【ツアー報告】関東有名探鳥地巡り 100種に会いたい! 2017年1月20日~22日
(写真:シロエリオオハム 撮影:今道徹朗様)
普段、関東圏の探鳥地を訪れることが少ない関西方面のお客様からあったリクエストにお応えする形で企画された関東有名探鳥地巡り。東京発の日帰りバスツアーで定番になっている探鳥地8か所を3日間かけて巡ります。ただ、探鳥するだけだと緊張感がないと思い、思い切って3日間で100種を観察するという目標をつけてみました。その年ごとにやってくる珍鳥情報も加味して巡るため、毎回観察種が若干変わることも楽しみになっています。今回は寒波襲来の影響で初日に雪予報が出ましたが、午後からだったことから早朝の集合は順調に進み、ほぼ予定通り09:30に東京駅前を出発しました。
20日、薄曇りの東京駅前では早くも小雪が風に舞っていましたが、空は比較的明るく、それほど心配する状況ではありませんでした。途中休憩を挟んでまずは群馬県に向かいました。100種観察を達成するためには各探鳥地で外せない種がいるのですが、ここではオオハクチョウとコハクチョウが重要なためしっかり観察し、コハクチョウの中に亜種アメリカコハクチョウの姿も見ることができました。ほかにもミコアイサ、カンムリカイツブリ、ヒドリガモ、マガモなどの定番種の中にカワアイサの姿を見ることができ、杭に止まるオオタカ、雑木林ではジョウビタキ、シロハラ、アオジ、水辺ではカワセミ、セッカも観察できました。その後は年末のツアーでオジロビタキが見られていた場所に立ち寄りましたが、この日は出会うことができませんでした。ただ、沼ではホシハジロ、コガモ、オカヨシガモが見られました。そして最後は渡良瀬遊水地に向かいましたが、途中の畑地ではやはりここでしか観察できないミヤマガラスの群れを観察しました。渡良瀬遊水地ではチュウヒの塒入りなどを観察する予定でしたが、今期はコミミズクが多数飛来していることから予定を変更して現地に向かいました。この頃からは雪が降っていてコミミズクは活発に動いてはいませんでしたが、草地で休んでいる個体がいたためその個体をじっくり観察することにしました。観察していると辺りをキョロキョロ見回す独特の行動が見られました。雪のため予定よりもやや早めに探鳥を終了しましたが、この日は49種を観察することができました。
21日、前日の雪が心配されましたが雪は早々に止んでいたため道路に雪が残っているようなことはなくほっとしながら朝食をとり07:45にホテルを出発しました。最初は冬の小鳥類を求めて公園に向かいました。幸い予想以上に天候の回復が早く、すでに青空が広がっていました。ここではとにかく冬の小鳥類を一種でも多く観察することが目的です。林に入るといきなり青いルリビタキが現れ、嘴を使って枯れ葉をどけて餌を探すシロハラの姿も見られました。池では意外なほどの数のヨシガモの姿を堪能し、遊歩道を歩くと数十羽のエナガの群れに囲まれながら歩きました。エナガに混じるようにシジュウカラやヤマガラ、コゲラが見られ、この日は各所でシロハラの姿が目立ちました。湿地帯まで来るとここではあまり見られないアカハラの姿があり、休憩ポイントの芝生広場では数羽のビンズイが行列のように歩いていました。その後は松の木で採食するキクイタダキ、地上採食するアトリの群れなどを観察し、最後にトモエガモのオス個体を観察して終了しました。この日は定番種のトラツグミ、ミヤマホオジロ、ベニマシコを見ることができず残念でした。午後からは茨城県内で探鳥するため高速道路を走りました。まずは関東唯一のヒシクイの越冬地を目指しました。途中、タゲリ、コサギ、ダイサギ、ミサゴなどが見られましたが、なんと主役のヒシクイは餌場から飛び立ってしまったとのことで出会うことができませんでした。今期はその中にマガンが混じっていたことから、ここで2種観察を期待していましたが叶いませんでした。気落ちする間もなくハヤブサ、チョウゲンボウを観察し、その後は越冬シギ類を探しに向いました。いくつかの水田を巡りタカブシギ、クサシギ、タシギ、セイタカシギを観察することができ、16:00に合わせて猛禽類の塒入り観察を行いました。この日はやや風があったことから早くも複数のチュウヒがアシ原上を舞っていました。チュウヒは個体差があることからさまざまな色合いの個体を観察することができ、中には低木に止まる個体も見られました。しばらく観察しているとコチョウゲンボウも現れ、ほどなくしてアシ原にやってきたハイイロチュウヒのメスにモビングする様子が観察できました。そして日没直後にさらにもう一羽のハイイロチュウヒのメス、それを追うように美しいハイイロチュウヒのオスが現れ、一旦アシ原内に入ってしまったものの再度舞ってくれたためその姿をじっくると観察して終了しました。この日は新たに29種を観察することができましたが、定番種が見られないことが多い1日でした。
22日も早朝から晴天で穏やかな1日になりそうでした。この日は朝食後の08:00に出発してまずは付近の池に向かい、ここまでリスト落ちしているキンクロハジロに期待しましたが残念ながら見つからず、代わってなぜかミミカイツブリが見られ、ヨシガモ、ミコアイサなどが見られました。その後はこの日の目玉である漁港に向かいました。まずは川沿いにある小さな漁港に行き、ここでようやくキンクロハジロが見られ、ほかにもスズガモ、ウミアイサ、ハジロカイツブリ、カモメ、ウミネコ、ユリカモメを間近に観察することができました。別の漁港に行くとヒメウ、アカエリカイツブリ、イソヒヨドリが見られ、漁港内をのんびりと泳ぐ2羽のオオハムをじっくり観察する幸運がありました。また、セグロカモメ、オオセグロカモメ、ワシカモメ、カモメ、ウミネコ、ウミウを望遠鏡を使ってじっくりその違いを観察することができ、最後にシノリガモのペア、そして驚いたことに間近にシロエリオオハムが浮上してきたためゆっくりと観察する機会に恵まれました。この日は外洋がかなり荒れていたためいくつかの幸運がありました。さて、その後はさらにメインの漁港に向かいました。ここではまずは微妙に色彩の違うクロサギ2羽を観察し、その後は漁港内で間近に浮上して採食行動をするミミカイツブリを見つつ、漁港内にいるカンムリカイツブリ、アカエリカイツブリ、スズガモ、ウミアイサ、オオハム、そして先週は見られなかったクロガモの姿を見ることができました。その後はシロカモメの成鳥、ワシカモメの成鳥を見ることができましたが、残念ながらミツユビカモメの姿を見ることはできませんでした。時間がちょうど12:00になったことから一旦昼食の時間とし、その後はこのツアー最後の探鳥地である干潟に向かいました。渋滞が気になりましたが順調に進み15:00に到着しました。この日は15:00から16:00の間が最も観察に良い潮位だったためジャストタイミングでした。干潟まで行くとようやく出始めた狭い干潟にシギ類が集まっていて、いきなりミヤコドリの群れ、ハマシギ、ミユビシギが見られたためこれで観察種は100種となりました。それ以降は新たにダイゼン、トウネンの姿があったため3日間での観察種は102種となり、なんとか目標を達成することができました。
今回は初日に雪予報が出ていたため無事出発できるかと不安な部分もありましたが、初日の雪は交通に影響が出るほどではなく、夜には止んでいたため翌日にもほとんど影響がありませんでした。100種を観察するには天候も重要なため助かりました。全体としては定番種が見られないことが多かったですが、関東圏の今冬を代表するコミミズクに出会え、3日目は外洋が荒れていたことが幸いし、漁港内でオオハムとシロエリオオハムに出会うことができました。普段、関東圏の探鳥地を訪れることが少ないお客様には、探鳥地を見てまわるという観点からもお楽しみいただけたのではないでしょうか。この度はお疲れ様でした。
石田光史