【ツアー報告】冬の道東巡り 2018年2月15日~18日
(写真:ユキホオジロ 撮影:坂本和子様)
毎冬恒例のツアーといえば九州と道東は絶対に外せないでしょう。他社ツアーではオオワシ、オジロワシ、タンチョウを謳っていますが、我々のツアーではさらに冬の道東の魅力を凝縮できるよう、それらにシマフクロウ観察を加え、さらには幻想的なタンチョウの塒の観察、そして得意分野である海鳥クルーズも組み込み、ほぼここでしか観察できないウミバトをはじめとした小型ウミスズメ類、そして漁港では今ひとつ距離が遠いコオリガモなどの海ガモ類もより近い距離から観察できるようコース設定をしました。冬のツアーとしては早朝探鳥があり、船からの観察も2度あるというやや変化のあるツアーです。今回は事前の天気予報は概ね良かったのですが、出発直前になって後半の天気予報が怪しくなってきました。
15日、肌寒さはあったものの快晴の中、出発して現地に向かいました。運行はほぼ予定通りに進み、空港到着後は観察機材の準備をしていただき、少々時間があったことから近くにある漁港に向かいました。風もなく穏やかな中でまずは漁港内にいるカワアイサ、ホオジロガモ、ウミアイサといった基本種を観察し、反対側では堤防に止まっているヒメウを観察しました。するとその中にチシマウガラスが1羽混じっていたことから驚かされました。しばらく観察していると飛び立ってしまいましたが、その後、やや離れた堤防上に止まったことから望遠鏡を使って嘴の色などの微妙な違いを観察することができました。その後はこの日の宿泊地まで移動して一旦宿にて夕食としました。ただここ数日はシマフクロウの出現が早いということだったため少々早めに食事を済ませて17:30に出発しました。観察ポイントに到着後は早速観察準備に取り掛かりましたがシマフクロウの声が響いていたため慌てながらでした。するとこの日は驚いたことに到着後10分ほどで早くもシマフクロウがやってきて枯れ木に止まり、その後、魚を捕って飛び去りました。この日は22:00までの観察予定でしたが、その後、帰り間際にも再度シマフクロウがやってきてくれたため短時間の中で2度観察する幸運がありました。厳冬期には観察が難しく、今回の観察はかなり難しいと思っていただけに嬉しい出会いでした。
16日、この日は流氷観光船に乗船する予定だったのですが残念ながら流氷の接岸がない中での出航となりました。まだ暗い05:45に宿を出発して06:00出航した後は、沖合いまで走って流氷を探していただきましたが、結果的には見つからず漁港近くまで戻ってオオワシ、オジロワシを観察することにしました。間近に見るワシたちは巨大で迫力があり、なんともいえない迫力を2時間ほど楽しみ、最初は曇っていた空が次第に明るくなる中、最後は青空を背景に飛翔するワシたちを堪能することができました。下船後は宿に戻って朝食をいただき再度出発しました。まずは漁港でクロガモ、スズガモ、シノリガモ、ワシカモメなどを観察し、その後は移動して海上にウミアイサ、クロガモ、そして遠くにコオリガモの姿が見られ、一旦休憩をした後は再び移動しました。すると幸いにも数羽で移動しながら採食しているユキホオジロの小群がいたことからバスを降りて歩いてみることにしました。雪をかきわけるように進むと雪原をチョコチョコと歩きながら採食しているユキホオジロの姿があり、しばらく観察しているとやがてハマニンニクの種子を食べ始めたため少しずつ近づいて観察することができ、最終的には10mほどの距離からその姿を堪能することができました。この冬は早い段階からユキホオジロをはじめとした冬の小鳥類が例年よりも多く観察されていたことから期待していましたが、いずれにしても幸運な出会いとなりました。その後は昼食の時間としましたが、ここでも2羽のユキホオジロを観察されたお客様がいらっしゃいました。その後はいくつかある漁港をめぐり、一旦休憩を挟んで別のポイントに行ってみました。ここでもカモ類の数は例年よりも少なかったですが、期待のコオリガモを観察することができ、他にもクロガモ、ホオジロガモ、ワシカモメ、そして鉄塔で鳴くオオワシの姿も見られました。また最後には日没が迫る中でしたが海上に浮いているクロガモやシノリガモ、またひょっこり顔を出したゴマフアザラシ、そして塒にやってきたヒメウの中に、この日は4羽のチシマウガラスの姿が見られ、またまたラッキーな終了となりました。
17日、この日は時間と共に低気圧が接近してくるため天候が心配でしたが、早朝の根室は快晴で穏やかでした。予定通り朝食をいただき落石漁港に向かいました。30分ほどで到着した後はライフジャケットの装着や着る物の再チェックをしていただき2時間半ほどの落石クルーズに乗船しました。心配された波や風はほとんどなく拍子抜けするほどでした。この日はケイマフリの姿が多く、このクルーズの主役であるウミバトを数回観察したほか、アリューシャンウミバトを1度、またこの時期になってようやく姿が見られるようになったコウミスズメの小群を間近に観察したり、冠羽が特徴のエトロフウミスズメも数回観察することができました。またウミスズメ、ウトウ、クロガモ、シノリガモ、コオリガモ、アカエリカイツブリ、ハジロカイツブリ、シロエリオオハムなども見ることができました。下船後はやや風が出てきて小雪が舞い始める中、各自昼食の時間としました。昼食を食べている間にもどんどん雪が強まり、その後訪れた漁港では視界が悪くなる中、バス車内から間近にコオリガモを観察することができましたが、その後は激しい雪のためほぼ鳥の姿が見られない中、鶴居村に向かいました。途中、降りしきる雪の中で佇むタンチョウの群れが見られ、幸い雪が止んでいた鶴居村ではどこからか飛来して話題になっているクロヅルの姿を見る幸運がありました。時間的にはそろそろ塒に飛んで行く頃にため観察していると、タンチョウは次々に飛び立ちはじめ、クロヅルも一緒に飛んでいきました。また最後には飛び立ったタンチョウの群れが我々の頭上を越えるように飛翔するシーンに歓声が上がりました。
18日、ものずごい風の音で深夜に何度か目が覚める中、この日は早朝に出発してタンチョウの塒に向かいました。本来であれば釧路方面からのカメラマンや現地宿泊しているカメラマンが大勢訪れるため橋の上は2列3列となるのですが、この日は地吹雪に近い状況だったことから訪れる人はまばらで場所はかなり空いていました。日の出の時間に合わせてバスを降り、観察を開始しましたがとにかく風が強く、地吹雪状態でした。それでもタンチョウたちが塒に集まっている様子が観察でき、時折舞い上がる雪とあいまって珍しいシーンを見ることができました。観察後は宿に戻って朝食をいただき、再度出発しましたが、風は収まる気配はありませんでした。ただようやく天候が回復してくる中で最後の探鳥地に到着しましたがこの頃から道路が次々に通行止めになってしまったため探鳥時間を省いて、迂回路を経由して空港に向かいました。状況は刻々と変わっていましたが、幸い我々が乗る機材は問題なく、我々もほぼ予定通り空港に到着することができました。
さて今年の冬の道東巡りは流氷とのタイミングが合わず残念でした。また3日目午後から嵐となり最終日はかなりヒヤヒヤさせられ一部十分な探鳥ができず残念でした。ただオオワシ、オジロワシの迫力を存分に味わうことができ、厳冬期には見ることが難しいシマフクロウとはあっさり出会うことができました。また地吹雪の中のタンチョウの塒、思わぬクロヅルやフクロウ、チシマウガラスとの出会いもあり、念願だったユキホオジロを堪能することもできました。また我々が得意としている海鳥クルーズもギリギリのタイミングで乗船することができ、ウミバト、コウミスズメ、エトロフウミスズメ、ケイマフリなどを観察することができました。我々のツアーでは今後も得意とする海鳥クルーズをマストとしてさらに見所を網羅できるコース設定をして参りますのでご期待ください。この度はご参加いただきましてありがとうございました。
石田光史