【ツアー報告】ヤンバルクイナの森とホエールウォッチング 2017年3月16日~18日
(写真:ザトウクジラ)
16日、11:20 那覇空港でお客様と合流。早速、ホエールウォッチング船の事務所で手続きをしてマリーナへ行く。マリーナの前の市街地の公園で昼食。シロガシラや色の濃いリュウキュウヒヨドリ、腹部が灰色のリュウキュウメジロを見ていると、ふわっふわっと飛ぶ鳥がいる。ヤツガシラだ。ところがいつになく警戒心の強い個体で直ぐに飛んでしまう。そこで、暫く待っていると、戻ってきて地面で採食を始めたので、皆さんでじっくりと観察、撮影する。幸先のいいスタートなのだ。13:30マリーナを出航。船はクジラを探しながらぐいぐいと北上するがなかなかクジラの姿が見えない。毎年、12月~3月頃に沖縄本島近海には200頭以上のザトウクジラがやって来て出産、子育てや求婚をするのである。船は西に進路を変えてさらに再び北上していくと「ブロー!」の声とともに全速力で走る。前方に大きなクジラの尾びれが見える。深く潜る時に尾びれが上がるのだ。それから10分ほどで再びブローが上がり、背中が何度か見える。そして、最後に至近距離で尾びれが上がり、みなさんを大喜びさせてくれたのである。17:00 船を下り、大急ぎで北上し、18:30やんばるの森の中のホテルに到着。美味しいディナーを食べながらクジラの話で盛り上がったのである。
17日、06:40 やんばるの森をゆっくり走る。この時期、イタジイなどの照葉樹が一斉に芽吹き、森はブロッコリーの山のようなのだ。しかし、13℃と真冬の気温に下がったため鳥たちの囀りが少ない。ヤンバルクイナのペアの生息地を何カ所か廻るが、道路に出ている個体がいない。陽が昇り少し暖かくなると、アカヒゲの亜種ホントウアカヒゲやオキナワシジュウカラ、アマミヤマガラ、リュウキュウメジロなどが囀り、ヤンバルクイナもあちこちで鳴き交わしを始める。やっと、畑で餌をついばむヤンバルクイナのペアを発見して観察、撮影するが草丈が高くて全身が見えない。ちょっともやもやしたまま藪の中へ入ってしまった。08:30 ホテルに戻り朝食。朝からボリューミーなのだ。09:30 出発。奥へ行くとノグチゲラがドラミングをしている。今期、初ドラミングなのだ。北へ渡りたいサシバが溜まっていてあちこちにいる。そこからやんばるの森の中の林道をゆっくり走る。気温が上がり鳥たちが囀る。道の直ぐ脇でアカヒゲが囀ったので、暫く待つと、雄が出てきて朗々と囀る姿をみなさんで観察、撮影する。その後も何度かアカヒゲに出会う。この時期はアカヒゲが最も見やすいのである。13:00から昼食、その後は水田に向かう。シギ・チドリ類やサギ類がたくさん渡って来ている。オジロトウネン、トウネン、ヒバリシギの小型シギ3種が並んでいて違いが分かる。過去に日本初記録や珍鳥が何種も見られているので丹念に探しながら進む。すると、水路を小さなクイナが歩いてくる。ヒメクイナだ!毎年、越冬しているがなかなか姿を見るのは難しい。橋の上から見ていたのだが、どんどん近付いてきて橋の下に入って見えなくなるまでじっくりと観察、撮影するという幸運に恵まれる。
18日、06:40 ホテルを出発。昨日よりも気温が上がり、鳥たちがにぎやかになった。直ぐに、ヤンバルクイナが道路を横切るが、これでは不満が残る。あちこちでヤンバルクイナが鳴き交わしを始める。すると、道路の脇でのんびりと餌をついばむ個体を発見。みなさんでじっくりと観察、撮影する。アカヒゲもあちこちで朗々と囀り、姿を現す。場所を変えてノグチゲラのポイントへ行く。世界中でこの森にしか住んでいないヤンバルクイナ、ノグチゲラ、ホントウアカヒゲを「やんばる3点セット」と勝手に呼んでいるが、この時期、見るのが最も難しいのがノグチゲラであり、何ヶ所かポイントを廻るが声すら聞かれない。ぎりぎりまで探し回るが、今年は繁殖が遅いようなのである。午後は、干潟へ行きクロツラヘラサギ6羽をみる。繁殖羽となってきて冠羽がぼさぼさとなり胸も黄色くなってきた。最後に通称三角池へ行き、カモ類、サギ類、セイタカシギ、アオアシシギなどを見て、那覇空港へと向かったのである。
この時期ならではのザトウクジラとヤンバルクイナ、アカヒゲを観察した感動のツアーでした。みなさま、お疲れ様でした。
宮島 仁