【ツアー報告】冬の北陸 河北潟と加賀鴨池・七尾湾 2017年12月21日~23日
(写真:ケアシノスリ 撮影:須崎明男様)
これまで企画したいという願望はありましたが、なかなか実現しなかったのがこの冬の北陸です。その魅力を伝えるためには当然のことながら現地の野鳥に精通した方がいなくてはならず、長らく思案していましたが現地ガイドさんに出会うことができたことから企画が叶いました。そのため昨冬、私が現地を訪れて一緒に探鳥地を巡ってみました。結果的にはさまざまな野鳥たちに出会うことができ、探鳥地そのものも全く問題なかったことからこのツアーを初企画することができました。ただ、冬の北陸はからっと晴れることが少ないためお天気の心配は常に付いてまわりました。
21日、快晴の東京駅を予定通りに出発して新幹線で金沢駅を目差しました。たまたま前週にかなりの積雪があり、車窓からは所々に雪が見られましたが、数日晴れたことから現地はほぼ雪はありませんでした。北陸新幹線開通に伴いリニューアルされた金沢駅は建物の構造が近代的であり巨大なオブジェのような佇まいで印象的でした。調べてみると世界で最も美しい駅14選に国内で唯一選ばれているそうです。現地では現地集合のお客様、そして現地ガイドさんと合流してバスにて出発しました。空は晴れ間が出ていましたが、伺ったところ直前まで強い雨が降っていたそうです。この日は加賀市にある鴨池観察舎に向いましたが、時間があることからまずは途中にある干拓地に立ち寄りました。ここでは今期、ツルが渡来しているということで探してみると、マナヅルとナベヅルが混じっている小群に出会うことができました。周囲にはコハクチョウの群れが点在していましたが、彼らは彼らだけで行動していて今後定期越冬地にでもなればと思うほどでした。また周囲にはモズ、ノスリ、チョウゲンボウの姿もありました。その後は河口、海岸などを巡り、イソヒヨドリ、セグロセキレイ、イソシギなどが見られましたが期待された海ガモ類の姿はありませんでした。陽が傾いてくる頃に合わせてこの日の最終目的地である鴨池観察舎に到着しました。館内からは林に囲まれた池を一望することができ、早速、千羽単位のトモエガモの多さに驚かされました。他にも間近にヒシクイの群れが見られ、ヨシガモ、ミコアイサ、オカヨシガモ、ホシハジロなどの豊富なカモ類、そして見事な飛翔を見せるチュウヒの姿を観察しました。夕方になると周囲の田畑で餌を採っていたマガンの群れが続々と帰ってくる様子も観察でき、薄暗くなる16:45まで観察しこの日を終了しました。
22日、この日は天気予報では天気は概ね良いとのことでしたが、早朝はどんよりと雲っていました。朝食を07:00からいただき08:00に出発しました。まずはタゲリの群れを探してバスにて走っていましたが、幸いにもかなりの数が群れている場所があったことからバスを降りて観察しました。独特の色彩に長い冠羽が特徴のタゲリは人気があり、またその飛翔形も美しいことからしばらく観察していると、遠くの電線に1羽のケアシノスリが止まっているのが見えました。そのため少しずつ接近しながら観察することができました。ケアシノスリは止まっていても白くて美しいですが、飛翔形は翼上面の白が際立って美しく見えました。またタゲリの群れに混じるムナグロ、枯れ木に止まるノスリなどの姿もありました。その後は一旦トイレ休憩を取り付近の海岸に向かいました。ここでは小雨が降る場面もありましたが、海上に浮かぶクロガモの群れが見られ、その中に混じるビロードキンクロの姿もありました。また遠くの砂浜にはハマシギ、シロチドリ、そしてシノリガモの群れも見られました。その後はさらに北上して七尾湾に向かいました。この頃はにわか雨が降っていましたがたまたま観察舎からの観察だったため雨の影響はありませんでした。ここは海水域ということもありハジロカイツブリ、ミミカイツブリ、カモメ、ウミアイサといった種が加わり、最後は間近にやってきたタゲリの姿をじっくり見ることができました。その後、一旦各自昼食の時間としてからさらに北上して漁港に向かいました。ここではワシカモメ、シロカモメを狙いましたが残念ながらその姿は無く、代わってホオジロガモのオス、カモ類を狙ってかオオタカ、ハヤブサの姿を見ることができました。そしてこの日最後は干拓地に向かいました。ここは白鳥の里と呼ばれる場所があり、その周辺で探鳥を行ないました。見る見る陽が傾いて行く中、複数のチュウヒが飛びまわり、ノスリ、チョウゲンボウ、枯れ木にはカシラダカが群れ、最後はハイイロチュウヒの姿が見られました。
23日、この日は06:30から朝食をいただき08:00に出発しました。深夜から早朝にかけて雨が降ったらしく路面は濡れていましたが、空は青空が広がり始めていました。この日は予定を変更してヤマセミを探すために渓流に向かいました。到着後は数日前の下見時にヤマセミが見られた場所を中心に探してみましたが、残念ながらその姿はなく、代わってせっせと採食しているカワアイサ、縄張り争いをするカワガラス、そしてハヤブサ、ホオジロなどが見られました。その後はやや時間があることから公園に向かいました。ここは支部探鳥会で大型猛禽類を見るためによく訪れている場所とのことで、雪景色の山々が見える雰囲気のある場所でした。この日は時間が短かったことから大型猛禽類を見ることはできませんでしたが、木の実にやってきているヤマガラ、アカゲラ、アオゲラ、コゲラの姿を見ることができました。その後は1時間ほど移動し、このツアーの最後の探鳥地である公園に向かいました。到着後は一旦各自昼食とし、その後全員で歩き始めましたが出発前にはオナガが現れて盛り上がったようでした。歩き始めると枯れ木に群れるアトリの群れが見られ、池ではコガモを間近に見ることができました。また途中ではノスリが姿を見せ、川では色合いが見事なヨシガモが群れていました。ほかにもシメの群れや木の実に群れるツグミ、アオゲラなども見られツアーを締めくくりました。
発企画となった冬の北陸は現地ガイドさんのおかげで84種の野鳥たちに出会うことができ無事終了しました。また晴れることが少ない冬の北陸としては信じられないような穏やかなポカポカ陽気の3日間となり、この点に関してはラッキーだったとしか言いようがない状況でした。探鳥に関してはあらかじめ考えていた通りにはなりませんでしたが、ほかの探鳥地を用意していただきさまざまな野鳥に出会うことができました。ナベヅルやマナヅル、ケアシノスリといった予想外の出会いも印象的でしたが、トモエガモの群れやヒシクイといったカモ類の豊富さ、またカモ類が豊富であることからオオタカ、ハヤブサといった猛禽類が多いことも印象的でした。ご参加いただきました皆様、ありがとうございました。
石田光史