【ツアー報告】空の王者 イヌワシに会いたい! 2017年8月5日~6日

(写真:ツキノワグマ 撮影:高木信様)

暑さが厳しくなる8月。国内でのバードウォッチングツアーもいよいよ一休みになりますが、この時期に合わせて企画しているのが定点観察でイヌワシの出現を待つこのツアーです。イヌワシは広大ななわばりを持っているため追い回すような方法で観察することは困難で、そのため出現率の高い場所のできる限り視界の良い場所でひたすら待つしかありません。もちろん天候が良いほうがいいため比較的天候が安定しているこの時期に設定し、また暑さをしのげること、さらにはこの時期にほかに良い探鳥地がないことなどもこの時期にしている理由です。ただ今回は台風5号が未だうろうろしている状況のため天候が心配な中での出発となりました。

 5日、夏休みということもあってか東京駅は大変な混雑で新幹線ホームも同様に混んでいました。ただ運行に問題はなく、昼前には曇り空ながら所々に晴れ間の見える米原駅に到着しました。外に出ると天候には問題はなく、例年に比べて過ごしやすい陽気の中、ひとまず伊吹山ドライブウェイに向かいました。ゲートでは頂上付近は気温20℃、霧とのことでした。30分ほど走って頂上駐車場に向かいましたが状況はめまぐるしく変化し、晴れは曇りに変わり、頂上駐車場付近は霧のため視界不良でした。そのため1時間ほど時間をとって13:00まで各自昼食の時間としました。ひとまず外で空を見ていましたが次第に空は明るくなり琵琶湖が見える状況になってきました。ただ13:00の時点でも状況はよくなかったためさらに1時間待機とし14:00に判断することにしました。ただ幸いなことに30分ほど経つと視界が良くなりはじめ、周辺で歌うホオジロ、そして木の実を食べるカケスの姿が見え始めました。そして14:00を過ぎた頃には観察ポイント周辺も視界が出てきたため移動して観察を開始しました。視界が広がると風景は一変して見事な景観となり、ウグイスやアオゲラ、そしてモズなどの声を聞きながらイヌワシの登場を待ちましたが、この日はやや時間をオーバーして待ちましたが残念ながら登場はありませんでした。霧から天候が回復し、視界が一気に広がったことから期待しましたが残念な結果となってしまいました。

 6日、この日は早朝から青空が広がっていました。各地の最高気温は軒並み30℃を超え熱中症対策が必要なほどでした。ひとまず米原駅前を09:00頃に出発して伊吹山ドライブウェイに向かいました。ゲートに表示は気温18℃、視界はやや良とのことでした。ただ昨日同様に頂上付近は霧で視界不良のため11:00まで約1時間待機としました。ただこの日は天気が良かったことからみるみる青空が広がり始め、11:00を待つことなく視界が広がってきました。その後は11:00に再集合して探鳥ポイントに移動して観察を開始しました。この日は風があり、時より霧が流れてくることからとても涼しく、寒さを感じることすらありました。眼下の木にはイカルがやってきて、周囲からはウグイス、ホオジロ、モズの声が聞こえ、ツバメ、アマツバメが飛んでいました。またこの日は最近当地で増えているニホンジカの群れが見られ、時には十数頭が斜面で草を食べたり休んでいたりしていました。そして12:50には1頭のツキノワグマが現れ、ニホンジカの群れが警戒して逃げる様子が観察できました。午後に入ると霧が深くなり視界がなくなる時間帯もありましたが、その状況は長くは続かず30分程度で視界が開けるといったことが何度か繰り返されました。ただこの日もイヌワシの登場はないため、予定をややオーバーして16:45まで観察を続けましたが残念な結果となってしまいました。この日は前日に比べて視界が良かっただけに本当に残念でした。

 今回は台風接近直前の天候が安定しているタイミングで現地を訪れることができましたが、目的であったイヌワシの姿を見ることができず残念でした。当地のイヌワシは数年前から単独となり、早くつがい形成され2羽で行動する様子が見られることを祈りたいものです。そしていつの日か若いイヌワシが悠々と舞う姿も見てみたいものです。今回はご期待に応えられず残念という言葉しか見つかりませんが、ぜひまたの機会、チャレンジしていただけましたら幸いです。皆様お疲れ様でした。                      

石田光史

イカル 撮影:川井れい子様

 

ホオジロ 撮影:高木信様

 

シカの群れ 撮影:高木信様

関連記事

ページ上部へ戻る