【ツアー報告】サンカノゴイに会いたい!初夏の印旛沼 2017年6月3日
(写真:ヨシゴイ 撮影:長田宣也様)
夏鳥たちが競い合うように歌っていた森林は、この頃には繁殖が終わってしまうことからすっかり静かになり、それに代わるように薄暗くなった森ではセミの声が煩くなってきてしまい、もう野鳥たちの姿や声が楽しめなくなってしまいます。ただ、ちょうどこのころにその歌声が最盛期を迎えるのが湿原の野鳥たちです。今回は希少種としてしられるサンカノゴイを中心に、ヨシゴイ、コジュリン、オオセッカといった湿原の希少種に期待した日帰りバスツアーです。そろそろ梅雨入りかという時期ですが、今年は梅雨入りとはなっておらず、天気予報も晴れマーク一色でした。
3日、早朝の東京駅前は青空が広がって全く天気に心配はないようで暑さが気になるほどでした。この日の探鳥地は東京から近いことから途中、休憩を挟んでも1時間半ほどで到着することができました。この日は途中にあるサービスエリアで観察機材の準備を終えていたことから、到着後は早速印旛沼の湖畔で探鳥を開始しました。ただ期待のサンカノゴイは早朝に水田にいたものの08:00頃に飛び立ってヨシ原内に入ってしまったとのことでその姿を見ることはできませんでした。ただ、いつヨシ原から飛び出してくるかもしれないため、ひとまず1時間半ほど待機しながらほかの鳥たちを観察しました。この日は幸いにもヨシゴイの姿が多く見られ、フワフワとした独特の飛翔を何度も観察することができ、なかなか全身を見る機会がない鳥にも関わらずこの日は数回に渡ってヨシに止まって全身を見せてくれました。また複数のオオヨシキリがけたたましくさえずりを繰り返し、間近にその姿を観察することができました。ただ残念ながらサンカノゴイは現れることなく、ひとまず利根川周辺に移動することにしました。移動途中に道の駅で各自昼食をとり、その後は利根川の湖畔で探鳥を開始しました。この場所では間近にコヨシキリが歌い、その軽快な歌声と姿を楽しむことができました。ほかにもコジュリン、オオセッカ、セッカといった鳥たちの姿もありましたが残念ながら距離が遠かったことから、ほかの場所を見てみることにしました。ただほかの場所でも目立った成果はなく、再度最初の場所に戻ってみることにしました。見られる鳥のラインナップは変わりませんでしたが、コジュリンが間近に歌ってくれ、夏羽の特徴である真っ黒い頭を観察することができ、また距離はあったもののオオセッカのさえずり飛翔を観察することもできました。そして相変わらずお気に入りのソングポストに止まってコヨシキリが賑やかに歌ってくれ、周辺の水田ではダイサギ、チュウサギ、コサギ、アオサギが揃って採食していました。やや時間が押してしまいましたが、この後は夕方の時間帯に合わせて再び印旛沼に向かいました。陽がやや傾いていることからこの時間は沼側が順光となり、ヨシ原を飛翔するヨシゴイの姿が午前中よりもより美しく見えました。ただやはりサンカノゴイは残念ながら水田には出てきておらず「ボォー、ボォー」という重低音の声が時よりヨシ原内から響いていました。独特のこの声は位置や方向が読みづらく近くにいるのか遠いのかもよくわからない不思議な声でした。結局、17:00まで待ちましたがサンカノゴイは姿を見せることはなく、残念ながらこの日は出会うことができませんでした。
今回は日中には暑さを感じるような陽気の中での探鳥でした。一番の目的であったサンカノゴイの姿を見ることができず、またオオセッカもさえずり飛翔は楽しめたものの距離が遠く残念でしたが、ヨシゴイは非常に見やすい1日で、おなじみとなった飛翔形をはじめ、幸運にもヨシに止まって擬態する姿、またほぼ全身が見えることが数回ありました。ほかにもコジュリン、オオヨシキリ、コヨシキリ、セッカなど、この時期の湿原を代表する種を観察することができました。みなさま、お疲れさまでした。
石田光史