【ツアー報告】アホウドリに会いたい!東京~八丈島航路 2017年4月14日~15日
(写真:アホウドリ 撮影:園村茂夫様)
春恒例の航路ツアー「アホウドリに会いたい!東京~八丈島航路」。今期もおかげさまで2本目も満席となり3月に引き続いての催行となりました。アホウドリは地球上にわずか4000羽程度しか生息していない国の特別天然記念物であり、その巨大で美しい姿は他の海鳥とは一線を画するものがあります。今回は幸いにも海況は良好でこれといった心配はなく出港の時間を迎えることができました。
14日、集合時間の21:30にご集合が完了したので資料の配布、トラベルイヤホンの使用方法の説明、アホウドリとその出現海域の予測などをしてから22:10に乗船、橘丸は予定通り22:30に出港しました。
15日、海況が良かったことからか、橘丸は予定よりもやや早い04:50に三宅島三池港に着岸しました。そのため04:30には船内は通常照明となり、結果的にはいつもよりやや早く起床することになりました。デッキに向かい準備をしていると天気予報に反して快晴だったため思ったよりも早く明るくなり05:15には見事な朝焼けを見ることができました。早朝は西風だったことから右舷側は向かい風の中で観察困難でしたが、早速05:20にアホウドリ亜成鳥が風に飛ばされるように飛翔しました。続けざまに05:30にはクロアシアホウドリが風に向かうようにグイグイと船を追い越すように飛んでいきました。05:50に御蔵島に到着する頃には海上をハシブトガラスが飛び、テトラポットには珍しくシロカモメの姿がありました。また御蔵島で繁殖しているオオミズナギドリの群れは途切れることなく乱舞していました。御蔵島出港後はクロアシアホウドリが間近を飛び、07:00には日本近海に春を告げるミズナギドリの代表種であるハシボソミズナギドリが2羽飛んで行きました。07:15以降は続けざまにクロアシアホウドリが4羽登場して盛り上げてくれました。そして八丈島が見えはじめた頃には複数の漁船が見え、その周囲で遊ぶように跳ねるミナミハンドウイルカの姿がありました。予定通り08:50に八丈島底土港に到着後は一旦待合室に入って待機していただきました。八丈島ではわずかな時間の上陸ですぐに乗船となりますが、そのわずかな時間にズグロチャキンチョウとオニアジサシをご覧になられたお客様がいらっしゃいました。
八丈島底土港を09:50に出港した後はオオミズナギドリの群れをかき分けるように進み、時よりクロアシアホウドリの姿が見られました。10:20には左舷側に浮いているアホウドリ成鳥の姿があり、10:25には同じく左舷側をしばらくの間、アホウドリの成鳥に近い個体が船にはりつくように飛翔しましたが接近することはありませんでした。10:55には左舷側をアカアシミズナギドリが船を追い越すようにスイスイと飛び、11:25には舞い飛ぶオオミズナギドリの中にハシボソミズナギドリの姿があり、早くもミズナギドリシーズンがやってきたことを印象づけてくれました。この頃からはやや風が強まり波立ってくる状況になり、その中を11:40にトウゾクカモメが飛び去っていきました。11:45、12:00にはまたまたクロアシアホウドリが飛び、御蔵島が近づいてきた12:15頃からは強まる風を受けてオオミズナギドリの乱舞が始まりました。そのままの状態で御蔵島に到着後はしばしの休憩をとり、出港後は再びオオミズナギドリの群れを見ながら進み、12:45、13:00と続けてクロアシアホウドリが出現しました。三宅島では岸壁でウミネコ、オオセグロカモメが見られ、三宅島出港後の13:50には再びクロアシアホウドリの姿がありました。その後は14:05、14:10と続けて左舷側をアホウドリの亜成鳥が飛び、デッキ上は右から左へと移動しながらの探鳥となりました。そのうちの1羽がしばらく船体に並ぶように飛翔しはじめたため目が離せない状況になりましたが、右舷側を見なくてはならないと思い右舷側に戻ると同時に2羽のアホウドリ亜成鳥が飛んできました。よく見るとそれらを追うようにもう1羽のアホウドリ、さらにやや遠い場所にはもう1羽の成鳥個体も見られ、同時に5羽のアホウドリが出現しました。やや風があったことから大きく弧を描くように上昇するダイナミックソアリングが間近に見え大迫力でした。その後は遠めに連続してアホウドリが出現して目が離せない状況になり、14:55には再び複数のアホウドリが出現して船首を横切っていきました。この時間帯は色合いがさまざまな年齢が異なると思われる亜成鳥が多く出現し、特に翼上面の白斑の位置や濃さが微妙に違い興味深い時間帯でした。さらに15:00には着水していたアホウドリ成鳥が一旦左舷側に飛び去ったため左舷側に移動して観察しました。ただまた右舷側に戻ったため移動すると、その個体のほか、数羽のアホウドリがすでに飛翔しており、その中にいた特に加齢が進んだ上面が純白の個体が目の前で大きくダイナミックソアリングしたためその巨大な姿を体感することができました。また一旦船体から離れていった亜成鳥個体が向きを変えてどんどん船首方向に飛んで行く様子も見られ、一時的に数十羽のアホウドリたちが乱舞するような状況の中にいました。15:30には状況は落ち着きましたが、それでも時よりクロアシアホウドリが出現していました。16:00を過ぎて房総半島の先端が目に入ってきてもクロアシアホウドリの出現は続き、また順光の右舷側をスイスイ飛翔するオオミズナギドリが見やすくなったため、頭部の白色、翼下面の模様などをしっかりと観察することができました。東京湾に入った後も数羽のハシボソミズナギドリの飛翔が見られたり、クロアシアホウドリの出現はありましたが、いずれそれらも姿を消しオオミズナギドリの乱舞だけが続く16:45に観察を終了しました。
春恒例となった東京竹芝と八丈島を往復する海鳥観察ツアーは予想以上の成果をもって終了することができました。今期は3月、4月と2本催行することができましたが、どちらもアホウドリの姿をじっくりと観察することができ、良い距離感でその姿を観察する幸運にも恵まれました。今回は4月ということもあり、先陣を切って北上してきたハシボソミズナギドリ、アカアシミズナギドリの姿もあり、いよいよ海上にも春がやってきたことを感じました。いよいよこれからが本格的な海鳥観察シーズンです。また海の生き物を観察しにお出かけください。この度はお疲れ様でした。
石田光史