【ツアー報告】絶景の立山 ライチョウの親子に会いたい! 2017年7月17日~19日

(写真:ライチョウのヒナ 撮影:鈴木利幸様)

まだまだ梅雨明けしない本州は猛暑が続き、いよいよ国内のバードウォッチングでは行く場所がなかなか見当たらない季節になってきました。ただそんな時期にベストシーズンを迎えるのが亜高山帯から高山帯なのです。今回は立山室堂だからこそ出会う確率が極めて高い、ライチョウの親子連れに出会うことを目標にして現地に向かいました。ただ高山帯はほぼ徒歩探鳥のため天候の読みが重要です。今回は3日間のうち中日の予報が今一つといった感じでした。

17日、3連休の最終日にあたるこの日の東京駅は思ったほどの混雑はなく、移動は意外なほどスムーズでした。ただ天候が快晴だったこともあり朝から蒸し暑く、ホームに出ると暑くなることが予想されるような陽気でした。新幹線は順調に進み、2時間強で富山駅に到着しました。到着した富山駅も快晴で思った以上の暑さには驚かされました。ひとまずバスに移動して弥陀ヶ原に向かいました。我々は観光バス移動のため、途中での面倒な乗り換えや、荷物の積み替えなどは一切なく、途中長めの休憩を挟んでも2時間ほどで弥陀ヶ原にある宿に到着しました。この日の弥陀ヶ原は快晴だったこともあり意外なほど暑く、それほど涼しさを感じませんでした。ただこれから先はさらに標高の高い室堂に行くことから着替えなどをして装備を整えてから室堂に向けて出発しました。この日は晴天のため室堂も肌寒さを感じることはなく、しっかり歩くのであれば半袖でも問題ないほどでした。まずは室堂ターミナルからみくりが池を目指しました。目に飛び込んでくる風景は見事で雄山もしっかりと見ることができました。遊歩道沿いではチングルマ、イワカガミ、ハクサンイチゲなどの花々が見ごろでみくりが池が一望できるポイントでは残雪の多さに驚かされました。ふと見ると足元をカヤクグリが歩き回り、人を恐れる様子がないためしっかりとその姿を楽しむことができました。その後はみくりが池温泉まで行き30分ほど休憩しながらライチョウの登場を待ちましたが残念ながら姿はなく、その後は雷鳥沢方面に進みました。今年はこの一帯でライチョウが見られているとのことで歩いて行くと、ついさっきまでライチョウの姿があったという場所にたどり着きました。そのためしばらく待っているとまず反対側の岩場にヒナの姿があり、間もなくしてメスのライチョウがひょっこり姿を現しました。その後は幸いにもライチョウの親子連れがこちら側にやってきてしばらく歩き回ってくれたことから珍しくじっくりと観察することができました。ヒナは56羽いたようで勝手気ままに歩き回っているように見えましたが、よく見るとメス個体が「クークー」と小さな声で鳴きながら統制をとっているように見えました。

18日、この日は早朝06:00から弥陀ヶ原で探鳥予定でしたが残念ながら早朝は全く視界がないため中止し、結局出発時間も1時間遅らせて09:00としました。09:00の時点では弥陀ヶ原は視界がありましたが室堂は濃霧とのことで止むを得ず09:45から現地解説員の方と弥陀ヶ原を歩くことにしました。視界が出てきたことから周辺ではウグイス、アカハラ、カッコウ、ホシガラスの声が聞かれ、たまたま針葉樹のてっぺんに止まったホシガラスを望遠鏡で見ることができました。出発地点ではノビネチドリが咲き、木道沿いではチングルマ、イワカガミ、イワイチョウ、湿地帯ではワタスゲが見ごろでした。また解説員の方のご指導のおかげで花弁がピンク色のチングルマを見ることもできました。その後はカルデラ展望台に向かい、サンカヨウ、ショウジョウバカマ、キヌガサソウ、エンレイソウなどの花々を見ながら歩き、ようやくたどり着いたカルデラ展望台で残念ながら視界不良の中、うっすらと風景を見ることができました。ただ次第に天候が回復しつつあり青空が見える中でアマツバメがスイスイ飛び、ホシガラスがやってきてその姿を見せてくれました。その後はバスにて室堂に向かい、昼食の後、いよいよ室堂を歩き始めました。ただ霧は濃く、時より小雨が降っていました。ただこの日は濃霧だったこともあり歩き出してすぐのところでライチョウのオスの姿を見ることができました。ただ霧が濃くなってきたことから危険と判断して自然保護センターに寄った後、視界があるとのことで再び弥陀ヶ原に戻りました。弥陀ヶ原は視界があったことから遊歩道を歩こうと思いましたが、ここで雷が鳴り始め、激しい雨が降り出したことからこの日は16:00に探鳥を終了しました。

19日、この日は早朝から一転して快晴となる中、06:00から弥陀ヶ原周辺を歩きました。宿前では愛想の良いウグイスが鳴き、周辺の針葉樹林からはメボソムシクイ、クロジ、ウソ、ルリビタキ、ミソサザイなどのさえずりが聞こえていました。そして珍しく針葉樹のてっぺんで歌うメボソムシクイの姿を見ることができました。07:00から朝食をとり、予定通り08:00に出発して室堂に向かいました。この日は初日同様半袖でも大丈夫な陽気で雄山に向かう登山客の姿が多数ありました。まずはみくりが池まで進みましたが、いきなり足元にイワヒバリの姿があり、その後別の個体も現れてその姿をじっくりと観察することができました。その後はみくりが池を左手に見ながら歩きました。今年はとにかく残雪が多く、一部雪の上を歩くような状況もありました。ハイマツ帯ではカヤクグリの姿があちこちで見られ、みどりが池周辺ではアオノツガザクラの花が咲いていました。またイワカガミ、チングルマの群落があるなどこのコースでも花々を楽しむことができました。みくりが池温泉で休憩中にはハイマツ上でさえずるカヤクグリ、木の芽をついばむウソのつがいが見られ、最後は初日にライチョウを見た場所に行ってみました。残念ながらこの日はその姿がないようでしたが、最後の最後で斜面を歩き回るメス個体の姿が見られ、さすがに室堂らしくあまりお天気に左右されず3日間共にライチョウの姿を見ることができました。12:00には室堂を後にして弥陀ヶ原まで戻り、ここでお弁当を食べながら過ごし、やや時間があったことから最後にタテヤマリンドウを見て終了しました。

今年の立山ツアーはさすがに穏やかな陽気が3日間続かず、中日は変化の激しい1日になり、なかなか思ったように進行できませんでした。ただ、初日に良いタイミングでライチョウの親子連れを観察する機会があり幸運でした。またホシガラス、イワヒバリ、カヤクグリの高山鳥4種が出揃ってくれました。見られた鳥の種類は少なかったですが、その代わりにタテヤマリンドウ、サンカヨウ、チングルマ、アオノツガザクラ、イワカガミといった美しい花々と見事な風景を楽しむことができました。少々歩いていただきお疲れだったかと思います。この度はお疲れさまでした。

 石田光史

ライチョウの親子 撮影:中村裕一様

 

ライチョウのヒナ 撮影:高木信様

 

ライチョウ 撮影:高橋尚之様

 

ライチョウ 撮影:鈴木利幸様

 

イワヒバリ 撮影:中村裕一様

 

ライチョウ 撮影:高木信様

 

ライチョウ 撮影:高橋尚之様

 

ライチョウのヒナ 撮影:鈴木利幸様

 

ライチョウのヒナ 撮影:中村裕一様

 

カヤクグリ 撮影:高木信様

 

みくりが池

 

イワヒバリ 撮影:中村裕一様

 

ライチョウ 撮影:高木信様

 

イワヒバリ 撮影:高木信様

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