【ツアー報告】冬の道南巡り 2017年1月12日~17日(フェリープラン)1月14日~16日(飛行機プラン)

(写真:ヒレンジャク 撮影:三浦弘二様)

冬の苫小牧から函館方面の探鳥地を巡る1月恒例の冬の道南巡り。毎年、積雪が多く視界不良などもあって苦労することが多く、今回もちょうど寒波襲来との予報が出てしまいました。ただ幸いにも大雪と寒波が去った後に苫小牧に到着する日程だったため13日夜から14日朝の厳しい寒さを除けば、まぶしい冬の青空を眺めることができ、全体的には好天に恵まれることができた3日間でした。道内在住の知人からはさまざまな情報をいただいていましたが、今冬は苫小牧周辺で良い情報がありました。

12日、まずはフェリープランのお客様に大洗フェリーターミナルにご集合いただき、ツアーの説明や翌日の案内をしてから22:30に苫小牧行きのフェリーに乗船しました。

13日、この日は金華山沖の08:00から探鳥を開始しました。天候も良く海況も穏やかで、デッキ上の温度計は-3℃でした。この時期はまだまだ海鳥観察のベストシーズンではないため、それほど濃い探鳥はできませんが、いきなり漁船に群れる数万羽とも思われるカモメ類の群れが見られ、今年はアビ類が極めて多いようで、シロエリオオハム、オオハムが次々に出現してしばらくの間、楽しませてくれました。その後もウトウが多く出現し、ウミアイサ、ウミスズメ、ハシブトウミガラスなどが見られ、14:00以降は時より吹雪となる中でミツユビカモメが数多く見られました。到着した苫小牧は寒波襲来とのことで異常な寒さで驚かされました。

14日、朝食後の07:45にホテルを出発しましたが、この日の朝も厳しい冷え込みで-14℃でした。飛行機プランのお客様が到着するまで時間があることから、まずは市内で探鳥しました。ただあまりに冷え込みが厳しいせいか鳥の姿はほとんどなく、アトリ、シメ、シジュウカラを見てから移動しました。ここでも小鳥の動きは悪かったですが、お馴染みのハシブトガラ、ヒガラ、ヤマガラが間近に見られ、種子をついばむウソの姿も見ることができました。そうこうしているうちに遠くからクマゲラの声が聞えたため行ってみると飛び立った直後のクマゲラの飛翔する姿を見ることができました。その後は千歳空港に向かい飛行機プランのお客様と合流し、まずは海岸に向かいました。途中では名物となっているカササギの姿があり、現地では海上に浮かぶハジロカイツブリ、カンムリカイツブリ、クロガモを見ることができました。そして最後は河口にあるアシ原に向かいました。まずは探鳥地周辺をバスにて走りながら、ケアシノスリやツメナガホオジロの姿を探しました残念ながら出会うことができず、ひとまず漁港内を観察しました。漁港内ではホオジロガモ、シノリガモ、クロガモが目立ち、僅かにコガモ、ホシハジロの姿がありました。草地に移動するとハイイロチュウヒのメスが低く飛び始めました。双眼鏡で追っているとツメナガホオジロの群れが飛び立ったためその場所に行ってみましたが、飛翔する姿を見るにとどまりました。ただ最後に距離はあったもののホバリングを繰り返すケアシノスリの姿を観察することができました。

15日、登別温泉で疲れを癒して08:00に出発。この日は噴火湾沿いに走りました。毎回このルートは激しい吹雪に見舞われるのですが、この日は穏やかな中、冬の青空を見ながら進みました。現地到着後は一旦上流部に進んで観察を開始しました。最初のポイントでは雪景色の中に佇むオオワシの姿が見られ、青空をバックに飛翔するオジロワシの姿が見事でした。またふいに現れたシマエナガの群れを観察する幸運がありました。その後はオオワシ、オジロワシのほか、同時に複数のカワガラスをじっくり観察する機会がありました。一旦休憩をとった後は河口に向いました。ただこの頃から雪が降り出してやや視界不良になってきました。河口でも同様に木々に止まるオオワシとオジロワシの姿があり、複数のオオハクチョウ、カワアイサ、カモメ、そしてアシ原には2羽のアトリの姿がありました。雪に追われるように出発した後はさらに雪はどんどん強くなってきましたが、昼食をとっている頃からは薄日が射し始め、昼食後は信じられないくらいの見事な快晴になっていました。途中にある漁港に立ち寄った際には、懸命に餌をついばむ3羽のハギマシコに出会うことができ、ちょっとした撮影会状態になりました。海岸線にある探鳥地は強風でしたが観察困難ではなかったためバスを降りて周囲を歩いてみましたが小鳥の反応はなく、海上に浮いているウミアイサの群れを観察するにとどまりましたが、付近にある水産加工場に集まっていたカモメ類の大群の飛翔は相変わらず圧巻でした。

16日、この日も曇りながら前夜の雪は止んでいて天候は問題なし。朝食後の07:45に出発してまずは湖畔での探鳥です。毎年オオハクチョウがやってきている場所に行ってみるとオオハクチョウの姿はなかったものの、マガモ、カルガモに混じってホオジロガモのオス、ミコアイサのオスとメスを間近に見ることができ、オジロワシの若い個体が上空を旋回しました。その後は付近の海岸周辺を探鳥し、まずは漁港でキンクロハジロ、スズガモ、ホオジロガモなどを観察し、その後、ようやく目的のコクガンに出会うことができました。観察していると岩礁で海藻をついばんでいました。最初は数羽の小群でしたがどこからともなく30羽ほどが飛んできて過去にないほどの数のコクガンを見ることができました。さらには30羽ほどのヒレンジャクの群れが飛来して木々に止まったため、ちょっとした撮影会状態になり、望遠鏡を使ってじっくり観察することができました。その後はホテルまで戻って周辺を探鳥し、最後は枝先で鳴くシロハラゴジュウカラを観察して終了しました。

17日は日の出に合わせて07:00から探鳥を開始しましたがいきなりの雪模様で視界が悪く、うねりも3mほどあり船体がやや揺れていました。風は差すように冷たかったですがデッキ上の温度計は+表示でした。しばらくすると空は明るくなり探鳥には問題ない状況になりました。この日は大きなうねりの中をくぐるように飛翔するウミネコ、オオセグロカモメ、ミツユビカモメなどを見ながら進み、三陸沖からは少数ながらウミスズメ、ウトウの姿が目立ってきました。さらには金華山沖ではハシボソミズナギドリが1羽飛び、その後はミツユビカモメの群れにまとわりつくトウゾクカモメが複数観察でき、コアホウドリの姿も観察して16:00に探鳥を終了しました。

 今回は出発前に大寒波襲来のニュースが流れて大変心配しました。ただ、大雪と寒波のピークが過ぎた13日に苫小牧に到着する形になったため、14日の朝の低温には驚きましたが、その後は道南としては積雪もほとんどなく、風も弱くほぼ晴天で穏やかな3日間を過ごすことができました。今季はシロハヤブサの記録がなく、またエゾフクロウが見られなかったことから主役不在の感がありましたが、雪景色の中でオオワシ、オジロワシの姿が見られ、ケアシノスリ、ハイイロチュウヒ、また小鳥類も少ないながらハギマシコ、ヒレンジャク、シマエナガ、じっくりとはいかなかったもののツメナガホオジロにも出会いました。また海岸ではコクガンの群れが今年も楽しませてくれ、ウミアイサ、ホオジロガモ、シノリガモ、クロガモなどの海ガモ類も楽しむことができました。この度は寒い中での探鳥、お疲れ様でした。

 石田光史

ハギマシコ 撮影:五月女憲様

ハギマシコ 撮影:五月女憲様

 

オオワシ 撮影:小方康司様

オオワシ 撮影:小方康司様

 

ヒレンジャク 撮影:大坪昭允様

ヒレンジャク 撮影:大坪昭允様

 

キクイタダキ 撮影:三浦弘二様

キクイタダキ 撮影:三浦弘二様

 

オオワシ 撮影:五月女憲様

オオワシ 撮影:五月女憲様

 

ハギマシコ 撮影:小方康司様

ハギマシコ 撮影:小方康司様

 

オジロワシ 撮影:大坪昭允様

オジロワシ 撮影:大坪昭允様

 

シロエリオオハム 撮影:三浦弘二様

シロエリオオハム 撮影:三浦弘二様

 

ハイイロチュウヒ 撮影:五月女憲様

ハイイロチュウヒ 撮影:五月女憲様

 

ホオジロガモ(左)とミコアイサ 撮影:小方康司様

ホオジロガモ(左)とミコアイサ 撮影:小方康司様

 

コクガン 撮影:大坪昭允様

コクガン 撮影:大坪昭允様

 

キバシリ 撮影:三浦弘二様

キバシリ 撮影:三浦弘二様

 

コクガン 撮影:五月女憲様

コクガン 撮影:五月女憲様

 

キバシリ 撮影:小方康司様

キバシリ 撮影:小方康司様

 

ハギマシコ 撮影:大坪昭允様

ハギマシコ 撮影:大坪昭允様

 

ミツユビカモメ 撮影:三浦弘二様

ミツユビカモメ 撮影:三浦弘二様

 

ワシカモメ 撮影:五月女憲様

ワシカモメ 撮影:五月女憲様

 

コクガン 撮影:小方康司様

コクガン 撮影:小方康司様

 

オオワシ 撮影:大坪昭允様

オオワシ 撮影:大坪昭允様

 

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