【ツアー報告】フォトツアー 冬の道東巡り(追加設定) 2017年3月5日~8日
(写真:シマエナガ 撮影:石田光正様)
この冬から始まった冬の道東巡りのフォトツアーバージョン。おかげさまで追加設定も催行決定となりました。今回も通常のツアーに比べて観察種は少なくなるものの、撮影できそうなポイントに絞って滞在時間を延ばし、さらには最新の現地情報を加味してコースを設定しました。前回同様に冬の道東の定番種である、オオワシ、オジロワシ、シマフクロウ、タンチョウの4本柱の撮影を中心に、新たにシマエナガを含む小鳥類の撮影、さらには落石クルーズからのウミスズメ類、海ガモ類の撮影も加え、もうこれ以上は組み込めないといった企画です。もちろん天候がその成果に大きく影響することは変わりませんが、今回も前回同様、ちょうど天候が回復するタイミングで現地を訪れることができました。
5日、穏やかな天候が幸いして予定通り羽田空港を出発することができ、無事女満別空港に到着しました。今回も見事な雪景色と青空が我々を迎えてくれ、到着後は早速この日の宿泊地に向かいました。到着後はまずお部屋に入っていただき、その後は宿の庭にて小鳥類の撮影を始めました。遠くからはオオハクチョウの声が聞こえ、庭にはひっきりなしにハシブトガラ、ヒガラ、シジュウカラがやってきていました。またこの日はなぜか1羽のマヒワがやってきてまずはその姿を楽しませてくれました。この日は内陸部特有の骨が痛くなるような冷え込みが厳しくなる16:45まで撮影を続けましたが、目的のシマエナガは数回訪れてくれ、樹液を舐める行動なども見せてくれました。
6日、この日は日の出の時間に合わせるように06:15に外に出て撮影を開始しました。冷え込んでいたため朝日が霧氷を輝かせていました。早朝はシマエナガの動きは活発で何度も何度もやってきては可愛らしいその姿を楽しませてくれました。またアカゲラは複数羽がやってきて争うような行動を見せてくれ、アトリの群れ、シメ、ウソといった顔ぶれは雪が積もった地面を歩きながら餌を探していました。07:30から朝食のため一旦宿に入り、朝食後も撮影を続けましたが、この時間になるとシマエナガはなかなか姿を見せなくなってしまいました。そのため1時間半ほど予定を延長して撮影を続け、ようやく2度の撮影チャンスを得ることができました。その後はタンチョウ撮影のためサンクチュアリーに向かいました。シマエナガ撮影で時間をかなりオーバーしましたが、この日は時間に余裕があったことからそれでも2時間滞在して撮影することができました。タンチョウはすでにサンクチュアリーにやってきてはいましたがその個体数は少なく、ほどなくして次々にタンチョウが付近の畑地や川から飛来してきたためしばらくの間、飛翔シーンを撮影することができ、その後は鳴き交わしやダンスといったタンチョウらしいさまざまな行動を撮影することができました。短時間であり、また日中の撮影でしたが思った以上に楽しませてくれました。さて、ここからは一気に宿泊地である羅臼町に向かいました。この日は寝る時間がかなり少なくなることが予想できたためこの時間はバス車内にてお休みいただきました。途中休憩を挟みながら移動し17:30に到着。薄暗くなる中、お部屋に入っていただいた後は夕食を食べ、その後は早速撮影の準備に取り掛かりました。今冬のシマフクロウは日付が変わる前にやってくるか、早朝にやってくるかといった極端な行動をとっているとのことでひとまず私は深夜01:00まで観察し、その後一旦就寝して早朝03:30に起きることにしました。観察開始時は綺麗な星が輝いていましたが、天気予報によると一旦天気が崩れるとのことで21:30頃からは雪が舞ってきました。この日は無風で静かだったため期待しましたが残念ながらシマフクロウは姿を見せず結局深夜01:30に一旦寝ることにしました。
ただ、7日、早朝03:00頃にシマフクロウは2度やってきて、起きていたお客様はその姿を撮影することができました。また05:00頃にも再びシマフクロウは出現して再度撮影することができました。やや寝不足の感はありましたが05:45に宿を出発して流氷観光船に乗船するために羅臼港に向かいました。本来は05:00出発でしたが、この日は天候が悪く日の出に期待できないため出港を遅らせるとの連絡が前日にあったためでした。出港後はひとまず国後島側にある流氷を目指しましたが残念ながら到達できないと判断し、船は引き返すことになりました。そのためわずかに流氷のかけらのある港周辺での撮影となりました。ピークに比べるとワシたちの数は減っているとのことでしたが、見る見るうちにオオワシ、オジロワシに囲まれる状況になりました。また幸いなことに天候が回復して薄日が射すようになってきました。たまたま海面には薄い氷があったため、上からの薄日と下からの照り返しがあり、ワシたちが輝いて見え、意外な撮影日和となりました。2時間ほどワシたちの撮影をした後は一旦宿にて朝食をとり、その後は根室方面に向けて出発しました。直前の情報ではしばらくぶりにハマヒバリが戻ってきているとのことでした。そのため途中にあるポイントでは時間をあまり使わずにエゾシカや景観を楽しむに止め、予定よりも早めに根室を目指しました。途中にある海港ではコオリガモ、ウミアイサを撮影し、その後は休憩を挟んで根室に向かいました。ここでは珍しく2羽のタンチョウが佇み、湖面にはオオセグロカモメ、シロカモメ、カモメの姿がありました。ここでは小雪が舞ってきて視界が悪くなりかかっていましたが、なんとか地上採食する2羽のハマヒバリの姿を見つけることができました。せわしなく歩き回っている様子が見られましたが残念ながら距離が遠く撮影向きの条件でありませんでした。その後は時間があったことから別の漁港に向かい、クロガモ、コオリガモ、シノリガモ、ワシカモメなどを撮影しました。ただコオリガモは距離が遠く翌日の落石クルーズに期待することにしました。そして最後はチシマウガラスに期待したのですが雪が激しく降ってきたことから撮影は諦めました。ただこの日は根室各地でもプカプカと浮かぶ沿岸氷が多数見られ驚きました。
8日、昨夜は早めに就寝したことから06:00に目が覚めたので外を見てみました。この日は落石クルーズに乗船するため風や天候が極めて重要なのですが、ひとまず無風で空は明るくなってきていました。予定通り06:30から朝食をとり07:30に出発して落石港に向かいました。途中、外を見ていましたがとにかく穏やかで航行に問題はなさそうでした。08:00に到着後はライフジャケット装着などをしてから予定よりもやや早い08:15に出港しました。この日は誰の目にもわかるほどのベタ凪で本当に驚くほどでした。まずは昨日撮影することができなかったコオリガモを狙って漁港内を航行していただきました。漁港内には多数のコオリガモとクロガモ、スズガモ、ウミアイサがいたため思いのほかあっさりと撮影することができ、何とか目的をクリアすることができました。外洋も同様に穏やかで無風だったせいか暖かくも感じました。この日のクルーズも今季の落石クルーズを象徴するかのようにコウミスズメが多く、時には20羽ほどの群れが着水している様子が観察できました。ただ警戒心が強いことからすぐに飛び立ってしまいなかなかじっくり観察することができませんでした。一方、この日も間近にエトロフウミスズメを観察する幸運が2度ほどありました。観察しているとどこからともなくオジロワシが低空飛行で近づき、エトロフウミスズメを捕獲しようとする珍しいシーンを観察する機会がありました。ほかにも数個体のウミバトとケイマフリ、最後はコオリガモ、クロガモ、ビロードキンクロといったカモ類も撮影して終了しました。前回同様、驚くような穏やかな落石クルーズで幸いでした。
この冬、2度目の催行となったフォトツアーでしたが、前回同様、冬の道東とは思えないほどの穏やかな4日間だったことから、目的としていた鳥たちを良い条件の中で撮影することができました。冬の道東の定番種であるオオワシ、オジロワシ、タンチョウ、今冬は出現率が悪く手強かったですがシマフクロウも撮影することができました。またこのツアーでは新たに人気の高いシマエナガの撮影、さらには漁船を使った落石クルーズも組み込み、エトロフウミスズメ、ウミバト、ケイマフリ、コウミスズメも撮影することができました。フォトツアーは通常のツアーに比べて観察種は極めて少ないですが、撮影できる可能性の高い種に絞って巡るという点では全く違ったツアーであったと思います。今後もさらにツアーの細分化を進めて行こうと思います。この度はお疲れ様でした。
石田光史