【ツアー報告】秋のシギ・チドリ巡り 東京湾と霞ケ浦 2017年10月1日

(写真:ツルシギ 撮影:長田宣也様)

秋の渡りの季節はタカをはじめさまざまな野鳥たちが渡って行きますが、その中でも比較的手ごろに観察できるのがシギやチドリの仲間です。ただシギやチドリの仲間も観察するには時期が重要であり、タイミングを逸すると大きな成果は得られないためツアーでは過去の出現状況を調べること、また干潟での観察は潮位も重要ですからこの点も加味して日程を決めています。今回は1日の中で海水域と淡水域を巡り、さまざまなシギやチドリの仲間を探すことにしました。幸い天気予報も良く穏やかなバードウォッチング日和になりそうです。

1日、通常の日帰りバスツアーは08:00出発ですが、今回は潮位の関係から08:30出発としました。早朝は肌寒さを感じるほどでしたが、集合時は天候も良くすっきりとした秋空の中で出発することができました。まずは40分ほど移動して船橋海浜公園にやってきました。到着後は干潟を歩きながら探鳥し、まずは基本となるハマシギとミユビシギを間近に観察しました。よく似ていますが体色の違いや嘴の長さ、体形の違いなどが確認できました。また付近にはやや大きいオバシギ、さらにはコオバシギ、嘴が長く先端がやや反っているオオソリハシシギの姿もありました。オオソリハシシギはどんどん近寄ってきたため双眼鏡でも十分に観察することができました。その後はシロチドリやダイゼンといったチドリ類を見ながら干潟内を歩き、1羽でせっせと貝を食べるオバシギを間近にじっくりと観察することができました。そして見る見る潮位が高くなる中、当地の名物ともなっているミヤコドリの群れを見ることができ、ここでもオオソリハシシギ、そして大きく湾曲した嘴が特徴のチュウシャクシギなどを観察して観察を終了しました。観察後は靴や三脚の足をよく洗ってからバスに乗車し11:00に茨城県方面に向けて移動しました。時間がちょうど良かったことから40分ほど走った高速道路のサービスエリアで各自昼食とし、その後、今度は淡水域のシギやチドリを探しに向いました。稲刈りが進む広大な農耕地ではチュウサギの姿が目立ち、最初に訪れたポイントでは10羽ほどのコチドリの幼鳥群れ、水浴びをする姿などを見ることができました。その後はやや移動して前日の下見時にオグロシギの群れがいた場所に向かいました。ここではオグロシギは1羽だけでしたが、ツルシギが2羽、クサシギ、ハマシギ、タシギが見られ、突然出現したノスリの姿にシギたちは警戒していました。その後は一旦トイレ休憩をとり、別のポイントに向かいました。次の場所では飛び交うショウドウツバメを眺めながらイソシギ、タカブシギを観察し、さらに移動した場所では10羽ほどのコアオアシシギが忙しそうに採食している中にツルシギが1羽、エリマキシギが2羽、オグロシギが2羽、さらにはイソシギ、クサシギ、アオアシシギが混じってさまざまな種を同時に観察する幸運がありました。シギ類は一緒に採食行動することが多く、こういった場合は大きさを比較しながら観察できるため好都合です。またここでは比較的距離があったせいかじっくりと観察することができました。そろそろ陽が傾いてきましたが最後にもう一か所訪れることにしました。ここでも同様に一か所の湿地帯にさまざまな種が混じっており、11羽見てみるとそのほとんどがクサシギで10羽以上見られました。よく見るとその中にタカブシギ、コアオアシシギが混じり、赤い足がよく目立つアカアシシギの姿もありました。また10羽ほどのタカブシギの群れが付近の水田にやってきたり、シギ類を狙ってか、杭に止まって周囲をうかがうオオタカの姿もありました。

 成鳥はほとんどが冬羽になり、よく似た地味な幼鳥個体が多い秋のシギ・チドリ巡りは1日で合計20種のシギ・チドリ類に出会うことができました。とりたてて珍しい種がいたわけではなく、どちらかというとスタンダードな種ばかりでしたが、コオバシギ、ミヤコドリ、ツルシギ、オグロシギ、オオソリハシシギ、エリマキシギ、コアオアシシギなど秋らしいラインナップを楽しむことができました。シギ類は覚えるのがなかなか大変ですので、今後も継続的にシギ類を観察していただけましたら幸いです。この度はお疲れ様でした。

石田光史

コオバシギ 撮影:長田宣也様

 

エリマキシギ 撮影:長田宣也様

 

オバシギ 撮影:長田宣也様

 

オオソリハシシギ 撮影:長田宣也様

 

ミヤコドリ 撮影:長田宣也様

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