【ツアー報告】初夏の上高地と乗鞍畳平ハイキング(追加設定) 2018年6月3日~5日

(写真:ライチョウ 撮影:中村由紀子様)

6月3日:新宿駅から特急に乗車、途中駅で乗車したお客様も予定通り加わり12時前松本駅に到着しました。同駅では名古屋以西から参加いただいたお客様とも合流した後バスで乗鞍高原に向かいました。松本駅から1時間半程で乗鞍高原の宿泊地に到着、早々観察器材を準備した後、付近のポイントで観察を開始しました。天気も良好で、針葉樹の林をゆっくり歩いてゆくと亜高山帯の代表ヒガラやメボソムシクイが現れ、エゾムシクイの金属的な囀りも聞こえてきます。しばらく舗装道を登るとジュウイチやホトトギスの声が盛んに聞こえますが、かなり遠い距離からでした。その後ウソの声やクロジの囀りを確認しましたが、姿を確認することはできませんでした。登り道を折り返した後、ジュウイチがかなり近い距離で鳴き始めたため待機していると、目前の林の間を猛スピードで通過してゆきました。その姿はまるで猛禽のような感じがし、お客様もシャッターを押す暇もない一瞬のことでした。その後宿に戻ると、敷地内シラカバの木にあるアカゲラ古巣でゴジュウカラが営巣しており、盛んにえさを運ぶ姿を観察しました。また付近の電線ではジョウビタキ雄が囀っており、ノゴマに近い感じがする早口の美声でした。続いてサンショウクイが高い木に飛来しその姿をじっくり観察することができました。宿泊した宿は、白濁した源泉かけ流し温泉で体の芯から温まり、夕食もおかみさんが腕を振るって地元の新鮮な山菜や素材を存分に使ったもので、皆様ご満足頂けたと思います。

6月4日:早朝はやや肌寒い中、宿を出て観察を行いました。まずこの宿の住人ゴジュウカラに挨拶した後、近くの人家屋根では鮮やかな黄色をしたキセキレイペアーが鳴きかわしていました。斜面林からはコルリの囀りが響きますが姿は確認できません。その後針葉樹梢で囀るビンズイやアオジを望遠鏡でじっくり観察した後、歩道に出てきたアカハラやこの時期珍しいシメに出会いました。宿に戻り、朝食後はバスで乗鞍岳畳平に向かいました。天候は快晴で途中車窓からは穂高連峰の雄大な景色を楽しむことが出来ました。畳平駐車場ではイワツバメが上空を飛び回り、鎌のような翼のアマツバメも確認できました。早々ライチョウ狙いのポイントへ向かいましたが、雪渓とハイマツの間にホシガラスが現れました。観察しているとハイマツの中に潜り込んだ後、嘴にハイマツの実を咥え飛び去りました。距離も近かったため、お客様全員がその姿を確認できました。ライチョウ狙いのポイントは標高差数十メートルの急斜面の登山道を登らなくてはなりません。登山道下部から見上げると、ピークに近い岩場で2羽のライチョウ雄が1直線に西側の雪渓に飛び去る姿が確認できました。やや距離はありましたがこの雪渓付近に舞い降りた個体をスコープで確認できました。その後このピークに向かう急斜面を頑張って登りきった後、ピークに近い平坦な登山道から数メートルの岩上で1羽の雄が悠々と佇んでおり、暫くの間絶好の被写体・モデルになってくれました。但イワヒバリ・カヤクグリは近い距離で出現してくれる個体がなく、残念ながらやや遠い距離での観察となりました。それでも畳平でライチョウを十分観察できたことから早めの昼食を取り、上高地へ向かうことにしました。畳平から1時間程で上高地に到着、バス停から10分ほどの移動で宿に着き、機材を準備して観察に向かいました。森の小道を歩くとヒガラ・コガラ・メボソムシクイなどが迎えてくれました。目当てのコマドリの囀りも所々で聞こえますが、距離がやや遠くその姿を見ることはできませんでした。その後折り返し付近の小道ではキビタキの雄が小枝にとまる姿を観察、キバシリやエゾムシクイも現れてくれました。夕方に宿に戻りましたが、夕食は地の食材が満載で、山菜・新鮮野菜・信州サーモンの刺身やイワナの塩焼きなどバランスのとれた料理が並び、沢山歩いたお客様の疲れを癒すものだったと思います。

6月5日:本日も早朝に宿を出発し、昨日の午後と同じコースを辿りながら早朝探鳥を行いました。肌寒いものの天気は快晴で焼岳が朝日に当たり美しく雄大な姿を見せてくれました。集合時間の5分程前に待機していると、梓川上流からケッケッケッと鳴き声がして何とヤマセミが下流へ向かって飛び去りました。集合時間前だったため、約半数のお客様しかご覧になれませんでしたが、朝一で気分が盛り上がりました。その後お目当てのコマドリのポイントに近づくと、道路に程近い場所から鳴き声が盛んに聞こえてきますが、なかなかその姿を確認することが出来ません。ようやく探していた場所よりかなり近い倒木の上で囀るコマドリを発見しましたが、スコープに入れると僅かな時間で飛び去ってしまいました。薄暗い場所と飛び去るまでの時間が短かったため、お客様にはやや消化不良なコマドリとの朝の出会いでした。一旦宿に戻り朝食後、早朝とは別ルートの周回コースで出発しました。日も高くなり河童橋の先では、岳沢から穂高連峰の素晴らしい眺望を楽しむことができました。歩きだして間もなく、カケスが至近距離で現れ、新芽の実を盛んについばんでいる姿を見せてくれました。その後歩道北側のうっそうとした急斜面の森の中から数回アカショウビンの声が聞こえました。このルートは森の道と水辺の木道が程良く混じり変化に富んだハイキングが楽しめます。そんなルート途中でニホンザルの群れが道路上で休息しており、私達が猿をよけて歩く状況となりましたが、お母さんにしがみつく可愛い子ザルも至近距離で観察する経験をしました。周回コースの中盤に近づいた辺りでコマドリが至近距離で鳴いたため姿を探すと、倒木の上を素早く歩いた後笹薮の中に潜り込んでしまい、またも満足感の薄い出会いでした。その後、オオルリ雄が至近距離で現れ絶好の被写体となってくれました。残り時間が少なくなっている状況下早朝観察したポイントまで来ると、数メートル先の倒木上で囀るコマドリを見つけました。最後にお客様全員でじっくり観察しまた撮影していただき、観察会を有終の美で締めることができました。

今回のツアーは3日間とも幸い好天に恵まれ、普段観察することがない亜高山~高山帯に生息する鳥達を楽しんでいただきました。ライチョウ・コマドリのツアー2枚看板をじっくり観察いただき、またオオルリ・キビタキなどの鳴き声・姿も美しい小鳥たちも楽しんでいただけたと思います。あるお客様が「コマドリの囀りシャワーを初めて経験しました」とおっしゃっていましたが、一番多いポイントでは4カ所からほぼ同時に囀が聞かれ、やはりコマドリの観察で上高地が大変素晴らしい場所だと改めて感じました。お客様の1日当たり歩行が2万歩を超えた日もあり、沢山歩いていただき大変お疲れさまでした。最後に、この度はご参加いただき誠にありがとうございました。

小島久佳

ホシガラス 撮影:中村由紀子様

 

サンショウクイ 撮影:中村由紀子様

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