【ツアー報告】初冬の羅臼でシマフクロウに会いたい! 2017年11月24日~26日

(写真:シマフクロウ 撮影:小倉彰様)

過去、シマフクロウ観察は厳冬期に企画していて、数時間の観察時間でほぼ出会うことができていました。しかしここ数年は数時間の観察時間ではほとんど出会えなくなってしまい、せっかく北海道まで足を運んでいただいてもシマフクロウに出会うことができず旅を終えることが多くなってしまいました。そこで今期はシマフクロウ観察に絞り、現地宿泊を含む観察機会を2日間確保したツアーを企画することにしました。繁殖期に入る前のこの時期は比較的シマフウロウの動きが良く、オスもメスも、そして年によっては幼鳥も姿を見せることから出会いの確率が高いのです。また夜の時間が長いことからじっくり観察できること、雪景色で観察することができることなどを加味するとさまざまな意味においてシマフクロウ観察のベストシーズンといえるでしょう。今回はおかげさまで追加設定を含む2度催行となりました。

24日、好天に恵まれた羽田空港を予定よりもやや遅れて出発して中標津空港に無事到着。この時期は昼間の時間が極めて短いことから空港を出発した14:00頃にはすでに夕方のような印象でした。ひとまず宿泊地に向かってバスにて移動を始めましたが、前回、キレンジャクの群れが見られたことから立ち寄ってみることにしました。するとこの日もほぼ同じ場所でレンジャクが飛び交っていたことからバスを降りて観察することにしました。前回ほどの大きな群れではありませんでしたが、数十羽の群れが木に止まっていてその姿を楽しむことができました。宿に到着後はひとまずお部屋に入っていただき、観察機材の準備と防寒装備を整えていただいてから食堂に移動していただきました。時刻はまだ17:00を少し回ったくらいでしたが外は真っ暗でいつシマフクロウが現れてもおかしくはない状況だったため17:30頃から夕食としました。夕食後はひたすらシマフクロウの出現を待つことにしましたが、この日はどうしたことか全く鳴き交わしが聞こえず、シマフクロウの気配を感じることができませんでした。みるみるうちに時間が過ぎてしまい、結局日付が変わった頃にシマフクロウが姿を現してくれましたが滞在時間は短く、じっくりとその姿を楽しむことができませんでした。

25日、この日は07:00から朝食をいただき快晴の中、08:00に出発して探鳥に出かけました。幸い天気は快晴で雪を被った羅臼岳が見えていました。途中、オオワシの姿があったことからバスを止めてしばらく観察することにしました。よく見ると遡上するサケが見られ、これを狙ってワシたちが集まっているようでした。時期的にはまだ本格的なワシシーズンではありませんが、木々に止まるオオワシ、オジロワシを複数見ることができました。その後はバスにて再び移動しましたが街路樹のナナカマドに群れるレンジャクの群れがいたことから再びバスを止めて寄り道をすることになりました。観察してみるとほとんどがキレンジャクでしたが、その中に少数混じっているヒレンジャクの姿も見ることができました。やや遅れましたが目的の探鳥地を歩き、ハシブトガラ、ヒガラ、そして木の幹をつついているシロハラゴジュウカラ、コゲラの姿を見ることができました。その後は別の場所で、オナガガモ、ヒドリガモ、ハシビロガモの群れ、オオハクチョウ、シロカモメ、ユリカモメ、群れ飛ぶハマシギの群れなどが見られました。その後は一旦各自昼食としてから羅臼町に戻ることにしました。帰りにはやや時間があったことから漁港に立ち寄りました。海上にはウミアイサ、カワアイサ、アカエリカイツブリ、クロガモの姿があり、堤防上にはユリカモメ、カモメ、ミツユビカモメ、そして上空をオジロワシが飛翔しました。その後、宿に到着後は観察に使わないものをお部屋に置いてきていただき16:00に再度出発しました。ただこの頃から急に雪の降り方が強まり、周囲は一気に雪景色となりました。到着後は夕食をいただき観察を開始しました。昨夜は鳴き交わす声を聞くこともできなかったため、つがいに何かしらの問題が発生したのではないかと心配しましたが、この日は声はかすかに聞こえただけでしたが、比較的早い時間に2羽が揃って姿を現してくれ一安心しました。その後は飛び去りましたが1羽が付近の木に止まっていてくれたことから、しばらくその姿を観察することができ、帰り間際にも1羽が姿を見せ、さらにはもう1羽も姿を見せてくれ前日の心配を吹き飛ばすような多くの出会いがありました。そして帰り間際には「ボボ、ボー」という不気味な鳴き交わしが聞こえました。

26日、この日は07:30から朝食をいただき08:30に出発して探鳥地に向かいました。この日はレンジャクの群れはどこかに去ってしまったようでその姿はありませんでした。ただこの日もリクエストがあったことから前日同様にオオワシとオジロワシの姿を見てから移動しました。到着後は海を眺めてみましたが海上が穏やかだったことから、クロガモ、ウミアイサなどの姿が見られ、比較的近くに浮上したアビがたまたま羽繕いを始めたことから望遠鏡を使ってじっくりと観察することができました。この日は時間があったことから周辺を歩いてみましたが、小鳥類の姿はなく凍結した湿地帯に群れるオオハクチョウの姿を観察しました。その後は中標津空港に向かいましたが、やや時間があったことから漁港に立ち寄ることにしました。ここでは漁港内に浮いているウミアイサ、ホオジロガモ、シノリガモを観察し、このツアーでは初観察となるワシカモメを見てこのツアーを終了しました。

さて、初企画となった11月のシマフクロウ観察ツアー。おかげさまで今回は追加設定を含む2度催行させていただきました。初日の夜はなかなかシマフクロウの姿が見られず、日付が変わった頃にようやく1度だけ見られたことから、結果的には観察機会を2度設けたことが幸いし、鳴き交わす声も聞くことができました。また本格的な冬鳥シーズン前ではありましたが、オオワシ、オジロワシ、そして人気のあるコオリガモをはじめ、アビ、クロガモ、シノリガモ、ホオジロガモなども見ることができました。そして冬鳥が多いことを印象付けるようにレンジャク類の群れに出会えたことも幸運でした。寝不足続きのツアーでお疲れだったと思います。この度はお疲れ様でした。

石田光史

キレンジャク 撮影:小倉彰様

 

オオワシ 撮影:小倉彰様

 

オジロワシ 撮影:小倉彰様

 

シマフクロウ 撮影:小倉彰様

 

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