【ツアー報告】秋のシギチドリ巡り 東京湾と霞ケ浦 2018年10月12日

(写真:ツルシギ 撮影:須崎明男様)

秋は春と同様にさまざまな野鳥たちが渡ってきます。秋の渡りはピークというようなピークがなく、春に比べると比較的長い期間を使って渡りが続いていきます。渡りの時期は日本海側や南西諸島の離島に足を運んで、普段なかなか見ることができない種に期待するのもおもしろいですが、意外にも身近な探鳥地でも秋の渡りを実感することができます。その代表がシギやチドリの仲間ではないでしょうか?春は潮干狩りの関係でツアーで海水域の干潟を訪れることはしていませんが、秋は1日で海水域と淡水域の両方を巡って渡り途中のシギやチドリの仲間を観察します。天気予報は残念ながら晴れマークはありませんでしたが、実はシギチドリ類観察は光線の影響を受けない曇りの日が良いためベストコンディションと言えるでしょう。

12日、朝は雨が残るとのことで、早朝の東京駅前は霧雨が降っていました。この日は潮位の関係からいつもとは違って出発は08:30でほぼ予定通り出発することができました。まずはバス車内で海水域で見られるシギやチドリ類の識別ポイントの解説を行い、40分あまりで最初の探鳥地に到着しました。到着後は長靴を履くなど準備をしていただき、その後、トイレに寄ってから干潟に向かいました。この日は徐々に潮位が下がってくる日のためまだまだ潮位が高く、ほぼ干潟は出ていません。そのため波打ち際にシギチドリ類が集まっていて、早速、メダイチドリの小群を間近に観察することができました。また周囲にはシロチドリ、ハマシギ、ミユビシギ、トウネンの姿があり、まだまだ干潟で出ていないことから杭の上にはオオソリハシシギ、ソリハシシギ、ダイゼンなどが休んでいました。ただ1時間もすると見る見るうちに潮位が下がり、どんどん干潟が出てくると、主役のミヤコドリの群れが続々とやってきてその美しい姿を楽しませてくれました。気がつくと杭の上で休んでいたオオソリハシシギやソリハシシギも干潟で採食行動しはじめたのでじっくりと観察することができました。また最後にはたった1羽ながらオバシギの姿もあり、これといった珍しい種には出会えなかったものの海水域のシギチドリ類を楽しむことができました。探鳥後は靴の泥を落としてからバスに乗車し、途中にあるサービスエリアで各自昼食をとっていただき、その後は次の探鳥地に向かいました。ここでは主に淡水域に生息するシギチドリ類を観察しました。最初に訪れた場所では2羽のアオアシシギが見られ、次の場所では複数のシギ類が佇んでいました。少しずつ接近しながら見てみると、長い足が特徴のセイタカシギをはじめ、オグロシギ、ツルシギ、コアオアシシギ、オオハシシギでそれぞれの特徴を観察しました。観察しているとコアオアシシギはどんどん近づいてきてくれ、近くにある水田ではタカブシギも見られました。また驚いたことに9羽のマガンの群れが飛び、最後は我々の頭上を通過していきました。やはり秋の渡り期は何があるかわからないものです。その後はほかの場所も巡り、小群で佇むコチドリの幼鳥、さらには十数羽で群れるクサシギとその中に混じる1羽のアカアシシギを見て、真っ黒い雲が広がり始めた水田を後にしました。

どんよりとした曇り空の1日でしたが、雨に降られることはほとんどない中で海水域と淡水域を巡って秋の渡り中のシギチドリ類を楽しむことができました。海水域ではミヤコドリの群れが見事で、オオソリハシシギ、ソリハシシギ、オバシギ、メダイチドリ、シロチドリ、ハマシギ、トウネンなども見られ、淡水域ではオグロシギ、ツルシギ、コアオアシシギ、アカアシシギ、オオハシシギ、クサシギなどが見られ、計20種のシギチドリ類に出会うことができました。次回は春に夏羽のシギチドリ類を探します。またぜひご参加ください。この度はお疲れ様でした。

石田光史

コアオアシシギ 撮影:中村由紀子様

 

オオソリハシシギ 撮影:須崎明男様

 

ツルシギ(左)とコアオアシシギ 撮影:中村由紀子様

 

オグロシギ 撮影:須崎明男様

 

オバシギ 撮影:須崎明男様

 

メダイチドリ 撮影:須崎明男様

 

トウネン 撮影:須崎明男様

 

ミヤコドリ 撮影:須崎明男様

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