【ツアー報告】フォトツアー Wクルーズとシマエナガ・シマフクロウ 2017年12月14日~17日

(写真:シマエナガ 撮影:横山仁志様)

毎年12月に企画していた知床沖と根室沖のWクルーズとシマフクロウをメインにしたツアー。毎回ご好評でしたが、今回からは新たにシマエナガを撮影する行程を加えたことから日程が1日増えて3泊4日となり、さらには10名様限定の撮影ツアーとなりました。ツアーにクルーズを加えることは探鳥に変化をつけられることから楽しみではありますが、欠航のリスクが付きまとうためなかなか難しいものです。ただ、我々のツアーは海鳥観察を看板に掲げていることもあり、今後もできる限りクルーズを組み込んでいく予定です。今回も出発前まで波や風の状況を見続けていましたが、幸い穏やかな4日間になるとの予報でした。

14日、肌寒さはありましたが快晴の中、予定通り羽田空港を出発しました。到着後は観察機材の準備をしてからバスに乗車して宿泊地に向かいました。空港を出発したのは14:30頃でしたが、この日の日没は15:45ということで風景はすっかり夕方のようでした。この日は日没直後からシマフクロウ撮影の予定のため宿に到着後は一旦部屋に入っていただき、その後準備にとりかかりました。再集合時はまだ16:00を過ぎたばかりでしたが外はすっかり暗くなっていました。ひとまず撮影機材のセッティング作業を行いながら過ごし、18:00前からやや早めの夕食をいただき、その後はひたすらシマフクロウがやってくるのを待ちました。この日は積雪はあったものの風がなかったせいかそれほど厳しい寒さを感じることもなく過ごすことができました。ただこの日は残念ながらシマフクロウの声を聞くこともできず、時折やってくるキタキツネの姿を見るだけで時間が過ぎて行き、とうとう日付が変わってしまいました。結局シマフクロウがやってきたのは早朝だったため、全員揃って観察する機会を逃してしまいました。

15日、早朝にシマフクロウがやってきたことからバタバタとした状態の中で美しい朝焼けを見ながら朝食をいただき、その後出発して港に向かいました。この日は知床沖でのクルーズの予定だったため何かと心配はありましたが、前日に船長からクルーズは問題なく出港できるとの連絡をいただいていました。港に到着すると快晴無風の最高のコンディションで雪化粧した羅臼岳も見えていました。予定通りに出港して2時間半のクルーズを楽しむことができ、漁港内ではシノリガモを堪能し、クルーズ中にはかなりの数のハシブトウミガラスが見られたほか、群れで飛んで行くシロエリオオハム、白色が鮮やかな冬羽のウミガラス、そしてウトウ、ウミスズメが見られ、最後の最後で主役のエトピリカの冬羽を観察することができました。ただこの冬の傾向なのか、小型のウミスズメ類に出会うことはできませんでした。下船後は次のポイントに移動しましたが途中では木々に群れるオオワシ、オジロワシの姿を撮影することができました。到着後はバスで走りながら小鳥たちの姿を探しましたがこれといった収穫はなく、海上に浮かんでいるアビ、シロエリオオハム、クロガモ、ビロードキンクロ、ウミアイサを見るに留まりました。ここからは一気にこの日の宿泊地に向かい、到着後は宿の庭で1時間ほど撮影を楽しみました。ハシブトガラ、シジュウカラ、シロハラゴジュウカラ、アカゲラがひっきりなしにやってくる中、幸いにも目的だったシマエナガがやってきてその可愛らしい姿を楽しませてくれました。この日は夕陽が独特の色合いに染まって美しい夕景を見ることができました。

16日、早朝から曇っていたためか気温は-5℃と思ったほど寒くない朝を迎え、07:00から朝食をいただきその後は庭で撮影をしました。この日は時折小雪が舞う曇り空の下での撮影となりましたが、相変わらずハシブトガラ、シジュウカラ、シロハラゴジュウカラ、アカゲラはひっきりなしに餌台にやってきてくれ、この日はヒガラ、コゲラ、そしてミヤマカケスがやってきては盛り上げてくれました。昨冬のツアー時にはミヤマカケスの姿を見ることがなかったので意外な出会いでした。ただイレギュラーというわけでもないようで複数羽が頻繁に姿を見せてくれました。またウソが4羽で現れて赤い頬が特徴のオスは雪景色の中で美しく見えました。その後は意外にも雪が強まることもありましたが、元気な小鳥たちの姿を撮影しながら時間をややオーバーした12:00に宿を後にしました。ただ結果的にはこの日はシマエナガがやってくることはなく残念でした。その後は雪が強まる中、移動しました。ただ途中からは雪はほぼ止んでうっすらと晴れ間が見えてきました。到着後は約2時間ほどタンチョウの撮影を行いました。最初はどんよりと曇ってしまった中でタンチョウの羽の質感を出すことも困難な状況でしたが、次第に西の空が明るくなりやわらかい光が射してきました。結局日没まで滞在して夕陽を浴びる中で飛翔したり、鳴き交わしをしたり、そして最後は次々に塒に向かって飛び立って行く光景を見ながら撮影を終了しました。

17日、この日は落石クルーズに乗船予定だったため、前夜から天気予報に見入っていましたが天候、風、波共に予報は全く問題ない状況でした。予定通り06:30から朝食をいただき07:30に出発して落石港に向かいました。寒さは厳しい朝でしたが珍しく風は全くなく天気も快晴でした。落石港到着後はライフジャケットの装着やトイレを済ませて08:30に乗船して2時間半ほどのクルーズを行いました。出港すると漁港内にいるコオリガモ、クロガモを間近に撮影させていただきました。距離が近いせいでコオリガモの「アオナ、アオナ」という独特の声もじっくり聞くことができました。外洋に出ても海上が穏やかだったことからかなり遠くまで見通すことができ、さらには手すりにつかまらなくても立っていられるような状況でした。全体的にウミスズメ類は多い印象ではなかったですが、このクルーズの主役であるウミバトの個体数が多く、ウミガラス、ケイマフリの姿も頻繁に見られました。ほかにもハシブトウミガラス、ウミスズメを間近にじっくり撮影する機会があり、このクルーズらしくクロガモ、ビロードキンクロ、シノリガモといったカモ類撮影の機会もありました。2時間半ほどのクルーズでしたが稀に見る穏やかな落石クルーズでした。

12月恒例となっていたWクルーズとシマフクロウにシマエナガ撮影を加えてリニューアルした新企画の撮影ツアーはおかげさまで穏やかな陽気の中で無事終えることができました。シマフクロウとシマエナガには苦戦しましたが、予想外にオオワシ、オジロワシ、フクロウ撮影の機会があり、心配された2度のクルーズも穏やかな海況の中で過ごすことができ、目的であったエトピリカ、ウミバトのほか、ウミガラス、ハシブトウミガラス、ケイマフリなどの撮影も叶いました。寒さに関しても思ったほどではなく冬の道東方面としては比較的過ごしやすかったと思います。ご参加いただきました皆様、お疲れ様でした。

石田光史

シマフクロウ 撮影:川島洋和様

 

ウミバト 撮影:横山仁志様

 

コオリガモ 撮影:川島洋和様

 

エトピリカ 撮影:横山仁志様

 

ウソ 撮影:川島洋和様

 

ミヤマカケス 撮影:横山仁志様

 

ウミガラス(左)とハシブトウミガラス 撮影:川島洋和様

 

ウミバト 撮影:横山仁志様

 

ミヤマカケス 撮影:川島洋和様

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