシラサギ、クロハラアジサシ、ツメナガセキレイ、コホオアカ、ブッポウソウ、オジロビタキ、キマユムシクイ、シマアジなど、バリエーションに富んだ野鳥たちに出会うことができました。2019年春も羽田から石垣島への直行便を使って企画しておりますのでぜひご検討ください。この度はお疲れ様でした。

石田光史

ジャワアカガシラサギ 撮影:刈田宏様

 

ムラサキサギ 撮影:春日清子様

 

ベニバト 撮影:森下英昭様

 

マダラチュウヒ 撮影:刈田宏様

 

アカガシラサギ 撮影:春日清子様

 

ツメナガセキレイ 撮影:森下英昭様

 

カラムクドリ 撮影:刈田宏様

 

シマアカモズ 撮影:春日清子様

 

アカハラダカ 撮影:森下英昭様

 

クロハラアジサシ 撮影:刈田宏様

 

ハチクマ 撮影:春日清子様

 

カンムリワシ 撮影:森下英昭様

 

ムラサキサギ 撮影:刈田宏様

 

マダラチュウヒ 撮影:春日清子様

 

コホオアカ 撮影:森下英昭様

 

ヤエヤマオオコウモリ 撮影:刈田宏様

 

アカガシラサギ 撮影:春日清子様

 

ズグロミゾゴイ 撮影:森下英昭様

 

リュウキュウツバメ 撮影:刈田宏様

 

クロハラアジサシ 撮影:春日清子様

 

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