【ツアー報告】深山に棲むクマタカに会いたい! 2018年3月7日
(写真:クマタカ 撮影:A・T様)
普段のバードウォッチングではなかなか出会うことができないのが大型猛禽類と呼ばれるタカの仲間です。ただ、時期や観察ポイント、また当日の状況といったいくつかの条件が揃えば、半日程度の定点観察でなんとかその姿を観察することができます。もちろん本来であれば数日程度の日程があれば言うことはないのですが、今回訪れるポイントは観察率が高いことからクマタカの活動が最も良くなる季節に合わせて日帰りツアーとしてトライしています。まず最も気になる天候ですが、事前の天気予報では曇りとなっていましたが、幸いにも前日の予報では晴れマークが出てくれ、実際には当日は予報よりも天候は良くなり、ほぼ青空が広がる中での探鳥となりました。
7日、薄曇りの中、早朝の東京駅にご集合いただきほぼ予定通り08:00に出発しました。ここ数日は暖かい日が続いていましたが、この日は一転して真冬のような寒い朝でした。この日はやや移動距離があること、また観察ポイントにトイレがないことなどから2ヶ所でトイレ休憩をとり10:00過ぎに観察ポイントに到着しました。大型猛禽類はあまり早くから行動しないといわれ、このポイントでも10:00頃からが最も良い時間帯となります。幸い思った以上に天候は良く、見る見る青空が広がってきていました。クマタカを待っている間にはハヤブサ、オオタカが飛翔し、付近ではマヒワの小群、湖畔にはセグロセキレイ、湖面にはカイツブリ、マガモ、カルガモの姿がありました。この日のクマタカは高圧鉄塔に止まっていたようで早速11:00過ぎに飛翔する姿が見られ、その後は再び別の高圧鉄塔に止まる姿を見せてくれました。かなり距離があることから望遠鏡を使って観察しましたが尾にある帯状の模様や頭の冠羽状の羽毛も見ることができました。その後は高く舞い上がり、我々の上空を通過する際には大きく膨らんだように見える次列風切と美しい斑模様を見ることができましたが、残念ながら反対側の尾根に消え、しばらく姿を見ることができなくなってしまいました。ただ午後になってそろそろ帰ろうかと思った時、高圧鉄塔下にある枯れ木に止まっているかなり白っぽい幼鳥個体が見つかり、しばらく観察していると飛び立ってしまいましたが、その個体が最後に珍しく旋回飛翔してくれたため独特の深いV字飛翔を見ることができました。観察終了後は東京に向かって移動し始めましたが、順調に進行していたことから途中にある公園に寄って探鳥することにしました。ここ数日、暖かい日が続いていたことから全体的に冬の小鳥たちの姿は少なかったですが、広場を歩きながら採食している1羽のツグミの姿がありました。ただよく見てみると全体的に橙色みがある亜種ハチジョウツグミでした。やや疲れているのか動きが緩慢で、そのためじっくりと観察することができ思わぬ良い出会いとなりました。ほかにもアトリ、アオジ、エナガ、シジュウカラ、ヒガラなども見られ、最後は樹液を吸っているアオゲラの姿を観察して終了しました。
通常では長時間の定点観察しか出会うための方法がない大型猛禽類観察ですが、出現頻度が比較的高い場所に良い時期に訪れ、また当日の天候などの条件が揃ったことから、今回は僅かな探鳥時間の中でクマタカの姿を複数回観察することができ、飛翔形や木に止まる姿などを彼らの生活の一端を見ることができました。タカ類観察は夏にイヌワシ、そして秋にはタカ渡りのツアーを企画しております。ご興味がありましたらぜひご検討ください。この度はお疲れ様でした。
石田光史