【ツアー報告】秋の渥美半島 田原湾と伊良湖タカの渡り 2017年10月3日~4日
(写真:サシバ 撮影:中山司様)
昨年までは日程の全てをタカの観察に充てていましたが、今年からは内容をリニューアルして渥美半島でのシギ類、カモ類、小鳥類などの渡り途中の野鳥たちの姿を初日に観察しながら伊良湖岬に向かい、翌日にタカの渡りを観察することにしました。いずれにしてもタカの渡りは天候に大きく左右されることから天気予報が心配でした。秋らしく直前に天気予報が変わることもあるのですが、今回は雨上がりのタイミングで出発することができ、まずは一安心でした。
3日、早朝はまだ雨が残っていましたが、天気予報はこれから晴れてくるとのことでした。新幹線は豊橋駅に向かって順調に進み、静岡あたりからは空は明るくなりはじめ、豊橋駅に着いた頃にはすっかり青空になっていました。まずは道の駅まで走り、ここで昼食と観察機材準備の時間をとりました。今回は9月下旬に下見に来て探鳥ポイントを決めましたのですが、予定していた場所が工事中だったり、思ったほど鳥がいなかったりしたことから若干ポイントを変え、まずは河口に向いました。ここではすっかりお天気が回復したためとても蒸し暑い中での探鳥になりました。水田では残念ながらアオサギ、チュウサギ、コサギといったサギ類だけでしたが、堤防に上がる干潟を歩き回るアオアシシギとソリハシシギの姿がありました。ただ今年はカモ類の渡来が遅れているらしくオナガガモの群れのほか、僅かにスズガモの群れが見られた程度でした。堤防上を歩いて行くと上空でホバリングするミサゴが見られ、堤防上にズラッと並んだハマシギとダイゼンの中に混じる1羽のオオソリハシシギの姿もありました。そして戻る途中には2羽のクロハラアジサシが間近を飛び、溜池で採食するクサシギも見ることができました。その後は一旦トイレ休憩を取り、この時期にこの周辺にやってくるオオアジサシを探しに行きました。最初に訪れた場所では残念ながらオオアジサシの姿はなくウミネコがいるのみでした。そのためもう一か所を見てみることにしました。ここでは思いのほか近い場所を飛び回るオオミズナギドリの姿がありましたがオオアジサシの姿がなかったためもう一か所行ってみることにしました。この場所は岬の先端に近いことから強風が吹き荒れる状況でしたが、海上に出た杭の上に群れる20羽ほどのオオアジサシの姿があり、杭に止まったり高く飛びたったり、また海面で採食する様子を観察することができました。また周辺の畑地では風を避けるかのように地面に伏せているシロチドリ、メダイチドリ、トウネンの姿も見られました。そして最後に恋路が浜を見学してホテルに向かいました。
4日、やや風があるもののタカの渡りに期待できる空の下、06:00から観察を開始しました。今回は特別にトラベルイヤホンを使用して観察することにしました。早速07:20にノスリのホバリングが見られ、ハクセキレイやアマツバメが飛び、08:00には2羽のハチクマと2羽のサシバが渡って行きました。そして10:00頃からは天気がどんどん良くなる中、チゴハヤブサが飛んでいきました。10:05には5羽ほどのサシバが飛び、低く飛んできたサシバが海上から湧き上がって上空を通過する様子が観察できました。10:30にはイワツバメの群れが湧き上がり、20羽ほどのサシバが再び海上から湧き上がるように飛んで行きました。11:15には50羽ほどのヒヨドリの渡りが見られ、11:20には海上を飛翔するノスリ、11:30には再びサシバの渡りが見られました。11:40にはハチクマ暗色型が眼下を飛んだため、ろう膜の黄色が見えました。11:55にはチョウゲンボウが風に乗るように湧き上がり、13:00以降も低く飛んできたサシバが海上から湧き上がっては我々の頭上を越えていくシーンが何回も見られました。そして13:40には20羽ほどのユリカモメが海上を飛んで行く様子を観察することができました。やや風の強い1日だったことからタカたちは一旦高度を下げて飛翔し、ホテル近くの海上で高度を上げて渡って行くといういつもとは違ったコースを飛ぶことが多かったように感じました。14:00以降はタカの渡りは見られなくなってしまいましたが16:00前まで観察を続けてその後は荷物整理をしてホテルを16:30に出発して豊橋駅に向かいました。
今回から渥美半島周辺での渡り鳥の観察と、伊良湖岬でのタカ渡り観察をセットにしてみました。結果的にはカモ類の姿が少なかったものの、アオアシシギ、オオソリハシシギ、ソリハシシギ、クサシギ、トウネン、ダイゼン、メダイチドリ、シロチドリといったシギ・チドリ類に加え、クロハラアジサシ、オオアジサシの姿も見られ、4日のタカ渡りは風が強い1日でしたが、公式カウントでは161羽のタカたちが渡って行ったとのことでした。この日は風があったせいかタカが低く飛び、海上から湧き上がってくるという珍しいシーンが多く観察できたのも印象的でした。タカの渡りは1年のうちで僅かな期間しか観察できません。今後も継続的に秋はタカ渡り観察にお出かけください。この度はお疲れ様でした。
石田光史