【ツアー報告】アホウドリに会いたい!東京~八丈島航路 2018年4月13日~14日
(写真:アホウドリ 撮影:島井敏宏様)
我々「鳥の観察会」の看板商品でもある海鳥観察は一年を通してさまざまな時期、海域で企画していますが、この時期は国の特別天然記念物に指定され、生息個体数僅か4500羽ともいわれるアホウドリとの出会いに期待して東京竹芝桟橋と八丈島を往復する定期航路に乗船しています。毎年大好評のため今期も3回企画しましたが1度目はアホウドリは見られたものの距離感が良くなく、そして2度目は海況不良による欠航のため中止、そして今回が3度目のトライとなりました。帰着翌日の15日は大荒れ予想でおそらく欠航だとのことですが、今回はお天気は曇りベースながら波はそれほど高くなく問題なく出発となりました。
13日、ほぼ予定通りご集合が完了したためご集合場所にて資料配布、トラベルイヤホンの使用方法説明、そして翌日の海鳥観察のポイントや注意すべき海域の説明、観察時の注意事項、また出現が予想される海鳥の解説などを行いました。この日は出港する船が我々が乗船する東海汽船橘丸だけだったこともあり、これといった混雑は感じずにスムーズに乗船開始となりました。
14日、早朝に船内アナウンスがあり、この日は三宅島錆が浜港に着岸するとのことでした。ここまで大きな揺れもなく順調で、このアナウンスに合わせて起床し、各自準備をしてからデッキに出ました。日の出前のためまだまだ外は薄暗く思った以上の肌寒さでした。海上をウミウが飛び、堤防上をウミネコが飛び交う中、三宅島に着岸、その後出港して御蔵島を目指しました。この日は漁船が多数見られていたため注目していると早速、漁船にまとわりつくように飛翔するアホウドリの亜成鳥の姿がありましたが残念ながら接近はありませんでした。その後はおなじみとなっているオオミズナギドリの大群に囲まれるような状況になり、時折着水している群れなども見ながら御蔵島に着岸しました。うっすらと青空が見える状況の中、トビ、ハシブトガラスが飛び橘丸は八丈島に向けて出港しました。穏やかな海況の中、相変わらずオオミズナギドリの大群が乱舞し、2羽のトウゾクカモメが飛翔しました。その後は一旦海鳥の姿がなくなってしまいましたが、再びオオミズナギドリの姿が増えだし、たまたま晴天になっていたことから頭部の白色、翼下面の模様などしっかりと観察することができました。そして遠くに出現したアホウドリ成鳥が距離はあったもののゆっくりと我々の前を通過し、08:00にはやや波が立っている中、採食行動中のオオミズナギドリの群れと共に行動するミナミハンドウイルカと思われる鯨類の群れも見られました。その後はやや波が立つ中、橘丸は30分ほど遅れて八丈島底土港に着岸しました。防波堤にはコチドリ、ウミネコの姿がありましたが、遅れた分、すぐに出港するとのことで慌ててターミナルまで移動してチケットを配布し、すぐに乗船しました。ただ荷揚げ作業はそれほど早くは終わらないようで、結局出港したのは10:10でした。出港後はこの日初のクロアシアホウドリが着水状態から飛翔し、やや波、風が出る中、再びクロアシアホウドリが現れました。その後は左舷側を飛翔する腰が白いクロアシアホウドリが飛び、船首を通過して右舷側も飛んでくれました。直後には同様に腰が白いクロアシアホウドリが飛び、その後は立て続けにクロアシアホウドリが現れる中、オオミズナギドリの大乱舞を見ながら御蔵島に着岸し、晴れ間の見える中、三宅島に向けて出港しました。出港後はやや波が立つ中、クロアシアホウドリが船首を横切るように飛び、その後はオオミズナギドリの乱舞を見ながら三宅島錆が浜港に着岸しました。橘丸はやや遅れを取り戻しながら東京竹芝桟橋に向けて出港しました。出港後は思いのほか静かな時間が過ぎていきましたが、左舷側船尾方向からアホウドリ成鳥がグイグイ船に近づいてきたことからデッキ上は一気にお祭り騒ぎとなり、結局は船首を通過して右舷側にもやってきてくれ大サービスでした。そして直後にも美しいアホウドリ成鳥個体が飛び、その後は茶色味の強いアホウドリの亜成鳥が左舷側から右舷側に飛び、そしてこの頃から小雨が降り、やや波と風が出来る中、波間を蝶のようにヒラヒラと舞うオーストンウミツバメが続々登場してきました。双眼鏡で見るとずっと奥までオーストンウミツバメだらけで、その数はおそらく4ケタではないかと思うほどでした。見ていると船首方向から群れが次々に出現しては独特の飛翔を見せてくれ、中には着水して採食行動している個体もいました。とにかく驚愕の状況でしかもこの状態が1時間弱続きました。またアホウドリの出現も続き、再び美しい成鳥個体、その後は亜成鳥個体が同時に2羽飛翔しました。その後はどんよりとした曇り空の下、クロアシアホウドリが飛び、この頃にはオーストンウミツバメの姿はほとんど見えなくなっていました。そして橘丸が東京湾にさしかかった頃に探鳥を終了しました。
さて毎年春恒例となっているこの東京~八丈島航路ですが、今期は3度企画し全て満席となり心から感謝いたします。結果的には2回目の企画が欠航により中止となってしまいましたが、最後はうまく締めくくることができました。ただ、航路での海鳥観察はタイミングで決まるため、やはり複数回粘り強くチャレンジしていただかないと成果に恵まれないという現実があります。今後もさまざまな航路でツアー企画いたしますのでぜひ究極の一期一会を求めてご参加ください。今回は結果的には完全成鳥と呼ばれる上面が白くバンド状の模様が繋がっていないアホウドリを何度も観察することができ、またその距離感も良かったことは幸運でした。また海況がやや悪化したことが幸いし、数千羽単位のオーストンウミツバメの大乱舞を見ることができました。私もこの航路はかなり長く乗船してきましたが、ここまでの群れを見たのは初めてで大変驚きました。海鳥観察は時にビッグゲームになるのですが、今回は記憶に残る1日を経験させていただきました。またトラベルイヤホンを使用した海鳥観察ツアーの優位性もあらためて実感することができました。この度はご参加いただきましてありがとうございました。
石田光史
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