【ツアー報告】年末年始の伊豆沼と蕪栗沼 2017年12月31日~2018年1月1日

(写真:コミミズク)

毎年晩秋から初冬にかけて恒例となっている日本最大のガン類の越冬地である伊豆沼と蕪栗沼を巡るツアー。今年は年末年始でないとなかなか出かけられないというお客様、またこの時期にバードウォッチングにぜひ出かけたいというお客様の声にお応えする形で年末年始にも企画することにし、おかげさまで満席となりました。このツアーでは早朝と夕方に見られる数万羽のガン類の圧倒されるような群翔を観察することがメインですが、マガン、ヒシクイのほか、カリガネ、ハクガン、シジュウカラガンといった珍しいガン類を含む5種のガン類が見られる確率が高いのも特長です。今回は初日の出を見ることも目的だったのですが、天気予報では1日は曇りマークでやや微妙な状況の中での出発となりました。

31日、大晦日の東京駅は思ったほどの混雑はありませんでしたが、帰省する人たちで賑やかでした。ホームに行くと風が思いのほか冷たく、驚いたことに空からは小雪が落ちてきていました。新幹線は順調に進み、車窓からは27日に降った雪がちらほら見える中、無事に現地に到着しました。到着後は薄日が射す中でまずはホテルに向かい、一旦ロビーにて観察機材の準備をしてから観察に出発しました。この日はまず伊豆沼の畑地を巡りましたが、この冬は大規模な工事が行なわれているためガン類の大きな群れの姿はなく、僅かにいたマガンの姿を望遠鏡で捉えて、まずはマガンの特徴を覚えていただきました。その後は別のポイントに向かい、凍った湖面にいるマガン、ヒシクイ、コハクチョウ、さらにはミコアイサ、カワアイサ、枯れ木に止まっているノスリの姿を観察しました。一旦トイレ休憩後はカリガネを探すことにました。この日は比較的多くのマガンの群れが地上採食していたため、とにかく群れを片っ端から見ていきました。すると数羽のカリガネが混じっている群れがいたことから順光側に回りこんで観察することにしました。観察しながら少しずつ近づいて行くとまずは目立つ場所に2羽のカリガネの姿があり、嘴の色の違いや目の周りの金色のアイリングを見ることができました。この2羽はしばらくして飛び立ってしまいましたが、他にも5羽のカリガネがいたことからしばらくの間、観察することができました。そしてこの日の最後は湖畔から塒に帰ってくるガンたちを観察することにしました。本来なら冷たい風が吹いて厳しい寒さになる時間帯ですが、この日は無風で穏やかだったことから意外に楽な探鳥でした。ただ好天だったこともありガン類の動き出しが遅く、ガン類の飛翔が見事な夕陽に絡むことはありませんでした。ただ電線にはコチョウゲンボウ、ノスリの姿があり、突然コミミズクが堤防付近を飛び始めたため観察していると、付近の枯れ木に止まったため間近にその姿を堪能する幸運がありました。また付近の畑地に降りているマガンの群れがどんどん数を増して行く中、その中にポツンと混じる1羽のハクガンが見られました。結局この日は薄暗くなる頃に数万羽のガン類の塒入りが見られ、湖面上空をグルグルと旋回飛翔する見事な光景を見ることができ2017年を締めくくってくれました。ただ天気予報によると深夜から雪とのことで翌日の初日の出がやや心配でした。

2018年1月1日、この日の早朝は意外なことに深い霧に包まれていました。どうやら予報よりも気温が高かったようで雪ではなく深夜は雨だったようでした。ひとまず予定通りに出発して日の出のポイントに向かいました。ただこの日は普段よりも多くの方が現地にやってきていてちょっとした賑わいでした。霧の中からは湖面にいるマガンの声が響いていて雰囲気はありましたが、結局見事な初日の出を見ることはできず、霧の中に浮かび上がった太陽を見るに留まり07:50にホテルに戻りました。朝食後はヒシクイを観察しに向かいました。歩き始めるとホオジロがススキに止まり、湖面の上空をヘラサギが飛んでいました。目的のヒシクイはこの日も数多くが湖面に休んでいてじっくり観察することができ、中には飛翔形を見せてくれる個体もいました。またたまたま風が出てきたことからチュウヒが舞い始め、翼をV字に保った独特の飛翔形を見せてくれました。また2羽のタゲリの姿があったほか、オナガガモ、マガモの群れに混じる数羽のトモエガモも見ることができました。その後は一旦昼食の時間として、その後はハクガンとシジュウカラガンを探すことにしました。たまたま数日前に私的に現地を訪れていたことから、その時にハクガンを見た場所を流してみましたがこの日は残念ながらハクガンの姿はなく、そのためさらに進みシジュウカラガンを探すことにしました。現地では千羽単位のシジュウカラガンの群れを見つけることができたものの、光の方向が悪かったため移動して順光側から観察しました。距離がやや長かったですがかなりの数のシジュウカラガンを見ることができました。ただ距離が長かったことから他に数ヶ所巡ってみるとようやく良い距離感で採食している5羽のシジュウカラガンに出会うことができ、じっくりと観察することができました。その後は一旦トイレ休憩してハクガンを再度探しに行きました。数日前に見た場所にはいなかったことから全く逆方向の畑地に行ってみることにしましたが、これが正解でマガンの群れに混じる2羽のハクガンの姿を見ることができました。この場所も距離が長かったため少しずつ近づいて観察しましたが、最後はようやく特徴をしっかり捉えることができる距離感で観察することができました。そして最後は再び塒入り探鳥を行いました。この日は前日と打って変わって強風が吹荒れて厳しい寒さの中での探鳥となりました。風が強かったことからチュウヒが舞い、ふいにハイイロチュウヒのオス、さらには小鳥を狙ってかコチョウゲンボウが飛んできました。この日も美しい夕景が見られる中、ガン類の塒入りが見られ、風が強かったせいか地面スレスレを低く飛んでくるマガンの群れが見られるという珍しい光景が続きました。結局薄暗くなる16:50まで観察を続け2018年最初のツアーを締めくくりました。

年をまたいだ形となった年末年始の伊豆沼と蕪栗沼ツアー。初日の出が予想外の霧に遮られてしまったことは残念でしたが、両日とも天候に恵まれた中で過ごすことができました。目的であったマガン、ヒシクイ、カリガネ、ハクガン、シジュウカラガンの5種に出会うことができ、また夕方の塒入りの光景は2日間でそれぞれ違った風景を見ることができました。特に1日は強風を避けるかのように低く飛んでくるマガンたちの飛翔が続き見事でした。さらにはコミミズクの登場があり、意外な出会いが盛り上げてくれました。

さて2017年はたくさんのツアーでお世話になりありがとうございました。2018年も数多くの感動的な出会いを求めてぜひお出かけください。ご参加いただきました皆様、この度はありがとうございました。

石田光史

カリガネ

関連記事

ページ上部へ戻る