【ツアー報告】沖縄やんばるの森の固有種たち 2018年4月17日~19日
(写真:ホントウアカヒゲ 撮影:高木信様)
17日、那覇空港でお客様と合流。朝から激しい風雨で夕方まで続くとの予報なので車内からの観察が可能な場所へ行く。今期は渡り鳥が少なくて寂しいのだが、サギ類やコチドリ、アオアシシギなどを見る。渡り途中のツバメが100羽前後飛び、ショウドウツバメと亜種アカハラツバメが混じるが飛び方が早い上にトリッキーでなかなか確認できない。ただ、止まっている30羽程のツバメ中に亜種アカハラツバメが2羽混じっていてみなさんでじっくりと観察・撮影する。夕方、やんばるの森に到着。予報通りに雨があがったのでヤンバルクイナのポイントを廻る。ヤンバルクイナはカタツムリやミミズが大好きなので雨上がりは好条件なのだ。川沿いでヤンバルクイナの雄を見付けるが、直ぐに隠れてしまった。そこで先回りすると羽づくろいをする雌を発見。すると、雄が歩いてきて、なんと交尾を始めたのである。もちろん、みなさんでじっくりと観察、撮影する。しかし、いきなりヤンバルクイナの交尾が見られるなんて、幸先の良過ぎるスタートなのだ。観察後、やんばるの森の中のホテルに到着。やんばるのホテルに連泊するのもこのツアーのいいところなのだが、一晩中、ホテルの屋根でリュウキュウアオバズクが囀っていて嬉しいけどうるさいのである。
18日、早朝、遠くでリュウキュウアカショウビンが囀っている。やんばるの森を車でゆっくりと走る。本日は気温が下がったためか鳥たちの囀りが少ない。陽が昇り暖かくなるとアカヒゲの亜種ホントウアカヒゲがあちこちで囀りだす。ヤンバルクイナが道路脇で餌を食べているが、直ぐに藪の中に逃げ込んでしまう。ケンカをする雄2羽を発見。ちょっと遠いけどやっときちんと観察、撮影する。さらに、道路脇の畑で羽づくろいをするヤンバルクイナを発見。車から10m程の距離でのんびりしている姿をじっくりと観察、撮影する。その後、ノグチゲラのポイントへ行くが静かである。今年は例年になくノグチゲラの繁殖が遅く、この時期だと抱卵している個体がいるはずなのに、まだ求愛をしているのだ。ホテルに戻り朝食。その後、再びノグチゲラのポイントへ行くと雄の姿があった。毎年、3月末から時間を作っては個人的にやんばるの森で下見をしていて、さらにガイド仲間たちと情報共有しているので、やんばる3点セットの中で最も見難いノグチゲラを楽しめるのである。いきなり他所から来て偶然に出会うような確率ではお客様をお連れ出来ないのだ。さらに、やんばるの森の中の林道をゆっくり走る。アカヒゲのポイントで待つと、雄がソングポストで囀るのだが、枝が被っててじっくり撮影とはいかない。昼食後は耕作地でサギ類やセイタカシギの群れなどを見てから移動する。ここにもノグチゲラのポイントがあるが静かである。再び、やんばるの森の中の林道をゆっくり走る。リュウキュウメジロが早口で囀り、体色の濃いリュウキュウキジバトやリュウキュウヒヨドリ、体の小さなリュウキュウハシブトガラスといった琉球列島や沖縄の亜種を観察する。アカヒゲの撮影をしたいのでポイントで待つ。暫くすると雄がお立ち台のようなソングポストで朗々と囀り、右を向いたり左を向いたりとサービス満点なのでみなさんでじっくりと堪能する。夕方、やんばるの森の中のホテルで美味しいディナーを食べながらヤンバルクイナとアカヒゲの話で大いに盛り上がったのである。
19日、早朝にホテルを出発してポイントへ向かう。途中にノグチゲラのポイントがいくつかあるが、いずれも、まだ、求愛期のようで雌雄で鳴きながら追いかけっこをしている。求愛行動は例年なら3月に見られる行動なのだ。陽が昇り少し暖かくなると、アカヒゲやオキナワシジュウカラ、アマミヤマガラ、リュウキュウメジロなどが囀りを始める。朝食後は再びノグチゲラのポイントへ行き、安全な距離からみなさんで観察、撮影をして直ぐにその場を離れる。世界中でこの森にしか住んでいないヤンバルクイナ、ノグチゲラ、ホントウアカヒゲを「やんばる3点セット」と勝手に呼んでいるが、今回はその3種を観察、撮影できてみなさん満足そうな笑顔なのだ。時間が押してきたのでお弁当を買って午後は海岸へ行く。今年はシギ・チドリ類の越冬や渡来が少ないが、ハマシギ、ヒバリシギ、タカブシギ、アオシシギなどを見ていると、真っ赤な夏羽のサルハマシギを発見。じっくりと観察、撮影して那覇空港へと向かったのである。「やんばる3点セット」にたっぷりと遊んでもらった3日間でした。みなさま、お疲れ様でした。
宮島 仁