【ツアー報告】東シナ海の秘島・平島(たいらじま) 2017年4月28日~5月4日

(写真:シベリアムクドリ 撮影:早川弘美様)

428日、鹿児島港南埠頭に全員集合、21:40「フェリーとしま」に乗船。23:00 出港。激しい揺れで夜中に何度か目を覚ます。

429日、朝、05:10 に甲板で鳥見を開始、オオミズナギドリがずっと流れていく。何万羽、いや何十万羽だろうか。物凄い数のオオミズナギドリにカツオドリも混じっている。06:15に口之島に接岸。港の横の岩礁に綺麗な夏羽のアカガシラサギが2羽いる。それにしても海も荒れていないのに07:30に中之島、08:30に諏訪之瀬島と1時間以上も遅れている。聞くところによると、船長が新人に代わって接岸、離岸に時間が掛かっているという。

09:30平島に到着。港から民宿へ向かう道中で島の渡り鳥の状況がわかる。今日は「ヤバイ!」である。民宿に荷物を置き、鳥見を開始。鳥影が薄い時は11羽を丹念に見ていく。シロハラ、マミチャジナイ、ヤツガシラがいる。コサメビタキ、ビンズイもいる。カラアカハラの雄若鳥を見つけてみなさんでじっくりと観察、撮影する。上空をハイタカやツミが渡って行く。午後になっても鳥影は薄いままで、オオルリ、キビタキ、オオムシクイなどをじっくりと見る。遅い午後、何百羽のツバメが渡ってきて、中にコシアカツバメ、イワツバメ、アマツバメが混じる。コムクドリ30羽程も入って来たようだ。カラアカハラは何個体かが入っているようであちこちで見る。こんな日はじたばたしてもしょうがないので早めに終了して「あかひげ温泉」へ行く。サンコウチョウの尾の長い雄個体の写真を撮った方がいてみんなから羨ましがられる。

430日、朝、05:40出発。キマユムシクイがたくさん入ったようであちこちで鳴く。広場へ行くとシロハラホオジロ、シマノジコ雌雄、ノジコ、アオジの亜種シベリアアオジがいる。シロハラホオジロをみなさんでじっくりと観察、撮影する。別の場所へ行くと目の前を低空でツツドリが飛んで竹にとまる。さらに山の斜面をバンケンが飛ぶ。急いでバンケンが越えた尾根の裏に行き、とまっているバンケンを発見するが直ぐに林内へ入ってしまう。しばらくその場で粘るが出て来ない。いつもバンケンという鳥は数人がチラ見するだけで、全員でゆっくりと見ることのできない鳥なのだ。その後、アカヒゲをじっくりと堪能する。男女諸島から奄美諸島にいる亜種アカヒゲであるが、奄美諸島以北のものは夏鳥として渡来し、サイズが大きく、中でもトカラ列島のアカヒゲが最も美しいと思う。そして、奄美諸島や沖縄本島のものは物凄く恥ずかしがり屋で、しかも早朝しか鳴かないのに、平島のアカヒゲは日中でも何度もみんなの前で歌ってくれる目立ちたがり屋だから、他の鳥がいない時にいつも助けてくれるとてもいい子たちなのである。午後、何百羽というツバメが入ってきたので期待して首が痛くなるほど11羽チェックするが、混じっているのはコシアカツバメ、イワツバメ、アマツバメ、ヒメアマツバメだけだった・・・と思うと、何と驚くことにツバメチドリも同じ群れの中に入って渡って行った。「ツバメチドリはチドリだけどツバメになりたいんだなぁ」、と誰かが言ってみんなが笑う。夕方、広場に行くとカラアカハラの雄若鳥がグランドの目立つところに出て採食していた。宿に戻ると、宿の上の電線にコムクドリの群れに交じってシベリアムクドリの雌が2羽いたので、急いでみんなを集める。もう、シャワーを浴びている人や一杯やっている人もいるが、「とにかくパンツ一丁でもいいから出てきて見てください」と。そして驚くことにシベリアムクドリは民宿のお庭のブラシの木の花の蜜を吸っているのである。確かに栄養価が高いから渡りには最適の高カロリー食品だが、ムクドリ類が花の蜜を吸うなんて聞いたことが無かったのだ。もちろん、全員でじっくりと観察、撮影したのである。

51日、朝、05:35出発。今日も島の朝は静かである。ここでは見づらいカラスバトを見つけて盛り上がる。キマユムシクイがあちこちで鳴くが、鳥はさらに減ってしまったようだ。それでも、カラアカハラ、マミチャジナイ、シロハラホオジロなどは複数個体が残っている。サンコウチョウが入ってきたようで、島のあちこちで「ホイホイホイ」の声がする。撮影された何人かのお客様の写真を見ると、亜種サンコウチョウと亜種リュウキュウサンコウチョウの両方が入って来たようだ。この島では、亜種サンコウチョウは旅鳥として立ち寄り、亜種リュウキュウサンコウチョウは夏鳥として繁殖するという。午後は海岸へ行き、ムナグロ、セッカ、イソヒヨドリなどの種類を稼ぐ。さらにカラシラサギがいつもの首を傾けたポーズで餌を獲っていた。綺麗な夏羽のアカガシラサギもいて、みなさんでじっくりと観察、撮影する。砂浜にはハクセキレイの亜種のタイワンハクセキレイとホオジロハクセキレイがいる。移動途中では、コホオアカとキマユホオジロも観察。宿に戻ると、宿の上の電線にコムクドリの群れに交じってシベリアムクドリの雄がいたので、急いでみんなを集める。昨日、「なんでシベリアムクドリの雄っていないんだろう」なんて話をしていたので、どうしてもみんなにお見せしたい。しきりに羽づくろいをしているのでハゲムクと呼ばれている雄の特徴である頭頂の黒斑がはっきりと見える。背や肩羽の紫光沢や緑光沢のある黒色やぎざぎざ模様もはっきり分かって嬉しい。しかも、彼もブラシの木の花の蜜を吸う。さらに、コムクドリもみんなで花の蜜を吸うではないか。もちろん、全員でじっくりと観察、撮影したのである。

52日、朝、05:35出発。島は今朝も静かだが、シベリアムクドリの雄がブラシの木に来たので朝から盛り上がる。しかし、ほとんどの鳥は抜けてしまい、新しい鳥は入って来てない。それでも、カラアカハラ、マミチャジナイ、シロハラホオジロ、シベリアムクドリなどを観察。これらの1種でも内地で出たら200300人を集められる、いずれもメインエベンターを張れる鳥たちなのに、ここでは何となく物足りない贅沢な雰囲気が漂う。こんな時はアカヒゲ様に頼る。暫く待っていると雄も雌も雄若鳥も出てきてみなさんでじっくりと堪能する。

53日、朝、05:30出発。今日は曇っていてまだ薄暗い。グランドへ行くと、アカコッコが囀っていた。いつも多くても3個体しか囀らないが、今年は一回も囀りを聞かなかったので心配していたのだが健在であった。鳥たちは入っておらず、在庫も夜のうちに抜けたようだ。そしてツバメ類だけが、まだ、こんなにいるのかという数が渡って行く。

09:30 「フェリーとしま」は鹿児島に向けて東之浜港を出港。オオミズナギドリ、カツオドリ、シロハラトウゾクカモメ、カンムリウミスズメなどを見ながら鹿児島港へ向かったのである。今年は、個体数は少なかったが、やはり珍鳥がたくさん見られた平島。みなさま、どうもお疲れ様でした。            

 宮島 仁

サンコウチョウ 撮影:中村裕一様

 

カラアカハラ 撮影:早川弘美様

 

アカヒゲ 撮影:中村裕一様

 

ヤツガシラ 撮影:早川弘美様

 

シベリアムクドリ 撮影:中村裕一様

 

カラシラサギ 撮影:早川弘美様

 

シロハラホオジロ 撮影:早川弘美様

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