【ツアー報告】大洗の海鳥と涸沼の猛禽類 2018年2月6日

(写真:オオワシ 撮影:須崎明男様)

毎年2月、涸沼のオオワシがやってくる時期に合わせて企画しているのが涸沼と大洗海岸をセットにした日帰りバスツアーです。冬季の干拓地や湖沼、河口、海岸などさまざまな環境を巡ることから数ある日帰りバスツアーの中でも観察種数が多く、過去には70種を超えたこともあります。この冬は寒気が入る日が多く、厳しい寒さの中での探鳥が多いのですが、この日は風もなく穏やかな1日になるだろうとの予報が出ていました。

6日、空気は冷えていましたが、快晴の東京駅前にご集合いただき予定通り出発することができました。途中、高速道路のサービスエリアで休憩を取り、ここから探鳥地までが僅かな距離であることから同時に観察機材の準備をしていただき、まずは涸沼の西端にやってきました。ここから最初の観察ポイントまでは僅かな距離ですが、干拓地で鳥を探しながら進むことにしました。干拓地ではノスリ、チョウゲンボウ、ミサゴが見られ、畑地ではタゲリ、ヒバリ、ツグミ、タヒバリ、ヨシ原ではホオジロ、カシラダカ、アオジ、オオジュリンなどの姿がありました。その後は涸沼の湖畔までやってきてオオワシの出現を待つことにしました。待っている間は湖面を眺めてみましたが、カモ類が少ないというこの冬の状況を象徴するかのようにカモ類が少なく、カルガモ、マガモ、キンクロハジロ、ホシハジロがわずかに浮いている程度でした。ただカワアイサのメス、ホオジロガモのオスの飛翔を見ることができました。また50羽ほどの群れで潜水と浮上を繰り返すハジロカイツブリの群れが複数見られたほか、数羽のミミカイツブリが間近に浮上して楽しませてくれました。12:00になったことから一旦各自昼食としましたが、ここでいきなり上空高く飛翔するオオワシが現れました。そのため全員の方の声をかけて再び堤防上に上がっていただいて観察することにしました。最初はかなり高い位置を羽ばたきもせず悠々と飛翔していましたが、二度目の上空を通過した際には順光側をやや低く飛翔してくれたため見事な飛翔を堪能することができました。その後は大洗海岸に移動しました。ツアーは潮位が低くなるタイミングに合わせているため岩礁帯がむき出しになり独特の景観を作り出す中、当地の代表種であるシノリガモが岩礁に上がっている美しい姿が見られ、ウミアイサは首を一旦伸ばした後、体をくの字に曲げるようなユーモラスなディスプレイを見せてくれました。また岩礁にへばりつくように採食するハマシギの群れ、佇むセグロカモメ、オオセグロカモメ、ウミネコ、海上にはウミスズメ、ヒメウなどの姿もありました。その後は那珂川の河口でヨシガモ、スズガモ、オカヨシガモ、カンムリカイツブリ、ミユビシギ、大洗町にある小さな漁港ではシロカモメが見られ、漁港内ではアカエリカイツブリの姿もありました。そして最後は再び涸沼に戻り、北側にあるヨシ原に行ってみました。見事な夕陽が沈みつつある中でチュウヒが舞い、最後の最後にはハイイロチュウヒのメスがやってきて盛り上げてくれました。

風が吹くと非常に寒い探鳥地に様変わりする涸沼と大洗海岸ですが、この日は夕方は寒さが厳しかったものの幸いほぼ無風の1日でした。時間はかかったもののオオワシの見事な飛翔が見られ、大洗海岸では主役のシノリガモとウミアイサ、さらにはヨシガモの姿もありました。ほかにもアカエリカイツブリ、ミミカイツブリ、ハジロカツブリ、ホオジロガモ、ウミスズメ、チュウヒ、ハイイロチュウヒ、タゲリなど計63種の鳥たちに出会うことができました。この度はご参加ありがとうございました。

石田光史

ウミアイサ 撮影:須崎明男様

 

シノリガモ 撮影:須崎明男様

 

チュウヒ 撮影:須崎明男様

 

ミミカイツブリ 撮影:須崎明男様

 

カワアイサ 撮影:須崎明男様

 

ビンズイ 撮影:須崎明男様

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