【ツアー報告】鳥の観察会3周年記念 晩秋の大洗~苫小牧航路 2017年11月17日~19日

(写真:トウゾクカモメ 撮影:米持千里様)

おかげさまで3周年を迎えることになりました鳥の観察会。これを記念してさまざまなツアーを企画しておりますがその第一弾となるのがこの晩秋の大洗~苫小牧航路です。私がこの商船三井フェリーさんふらわあを使った海鳥観察ツアーを担当するようになって10年以上が経ち、私的な乗船を含めると20年を超えます。それだけにとても思い入れの深い航路なのですが、今回この航路に乗船して記念ツアーを企画し、催行できることは大変に嬉しいことであり、即満席になったことも同様に嬉しいことでした。ただ、今回はたまたま発生した低気圧の接近が予想されたため直前まで催行するかどうか悩みに悩みました。たださまざまなサイトの情報、また担当者の方からの助言などを加味して最終的には催行することにしました。

 17日、集合時間の22:30前には全員のご集合が完了したことから資料説明、トラベルイヤホンの使用方法、行動予定などをお伝えしてから、簡単な海鳥入門講座を行わせていただきました。この11月は時期的にはやや中途半端ですが、それだけにさまざまな種が観察できることが特長です。南下中のアホウドリ類、トウゾクカモメ類、フルマカモメ、ミツユビカモメ、さらには冬鳥として渡ってくるカモ類やアビ類、海が荒れればハイイロウミツバメの記録も多く、アホウドリ亜成鳥も毎回のように見られています。解説後は早速乗船していただき、翌日からの観察に備えてお休みいただきました。

 18日、朝、デッキに出て準備を始めました。天気は曇りでしたが心配された海況は非常に穏やかでむしろ海鳥観察には良い条件でした。海上には早速オオミズナギドリ、セグロカモメ、オオセグロカモメなどが飛び、ミツユビカモメを襲うトウゾクカモメが早くも現れて盛り上げてくれました。その後は遠くを飛ぶクロアシアホウドリが複数回見られ、コアホウドリの出現も増えてきました。また驚いたことにアホウドリの成鳥個体が船体をかすめるように飛び左舷に抜けていきました。毎回11月は比較的若いアホウドリが観察されていましたが、ここまで美しい個体が見られたことはなく、海鳥観察の醍醐味をいきなり味わうことになりました。その後はオオミズナギドリの数が増し、3時方向に現れたコアホウドリがゆっくりと船体に沿うように飛び、再びミツユビカモメがトウゾクカモメに襲われる様子が観察できました。またハジロミズナギドリも出現して盛り上がりました。その後はややずんぐりした印象のフルマカモメが飛び、続けてハシボソミズナギドリが風に流されるように飛んで行きました。また2羽のウトウが海面から飛び立ち、カモメ類の中に混じるワシカモメが見られました。その後は意外にも青空が見え始める中、オオミズナギドリの群れと共に採食行動するカマイルカが見られました。また15羽ほどのクロガモが飛翔し、外洋ではあまり見かけないユリカモメの姿も見られました。その後はカモメ類の群れと共に飛翔する3羽のシロエリオオハム、ウミウが見られ、その後はややうねりが出始め海鳥の出は好調になり、相変わらずコアホウドリ、トウゾクカモメ、そしてミツユビカモメはかなりの数が飛んでいました。夕方にはさらに海鳥はその数を増し、視界の中には常にコアホウドリやトウゾクカモメ、ミツユビカモメが入っていました。そしてみるみるうちにフルマカモメの個体数が増えだし、最後は50羽ほどのフルマカモメが乱舞する珍しい光景が見られる中、観察を終了しました。心配された海況や気温は思いのほか問題なく、逆に海鳥観察にはちょうど良い海況で幸いでした。

 19日、早朝から観察を開始しました。海況が心配されましたが海は穏やかで揺れを感じることはなく一安心でした。デッキに出るとやや風があり、まだまだ雲が多かったものの空はみるみるうちに明るくなり、思ったほど寒さもありませんでした。早朝の時間帯は海鳥の出は好調で、風に乗るように飛翔するコアホウドリ、クロアシアホウドリ、ミツユビカモメ、トウゾクカモメなどがひっきりなしに飛び交い、距離はあるものの風に乗ってダイナミックな飛翔をするアホウドリ亜成鳥が何回か見られました。かなり距離はありましたが大きさの感覚や白っぽく見える大きな嘴を確認することができました。その後はウミアイサのメスが何度か船体脇を通過して行き、同時にミツユビカモメを中心にカモメ類の群れが出現しました。その後は珍しくシノリガモのメスが船を追い越すように飛翔し、その後は強風が吹き始めると共に、あられが降ってくる真冬のような状況になりました。その後はウミスズメが飛び、この頃からは大きな雪雲がいくつも出現していく中、デッキ上にも小雪が舞う状況になりました。この頃からは海鳥の出現が止まってしまいましたが、遠くを双眼鏡で眺めてみると、まるで紙吹雪が舞うように数万羽規模のカモメ類の群れの群翔が見られ、思わず圧倒されました。こういった光景は海鳥観察だからこそであり、海に出なくてはまず見ることはでないでしょう。そして150頭ほどのカマイルカの群れが出現してこちらに向かってくるように泳ぎながら、時々ジャンプするなどして盛り上げてくれました。その後は時折出現するトウゾクカモメやコアホウドリを見ながら観察を終了しました。終わってみれば心配されたような海況不良などは全くなく、順調に海鳥観察をすることができ幸いでした。

 おかげさまで3周年を迎えました鳥の観察会ですが、今年は私にとって思い入れの深い大洗~苫小牧航路で多くの皆様と一緒に海鳥観察ができて良い思い出になりました。海況がかなり心配される中でのスタートでしたが、幸いこれといった問題はなく、逆に海鳥観察にはもってこいの海況でした。そして思い起こすと鳥の観察会の最初のツアーがこの大洗~苫小牧航路でした。今後もトラベルイヤホンを駆使して参加者全員で情報共有しながら海鳥を観察するという、他社には絶対に真似できない海鳥観察をご提供してまいります。さまざまな航路でさまざまな海鳥たちを観察しにぜひお出かけください。この度はご参加いただきましてありがとうございました。

石田光史

 【※】諸般の事情により詳細な出現状況をウェブサイト上では公表しないことといたしました。ご了承ください。

トウゾクカモメ 撮影:橋本和司様

 

アホウドリ 撮影:山本巧様

 

コアホウドリ 撮影:須崎明男様

 

クロガモ 撮影:大坪昭允様

 

ミツユビカモメ 撮影:山岸俊文様

 

アホウドリ 撮影:米持千里様

 

トウゾクカモメ 撮影:山本巧様

 

フルマカモメ 撮影:須崎明男様

 

コアホウドリ 撮影:大坪昭允様

 

コアホウドリ 撮影:山岸俊文様

 

ミツユビカモメ 撮影:米持千里様

 

クロアシアホウドリ 撮影:山本巧様

 

トウゾクカモメ 撮影:須崎明男様

 

フルマカモメ 撮影:山本巧様

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