【ツアー報告】大洗の海鳥と涸沼の猛禽類(再追加設定) 2017年2月15日
(写真:シノリガモ)
私の地元である茨城県内の探鳥地2か所を巡る冬の定番日帰りバスツアー。今年はおかげさまで再追加設定のためこれが3回目の催行となりました。この日は天気予報は晴れマーク一色で最高気温が12℃まで上がるとのことで穏やかで暖かい1日になりそうでした。
15日、早朝の東京駅前は天気予報通り快晴で厳しい寒さもありませんでした。皆様のご集合が早かったことから予定よりも10分ほど早く東京駅前を出発することができ、途中休憩に立ち寄ったサービスエリアで観察機材の準備をしていただいてから探鳥ポイントに向かいました。まずは涸沼西端にある干拓地でハヤブサ、ノスリ、堤防上からタゲリ、ホオジロ、アオジ、ジョウビタキ、ツグミといった冬の代表種たちを観察し、10:30に合わせるようにオオワシの観察ポイントに向かいました。平日ということもあり、それほど多くのギャラリーが詰め掛けているわけではなかったですが、堤防上にはオオワシの出現を待つ人の姿がありました。涸沼の湖面には今年非常に多いハジロカイツブリの群れが点在し、一斉に潜水しては一斉に浮上する独特の動きを見せてくれました。カモ類はそれほど多くはなかったですが、カルガモ、ホシハジロ、キンクロハジロ、オカヨシガモなどが見られ、遠くにはホオジロガモの姿もありました。そして11:00をやや過ぎた頃に対岸に群れていたカモ類が一斉に飛び立ったかと思うと目的のオオワシがその姿を現しました。この日のオオワシは高い位置ながら1時間ほど飛翔してくれ、同じエリア内を行ったり来たりするかのような行動を見せてくれました。雲ひとつない快晴だったことから青空を背景に飛翔するオオワシの成鳥の美しい姿をしばらくの間、堪能することができました。時間が押してしまったことからそのまま各自昼食とし、その後は大洗海岸に移動しました。潮位の関係からまずは岩礁のある海岸に向かい主に岩礁帯で採食する種を観察しました。この時間は潮位がかなり低いため数多くのカルガモが岩礁で採食し、岩場の隙間にはシノリガモが浮いていました。中には岩礁の上で休んでいる個体もいたため望遠鏡を使って独特の模様を楽しむことができました。またウミアイサは顔を海水につけて泳ぎ回るスノーケリングのような独特の採食行動を見せてくれました。またコンクリートの防波堤がある場所ではミユビシギが忙しく餌を探し、付近にはヨシガモ、ヒドリガモの姿がありました。ヨシガモは海面に浮いていましたが人がいなくなると堤防に上がってせっせと海藻類を食べていました。またセグロカモメ、オオセグロカモメ、シロカモメ、ウミネコ、カモメの姿も見ることができました。その後は海岸線にあるいくつかの場所でバスを降りて観察を続けました。最初のポイントでは複数のシノリガモ、飛翔するヒメウが見られ、次の場所では海上に浮いているアカエリカイツブリとウミスズメを見ることができました。海上がかなり穏やかだったことから、その後は大洗海岸まで戻り眺望の良い駐車場から観察をしてみました。ここでは海上に浮かんでいるカンムリカイツブリの群れと共に行動している複数のアビが見られ、やや上を向いたような独特の浮き姿勢を見ることができました。また十数羽のクロガモの群れの中にいる2羽のビロードキンクロ、周囲にはミミカイツブリの姿も見られました。そして最後は再び涸沼に戻って東側にある干拓地で観察をしました。ここでも堤防に上がると多くのカモ類の姿があり、ほとんどがスズガモでしたがその中に混じるミコアイサ、コガモ、カンムリカイツブリなどが見られ2羽のアカエリカイツブリの姿もありました。また付近ではチュウヒ、ノスリも見られ、最後は2羽で絡まりあうコチョウゲンボウの姿を観察して終了しました。この日は天気が良かったことから美しい日没の光景も眺めることができました。
今回は本当に穏やかな1日となり、厚手の防寒服が全く必要ないほどでした。前回見ることができなかったオオワシを見ることができ、このツアーの定番種のシノリガモ、ウミアイサ、ヨシガモ、ミミカイツブリ、そして海上が穏やかだったことから、アビ、ウミスズメ、クロガモ、ビロードキンクロなども見ることができました。今季は猛禽類の個体数が少ない印象ながら、天候が穏やかだったことが幸いし、この日は72種の鳥たちに出会うことができました。ご参加いただきました皆様、この度はお疲れ様でした。
石田光史