【ツアー報告】ベストシーズンに巡る夏の北海道 2018年6月20日~23日

(写真:ギンザンマシコ 撮影:鶴田美津子様)

本州ではすでに野鳥たちの繁殖期はほぼ終わり、さえずりもなくなり、森も薄暗くなり、さらにはセミの声が音量を増してきて鳥の声が楽しめなくなってくる季節。ただ、それに合わせるように探鳥のベストシーズンを迎えるのが北海道の原生花園です。このツアーでは札幌を起点に旭岳のギンザンマシコ、サロベツ原生花園のシマアオジ、そして天売島では圧倒されるようなウトウの帰巣風景を中心に、夏の北海道のメインとなる野鳥たちを巡って行きます。やや移動距離が長くなることがデメリットではありますが4日間でこれらの野鳥と出会えるようスケジュールを組んでいます。今回は事前の天気予報があまり芳しくない状況での出発となりました。

20日、予定通りご集合が完了したためご集合場所にて資料配布、連絡事項を済ませてから各自チェックインしていただき千歳空港に向いました。到着後は現地集合のお客様と合流してから専用バスに乗車していただき、この日はまず宿泊地に向いました。途中、道の駅で休憩しましたが、この日は気温が22℃とこの時期としてはとても暖かい印象でした。休憩後はホテルまで走り、一旦お部屋に入っていただいてから再度ご集合いただいてから探鳥に出かけました。空は終始曇りベースでしたが雨の心配があるような感じではありませんでした。まずは名物となっているアオバトを探しに向うと、早速遠くの針葉樹に止まるアオバトの姿が見られました。ちょうど新緑の季節ということもあってアオバトの鮮やかな緑色が新緑と競い合うかのように映えていました。しばらく見ていると我々の上空を飛翔する姿などさまざまなシーンを見ることができました。その後は川沿いに歩いて行くとニュウナイスズメのオスが枝先でさえずり、上空をイワツバメが飛翔していました。森からはキビタキ、エゾムシクイ、センダイムシクイのさえずりが聞こえ、ふいにハシブトガラのつがいが間近にやってきて可愛らしい姿を見ることができました。また小道を歩いているアカハラの姿を見てから道を戻って行くと、道路から見える位置にある枯れ木にクマゲラが止まっていたため驚きました。望遠鏡を合わせましたがすぐに飛んでしまいじっくり見ることができず残念でしたが、久しぶりにこの森でクマゲラに出会うことができました。さらに進むと営巣中と思われるヤマゲラの姿があったため、距離を置いて待っているとオス個体が巣に出入りする様子を観察することもできました。ただ夕方からは強風が吹き明日の天候が心配になってきました。

21日、この日は山に向かうため天候が心配でしたが、早朝に外を見ると青空が見え風も止んでいました。予定通りにホテルを出発しましたが、早朝にホテル付近でまたまたクマゲラの姿があり、オオアカゲラをご覧になったお客様もいらっしゃいました。バスが進むにつれて山がどんどん近づいてくるのですが、この日は山頂付近が濃霧のため見えなかったものの視界にはっきりと捉えることができ、心配された視界は確保できているようでした。到着後はトイレを済ませていただき、予定通りポイントに移動し、眼下にミズバショウやリュウキンカの花々が楽しませてくれました。到着後は例年に比べてやや多い残雪の道を歩いてギンザンマシコ観察ポイントに向いました。歩きながら足元を見てみましたが、今年は花の数が極めて少なく、僅かにキバナシャクナゲが咲いている程度でした。到着時は遠くに霧がかかっていましたが、次第に晴れて意外にもどんどん視界が広がってきました。早速、各所でノゴマとカヤクグリがさえずり、岩場ではビンズイの姿も見られました。そしてようやく2羽のギンザンマシコがハイマツの上に出てきてくれ、直後にはメス個体が間近にひょっこりと姿を現して、しばらくの間その姿を楽しませてくれました。ただなかなか真っ赤なオス個体が出現しないためさらに1時間ほど待っていると、距離はややありましたがハイマツの上に真っ直ぐ立つような姿勢で佇む真っ赤なギンザンマシコのオスが現れてくれ、その存在感ある姿を堪能することができました。また最後まで残っていたお客様はさらに距離はあったものの最後の最後に再びオスとメスの姿を見ることができ、やや霧が出始めた頃に戻りました。ここからは長い移動になるためまずはバス車内で各自昼食をとっていただきました。出発時はまだまだ晴れ間が見えていましたが、空は次第に暗くなり始め、道の駅を過ぎた頃からは激しい雨になってきてしまいました。ただポイント付近までやってきた頃には雨は弱まってくれ、まずは池に行ってみると複数のヨシガモの姿がありました。その後は小雨が降る中、周辺ではコヨシキリが激しく歌い、ノビタキの姿も見られましたが次第に激しくなる雨の中、宿に向うことになりました。

22日、雨の様子が心配でしたが幸い霧雨程度だったため早朝に宿を出てポイントに向いました。ここではここ数年、急激にその数を減らしているシマアオジが主な目的です。木道を歩くとまずはノゴマがさえずりながら枯れ木に出てきてくれ、しばらくの間歌ってくれました。周辺では巣立ったばかりのヒナを連れたノビタキが動き回り、毎回、シマアオジが見られている付近では、引っ切り無しにオオジシギがディスプレイフライトを見せてくれたためかなりの時間その飛翔を楽しめました。ただシマアオジのさえずりはいつまで経っても聞かれず、しばらく待機する状況となりました。それでも付近ではツメナガセキレイ、オオジュリン、ホオアカ、ノビタキが楽しませてくれ、やや雨が降り出す中、ようやくシマアオジのさえずりが聞こえたかと思うと、ようやく遠くの草の上でさえずる姿を見ることができました。ただ雨と濃霧のせいでその姿をクリアに見ることができず残念でした。一旦朝食のため宿に戻った後は再び探鳥しました。やや雨が強まっていましたが、まだシマアオジの姿をご覧になられていないお客様がいらっしゃったことから、再びシマアオジの出現を待つことにしました。次第に雨が強まってくる中、厳しい探鳥になってしまいましたが比較的近い距離感で1度だけシマアオジの姿を見る幸運がありました。探鳥終了後は羽幌町まで移動して昼食をとり、その後はフェリーに乗船して天売島に向いました。出発前にはようやく青空が見える中、3羽のオシドリが飛び、出航後は荒れる航海となりながらもウトウの群れやケイマフリ、また珍しく見られたハシボソミズナギドリを見ながら天売島にたどり着きました。到着後は一旦宿に入っていただき、観察機材準備をしていただいた後は黒崎海岸で繁殖しているウミネコとそのヒナの姿、そして岩礁にいるウミウ、ヒメウを観察してから宿周辺を歩きました。天売島といえばノゴマですが、この日も各所でノゴマがルビー色の喉を震わせながら歌い、姿を見ることが難しいものの笹薮の中からはエゾセンニュウのけたたましい声が響いていました。そしてこの日は早朝から見られていたというブッポウソウがフワフワと飛ぶ姿が見られ、道端ではなぜかマミジロタヒバリの姿も見られました。そしてやや早い17:45から夕食をいただいた後は天売島のメインと言っても過言ではないウトウの帰巣風景の観察に出かけました。天売島では80万羽とも言われるウトウが繁殖していて、夕方になると口いっぱいに餌を咥えた親鳥たちが巣に戻ってくるのです。この日も空いっぱいに広がるように親鳥たちが帰ってくる様子が見られ、まるで落下するように次々に巣に帰ってきました。うっすらと夕陽も見えたことからその雰囲気を楽しむことができました。

23日、この日は早朝に漁船によるクルーズが予定されていましたが、海況悪化のため中止となってしまいました。そのため海鳥たちを見る機会が減ってしまうため05:30に宿を出て赤岩展望台に向いました。強風が吹く中での観察となってしまいましたが眼下の海を眺めると複数のケイマフリの姿があり、真上からの観察のためか、特徴である赤い足を見ることができました。また屏風岩を眺められる海鳥観察舎からは繁殖中のヒメウ、眼下にはウトウ、ケイマフリの姿はありましたが残念ながらウミガラスの姿を見ることはできませんでした。一旦朝食に戻った後は庭先の電線で歌っているコムクドリのオスを見てから海の宇宙館に立ち寄って展示物を見学したり、買い物をしてお楽しみいただいてからフェリーで天売島を出発しました。ただこの日は昨日同様に海況が極めて悪く、船体が大きく揺れる状況になりながらもようやく羽幌港にたどり着きました。到着後は再び長い移動となりますが、千歳空港に向いました。

さて今回のベストシーズン北海道はスタートはヤマゲラ、クマゲラ、アオバト、そしてギンザンマシコやノゴマなどが見られ好調でしたが、後半は雨になってしまい思ったような観察ができず残念でした。今年もシマアオジが渡来してくれていたので安堵していましたが観察条件が悪かったのが心残りでした。また天売島ではウトウのダイナミックな帰巣風景を楽しむことはできたものの、海況不良の影響から漁船クルーズができず、ケイマフリやウミガラス、ウミスズメといった海鳥たちを間近に観察することが叶わず残念でした。北海道はさまざまな季節にツアー企画しております。またの機会、北海道に足を運んでいただけましたら幸いです。この度はご参加いただきましてありがとうございました。

石田光史

クマゲラ 撮影:熊谷正弘様

 

ウトウ 撮影:井ノ口博司様

 

ヤマゲラ 撮影:鶴田美津子様

 

ギンザンマシコ 撮影:熊谷正弘様

 

アマツバメ 撮影:井ノ口博司様

 

ƒハシブトガラ 撮影:鶴田美津子様

 

ヤマゲラ 撮影:熊谷正弘様

 

クマゲラ 撮影:井ノ口博司様

 

ウトウ 撮影:鶴田美津子様

 

オオアカゲラ 撮影:熊谷正弘様

 

ウミネコ 撮影:井ノ口博司様

 

シマリス 撮影:鶴田美津子様

 

ウトウ 撮影:熊谷正弘様

 

コムクドリ 撮影:井ノ口博司様

 

マミジロタヒバリ 撮影:鶴田美津子様

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