【ツアー報告】九州縦断 出水と有明海 2017年2月11日~13日

(写真:ヘラサギ 撮影:宮沢安二郎様)

冬の定番ツアーとして長い歴史のある冬の九州縦断。過去にはカラフトワシやオオズグロカモメといった目玉がありましたが、ここ数年はそれらの飛来がなくなりやや寂しくなってしまいました。ただ、出水平野にやってくる万羽ヅルたち、さらには想像を超える規模の有明海の干潟は何度訪れても圧巻で、世界的希少種のクロツラヘラサギやズグロカモメ、さらにはヘラサギ、ツクシガモ、カササギ、ホシムクドリ、そして年ごとに見られる珍鳥があるなどその魅力は尽きません。今年は出発直前の10日に鹿児島県内に雪予報が出るなど心配されましたが、我々が鹿児島空港に到着した際には雪は止んでいて薄日が射していました。

11日、到着した鹿児島空港にて大阪、名古屋からのお客様と合流した後は観察機材の準備をしてからバスにて出発しました。最初の探鳥地の干潟ではクロツラヘラサギの群れが見られ、日中は寝ていることが多いのですが幸いなことに活発に行動していました。ほかにも数羽のツクシガモ、アオアシシギ、タシギ、ハマシギ、そして珍しくホオジロガモの姿がありました。その後はトイレ休憩をとり、今期、コウライアイサの飛来が確認されている場所に向かいました。川面が見渡せるいくつかのポイントから時間いっぱい探してみましたが残念ながらその姿はなく、ヨシガモ、イソシギ、キセキレイ、飛び交うイワツバメなどを見てからツル渡来地に向かいました。現地に到着した後はまず駐車場周辺で探鳥し、電線にズラリと並んだニュウナイスズメを観察しました。数十羽の群れが一斉に飛び回る姿を見つつオスとメスの違いを観察しました。また付近の枯れ木には数羽のホシムクドリの姿があり、地面で採食する数十羽の群れも見ることができました。その後は別の干拓地に移動してツル4種を探しました。ただこの日はツルたちが分散しているようで観察個体数が少なく、ナベヅル、マナヅルを見るのがやっとで最後の最後でようやく1羽のカナダヅルの姿を見るに留まりました。

12日、06:20にホテルを出発して早朝のツル観察に向かいました。お天気がやや心配でしたが晴れ間があり月が輝いているのが見えていました。まだ薄暗い中現地に到着するとツルたちが大移動して餌場に向かってくる様子が見られました。密集するため個々の個体を見ることが困難ですが、圧倒されるような様子を観察することができ、ようやく遠くにクロヅルの姿を見ることができ、最後はカナダヅルも間近に観察することができました。一旦朝食に戻り、その後は僅かな時間ながら再びツル観察を行いました。餌の時間が終わったせいかツルたちはかなり分散していて探しやすい状況になっていました。まずは4羽のカナダヅルを見つけることができ、次第に近づいてきたことから最後は間近にその姿を堪能できました。さらにはやや遠い距離に2羽のクロヅルの姿があり、しばらく観察しましたがどうにもならない距離感でした。ただ帰り間際にどんどん近づいてきてくれたため最後はかなり近い距離でその姿を観察する幸運がありました。その後はさらに北を目指して移動するためバスを走らせましたが途中にあった電線にズラリとミヤマガラスが並んでいたことから見てみると、白黒模様のコクマルガラスの成鳥が複数見られたことからバスを降りて望遠鏡でじっくりと観察することができました。また付近にはコクマルガラスの幼鳥個体の姿もありました。その後一気に移動し熊本県内の河川の河口にある堤防上から観察しました。やや遅れたことから潮位が下がり、すでに干潟が出ている場所もありました。河口とは思えないほど広大な干潟にはツクシガモ、ヒドリガモ、ホオジロガモ、ウミアイサ、カンムリカイツブリなどの姿があり、干潟が出現した場所ではセグロカモメ、オオセグロカモメ、ウミネコ、ユリカモメに混じって黒い嘴が特徴のズグロカモメが飛びまわりカニを捕食していました。そして帰り間際にはどこからともなく1羽のオニアジサシがやってくる幸運があり、干潟に降りたことから時間オーバーして観察しました。この日は佐賀県内まで移動しなくてはならないため観察後はその場で各自昼食をとっていただき昼食後は即出発しました。最後に訪れた干拓地は毎回ホシムクドリを観察するために訪れていましたが、今回はすでに観察できていることから猛禽類やカササギを探してみることにしました。ただ残念ながらその姿はなく、代わってタゲリ、ケリ、タシギ、ニュウナイスズメ、カワセミ、そして定番のホシムクドリの姿を観察し、最後は編隊飛行するマナヅルの姿を見て終了しました。

13日は朝食後の08:00にホテルを出発して近くにある川沿いで観察しました。この日は風もなく暖かい印象でした。川面を見てみるとさまざまなカモ類の姿があり、特に多いヒドリガモ、カルガモの中に1羽のトモエガモのメスの姿があったため望遠鏡を使ってじっくり観察しました。またヒドリガモの群れの中にオスのアメリカヒドリが2羽いたため時間をとって観察しました。その後は満潮に合わせるように有明海の干潟に向かいました。到着時はまだ潮位が低いことからまずは付近の公園を散策しました。ここでも最近はホシムクドリが見られるのですが、やはりこの日もその姿があり、ほかにもツグミ、シロハラ、モズ、メジロなどが見られました。その後は干潟まで移動して観察を開始しました。徐々に潮位が高くなる中、間近にツクシガモの群れが採食し、クロツラヘラサギの群れも佇んでいました。群れるダイシャクシギ、ダイゼン、ハマシギの群れの中からシロチドリ、メダイチドリが見つかり、その後はダイシャクシギの群れに混じるホウロクシギ、そして当地では珍しいチュウシャクシギ、そして12羽のミヤコドリの姿もありました。観察しているといつの間にか数羽のオオハシシギが近くで採食しはじめ、最後はエリマキシギ、トウネンの姿も見られました。またやや遠くで佇んでいたクロツラヘラサギの群れの中に1羽のヘラサギの姿もありました。観察後は駐車場付近で各自昼食としましたが、昼食中にもミサゴが飛び、付近の川ではツルシギ、クサシギ、タシギが見られました。その後は福岡空港に向かいましたが、やや時間があることから今津湾に立ち寄ってみました。ここでは主にカモ類を観察しますが、魚が多いのかミサゴの個体数が極めて多く、同時に数羽のミサゴのホバリングが見られ、次々に海面に飛び込んでいく狩りの様子が観察できます。この日もツクシガモやヨシガモ、ウミアイサなどを観察しながら見事な狩りを繰り返すミサゴの姿を観察することができ、ちょっとしたショーを見学するかのようにこのツアーを締めくくりました。

今年の冬の九州縦断は3日間共に概ね良い天候に恵まれたことが幸いでした。残念ながら出会うことができなかった種もありましたが、メイン探鳥地の出水ではツル4種が良い距離感で見られ、有明海の広大な干潟ではツクシガモ、クロツラヘラサギ、ヘラサギ、ズグロカモメといった定番種のほか、ミヤコドリ、オオハシシギ、エリマキシギ、ツルシギなどが見られ、ほかにもオニアジサシ、トモエガモ、アメリカヒドリ、コクマルガラス、ホシムクドリなどが楽しませてくれました。ご参加いただきました皆様、この度はお疲れ様でした。

石田光史

ホシムクドリ 撮影:高木信様

 

ダイゼン 撮影:箕輪篤子様

 

クロツラヘラサギ 撮影:石田光正様

 

オニアジサシ 撮影:宮沢安二郎様

 

クロヅル 撮影:高木信様

 

ミサゴ 撮影:箕輪篤子様

 

ハマシギ 撮影:石田光正様

 

クロツラヘラサギとツクシガモ 撮影:宮沢安二郎様

 

オニアジサシ 撮影:高木信様

 

ホシムクドリ 撮影:箕輪篤子様

 

ミヤコドリ 撮影:石田光正様

 

ズグロカモメ 撮影:宮沢安二郎様

 

ホウロクシギ 撮影:高木信様

 

ナベヅル(左)とクロヅル 撮影:箕輪篤子様

 

エリマキシギ 撮影:石田光正様

 

ツクシガモ 撮影:宮沢安二郎様

 

コクマルガラス 撮影:高木信様

 

ミヤマガラス 撮影:箕輪篤子様

 

ツクシガモ 撮影:石田光正様

 

クロツラヘラサギ 撮影:宮沢安二郎様

 

オオハシシギ 撮影:高木信様

 

ズグロカモメ 撮影:箕輪篤子様

関連記事

ページ上部へ戻る