【ツアー報告】フォトツアーWクルーズとシマエナガ・シマフクロウ(追加設定)2018年1月8日~11日
(写真:シマエナガ 撮影:鈴東力様)
12月下旬恒例だった知床沖と根室沖のWクルーズとシマフクロウ観察をセットにした企画に、この冬からは新たにシマエナガ撮影を加え、募集人数を10名様限定としてフォトツアーにリニューアルしました。12月のコースがおかげさまで満席になったことから追加設定となり、この冬2度目の催行となりました。今回は出発前から道東地方はこの時期としては珍しく気温が高い日が続いているとのことでした。
8日、トラブルなどはなく予定通り出発することができ、現地に到着することができました。残念ながら曇り空でしたが暖かい印象で例年に比べると積雪も少ない印象でした。荷物をバスに積み込んだ後はこの日の宿泊地に向かいました。空はどんよりとしていましたが雪を被った山々ははっきりと見ることができ、海に波は立っていませんでした。バスの窓からは木々に止まるオオワシ、オジロワシ、海上にはクロガモの姿がありました。この日は日没が16:00で最近はシマフクロウが比較的早い時間に現れていることから宿に到着した後は観察機材の準備をしてから早速セッティングに取り掛かりました。夕食をいただき、その後は早速撮影に入りましたが驚いたことにこの日は18:10に早くもシマフクロウがやってきてくれました。ただその後は早朝が良いだろうとのことで撮影を一旦終了して就寝し、再び早朝から撮影を開始しました。すると狙い通りにシマフクロウは2度やってきてくれ再び撮影することができました。とにかく驚くほど暖かく、夜半からは雪ではなく雨が降るという状況でした。
9日、朝食を06:30からいただき07:30に出発して羅臼港に向かいました。たまたま低気圧が接近していたため、これから風が出てきて海の状況は良くはないと事前に船長から連絡をいただいていましたが、皆さんのご意見を伺った上で出港することにしました。ただ、出港時はそれほど風も波もなく小雨が降っているだけでした。漁港内ではシノリガモの群れが見られ堤防にはオオセグロカモメ、シロカモメが止まっていました。また驚いたことに漁港内には1羽のハシブトウミガラスの姿がありました。ただ漁港から出ると海鳥たちの姿は少なく、次第に風と雨が強くなり出港後1時間ほどで海況は一変してしまい、ほとんど成果がないまま終了することになってしまいました。着岸後は一旦休憩してから移動しました。ただその後も雪ではなく小雨が降り続く中、この日の宿泊地に到着しました。ここでは宿の庭先で小鳥類の撮影をすることになっていたため、一旦お部屋に入っていただいた後は準備ができた方から撮影を始めました。幸い曇り空ながらも雨は落ちていませんでした。庭先の餌台にはハシブトガラ、シロハラゴジュウカラ、ヒガラ、アカゲラが引っ切りなしにやってきて楽しませてくれました。目的のシマエナガは午後にやってくることが多いので期待しましたがこの日はその姿はありませんでした。ただ北海道で見られるカケスの亜種ミヤマカケス、小鳥を狙ってやってきたオオモズ、雑木林越でしたが川沿いの木に止まるヤマセミの姿があり、赤い頬が特徴のウソのオスが2羽見られました。気が付くと空は見る見るうちに青くなり、最後は見事な夕焼けを見ながら16:00に撮影を終了しました。
10日、日の出が06:50ということで07:00から朝食をいただきましたが、この日はどんよりとした曇り空に戻りやや風が強い朝でした。朝食後は早速撮影を開始する中、オオワシが飛んでいました。この日も小鳥たちは元気で常連のハシブトガラ、シロハラゴジュウカラ、アカゲラ、ヒガラなどが引っ切りなしにやってきてくれ、たまたま小雪が舞ってきたことから撮影には絶好のコンディションでした。この日は新たにヒヨドリの姿もあり、ミヤマカケスも比較的近くでその姿を見せてくれました。ただなかなか目的のシマエナガがやってきてくれず、どうしたものかと思っていた10:30にいきなり1羽のシマエナガがやってきたかと思うと、続々とシマエナガがやってきて最終的には6羽が一気にやってきて可愛らしい姿を堪能させてくれたのでした。そのため予定通り12:30に出発して移動しました。出発時はかなり激しい雪が舞っていましたが、現地に近づいてくると雪は止み、空は次第に明るくなってきていました。この日はたまたま暖かい日が続いたせいか所々で地面が見えていて、タンチョウは分散傾向でした。サンクチュアリーに向かうと、ここでは100羽ほどのタンチョウたちが見られました。時間的には塒に向かって飛んで行く時間のため鳴き交わしや飛翔をある程度撮影した後、飛び立って行く場面を狙ってみました。するとちょうど雲の切れ間から射した橙色の光を浴びて飛び立って行くタンチョウたちが何度も見られ、美しいタンチョウの飛翔を撮影することができました。
11日、この日は朝食後に落石漁港に向かい落石クルーズに乗船しました。クルーズは常に欠航のリスクと背中合わせで、前日が大荒れだったことから心配でしたがこの日は早朝から快晴無風でした。予定よりもやや早い08:20に出港してまずは漁港内にいるコオリガモ、クロガモを撮影しました。カモ類は漁港内にいることが多く船に乗らなくても撮影は可能ですが、距離が遠いためやはり船から撮影するのが一番です。この日も愛想の良いコオリガモたちが楽しませてくれ、その独特の「アオナ、アオナ」という声を聞くことができ、クロガモの「ヒュー、ヒュー」というどこか物悲しい口笛のような声も聞こえました。外洋に出ると少々のうねりがありましたがそれほど気になるものではありませんでした。この日はユルリ島モユルリ島周辺以外では残念ながら海鳥の数が少なかったですが、ウミスズメ、ケイマフリ、そして目的だったウミバトの撮影をすることができ、中でもかなり白さが際立っているアリューシャンウミバトの冬羽を比較的ゆっくりと観察することができました。またふいに現れたラッコが間近を泳いでくれ盛り上がりました。結果的には海鳥の個体数はかなり少なかったですが、目的だったコオリガモ、ウミバトの撮影に関してはうまくいきました。
さて今回は1月の道東とは思えない暖かな4日間となり驚かされました。特に2日目には雪ではなく雨が降ったことは意外でした。結果的には知床沖でのクルーズがほぼ成果なしとなってしまい残念でしたが、シマフクロウ、シマエナガ、そしてタンチョウは夕方の光の中で見事なシーンを撮影することができ、エゾフクロウのおまけつきとなりました。そして落石クルーズでは目的だったコオリガモの撮影を楽しむことができ、この冬は多く見られているウミバトに関してはかなり白さが際立ったアリューシャンウミバトを撮影することができました。今後も少人数の撮影ツアーを充実させ、通常の観察ツアーとの差別化を進めていければと思っております。この度はお疲れ様でした。
石田光史